最終話 エンドロール
ミスターRを倒したことで、ミスターRによって行方不明になっていた全ての人たちが解放された。もちろん加藤さんや大悟くんなどの姿もあった。
「いやぁ、一時はどうなるかと思ったけど、若葉くんのおかげで助かったよ。」
「帰ってこれた・・・、もうダメだと思ったぜ」
ぼくたちがいるのは、どこだかわからないとある広い空き地である。戻ってこれたとしても、みんな家に帰れずに困っていた。
「おーい、そんなとこで何してるだ?」
そこへ地元の人らしき集団がやってきた。ぼくたちは事情を説明して、警察へ通報してもらった。
そしてぼくたちはそれぞれ、帰宅することができた。
「若葉!!あんた今までどこ行っていたの!」
家に帰ったとたん、母さんにビンタされた。だけど温かく迎え入れられた。
そしてそれから月日が過ぎて、だれもがレインボー・クエストを忘れていた頃のことだった。玄関からぼくを呼ぶ母さんの声が聞こえた。
「若葉、あなたに手紙よ」
「え?誰から?」
「ミカエルって書いてあるけど、あんたの知り合い?」
ぼくは母さんから手紙を受けとると、封を開けて手紙を読んだ。
『若葉くんへ
一緒にレインボー・クエストに挑戦してくれてありがとう、君のことはずっと忘れないよ。今回は君にミスターRの秘密について教えよう。
ミスターRは元々私の親友で、ゲームクリエイターという仕事をしていた。私は元々は体が弱くて、あまり外出せずに退屈な生活を送っていた。そんな時にミスターRは自作のゲームを持ってきてくれた、彼の作るゲームはとても面白かった。
だけどそんな私はやがて体が丈夫になり、外出することが増えたことで、ミスターRの作るゲームであまり遊ばなくなった。
しかもこの時ミスターRは仕事が上手くいかずに、より面白いゲームを作るために製作に集中するようになり、ぼくに会わなくなったんだ。
そんな日々を送っていたある日、ぼくはミスターRから「新しいゲームを開発した、先に体験してみたくないか?」と誘われて、ミスターRのところへ向かった。
そこにはぼく以外に大勢の人たちがいた、こんな大勢で遊ぶのは珍しいと思った。
そして突然目の前が光りだしたかと思うと、景色が変わっていた。
最初は何が起きているのかわからなかった、だけどやっているうちに楽しくなった。こんなすごいゲームを開発したミスターRはすごいと本当に思った。
そしてぼくはそのゲームで優勝した、だけどゲームが終わるとなぜかぼく以外の人間は、一人もいなくなった。
後でミスターRに聞いてみると、彼は気味悪い笑みを浮かべてつぶやいた。
『彼らは、私の世界の材料になったよ。二度と元にはもどらないさ』
私は恐怖で震えた、これは恐ろしいゲームだ。いや、こんなのゲームじゃない・・。
そう思ったぼくは、ミスターRの暴走を止めるために立ち上がったんだ。
そしてミスターRが虹のディスクを使って、ゲームを生み出していることを突き止めると、私はあの手この手で虹のディスクの完成を阻止しようとした。しかしミスターRを止めることはできなかった・・・。
だけど君の協力のおかげで止めることができた、ありがとう。またどこかで会えたらいいね。
ミカエル』
そうか、ミカエルくんは友だちを止めるためにクエストに参加していたのか・・・。
友だちを止めるために、危険なゲームに挑み続けたミカエル。そこには前みたいに、彼の作った楽しいゲームをしたいという思いがあったはずだ・・・。
ちなみにミスターRはあの時から完全に消息不明になった。
そう思うと、今回のレインボー・クエストのクリアはとても複雑な思いだったのだろう。
「またゲームをやりたいな・・・、でも今度はみんなで楽しいのがいいな。誰も消えない楽しいゲームを」
そしてぼくは自分の部屋へ行って、テレビゲームを起動させた。
クエストタウン・ゲーム 読天文之 @AMAGATA
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