⑭
スキルの中には武器専用・職業専用スキルも含まれていた。本来なら“不可”と記されるがそれがなく“大剣必須”と条件項目に優しく記されており、俺は吐き気に襲われながらもチラリとグランの大剣に目を向ける。
大剣専用スキル
【ガードタックル】
└一部攻撃をガードしながらタックル。
【ブレイクアタック】
└相手のガードを砕きダメージを与える。
どれも強そうなものばかり。逆に【エリアヒール】【自動回復広域化】【回復量アップ】【各ステータス強化】と俺には似合わないものがチラホラ目につく。
「グラン、大剣貸せ」
「うぇ?」
グランの後ろに立て掛けてあった大剣を俺は握り、身を守るようにガード体勢を取りながらわざとグランに突っ込む。
「うわっおいおいおいおい!!」
当たる寸前で足を止め、大剣の横から俺が顔を出すと血相を変えつつ「なに、それ」と口が開いていた。
「ガードタックルらしい」
「カッケェェェ!!」
目をキラキラと輝かせ、俺に飛び付き跳ねる。
「なんだそれ、初めて見たぞ」
「大剣専用技らしいがお前はないのか?」
「あ、俺? えっと、俺は……無い」
「はぁ!?」
「んー無い。武器スキルあっても【ガードカウンター】とかのカウンター系。攻撃系は無いんだわ。俺も欲しいなあ。超カッケェ技」
グランの言葉に、そんな馬鹿な、と俺は驚きのあまりグランの紙を見る。俺とグランの会話にディルも気になったか背後から覗いてくる。
【体力自動回復強化】
└通常よりもさらに回復
【覚悟】
└ガードしている限り戦闘不能にはならない
【ガード強化】
└ガード性能が上昇
【アイテム使用禁止・回復強化】
└アイテムが使えなくなる変わりに自動回復の効果がかなり強まる。
グランが得たスキルは
使い道はグラン次第だが、元ガーディアの防御特化の俺だから分かる。恵まれてた仲間を守るための違うタイプの盾役。
少しバカなグランに使いこなせるかと不安になるも敵を引き付ける力の強さには俺も気になっていた。グランは「攻撃重視のアタッカー」だと言っていたが違う。スキルは言う「盾役」だと。
「グラン。お前、アタッカー辞めろ」
「はぁ!! なんだよ、突然」
「お前は盾役」
「はい? 男と言ったら大剣でドーンでバーンだろ?」
子供のような擬音に俺は頭を抱え、ディルはクスクス笑う。「フフッもしかしたらグランくんの中では大剣=騎士なのでは?」とディルの言葉に俺は「あーなるほどな」と納得。どうしたら納得してくれるか腕を組み考え、改めて切り出す。
「スキルが言ってる。お前は盾役だと」
紙の助言のように言うと渋い顔。
「え、なに。スキルと話せんの? 頭大丈夫?」
グランのバカにする言葉に俺はぶちギレる。
「は? ぶっ殺すぞ。こちとら元ドラゴンキラーなんだよ。スキルの特性や強さ、効果を目安にお前の本来の戦闘スタイルを導いてるだけだ。嫌なら別にやらなくていい」
大剣と紙を押し付けるように返し「はぁ」と苛立った溜め息を吐くとハッとした表情で「待て待て待て。冗談だって」と俺の機嫌を取るかのように口を挟む。
「え、ナニナニ。俺が盾役だって? それってアタッカーよりカッコいい奴? っか、盾役ってなに?」
グランの学習能力の低さに俺の目が飛び出しそうになる。何年、負債者をやってきたのかは知らないが知らないことが多すぎる。惚けた言葉に俺は言葉を失い、ディルは手を叩き笑う。
「アハハハッ盾役を知らないとはなんておバカさんだこと。ヤバくないですか?」
「やべぇーよ。っか、一回城塞行って確認した方が良さそうだな。俺らの役職と戦術」
「そうですね。夜の城塞警備は危険だと言いますが、お手並み拝見と行きましょう」
「あぁ、回復よろしく頼む」
「承知しました。お任せください」
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