孤高のマリアはイビツに笑う ②

ごめんなさいこれ引っ掛かるかもしれません。その時は許してほしいです。というか許してぇ!!人生初の忠告がチラついてる気がするよぉ!


   by 命の危機を感じる 時亜 迅

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ち、調教!?


彩愛さんは、確かにそう言ったよね。

本当に、どうしてしまったんだ?!


「ふひっ、分かんないよぉ、教えてよぉ...........って顔、してるねぇ、ふひひ♡」


そして、この異様に精度の高い読心術。こちらが考えていることなど筒抜けとでも言うように、的確に当ててくる。


..........少し内容が彼女の中で再解釈されている気がするが、大体合っているから厄介なことこの上ない。


そして、僕は本能で理解した。


今の彩愛さんは、響子ちゃんと同じになとていることを。


「んんーん、んんーん!」


口が開かないため、んだけしか叫べないが、身動みじろぎを織り混ぜて解放、もしくはガムテープを取ってくれるよう何とか伝える。


だが、瞳孔が開いたままの真っ黒なその瞳が僕の行動を見たとき、先ほどまでの笑顔は何処へ行ったのか、一瞬で無表情になった。


悪寒を感じる。


不味い、響子ちゃんみたいに何か......っ!?


「へぇ、そんなことするんだ、へぇ」


先程の甘い声からは想像できない程の冷徹な超低音の彩愛さんの声に思わず震えてしまう。


「そんなに嫌?手枷付けられてるの。口塞がれてるの。でも、ダメ。拓人は、それをまず受け入れなくちゃ。私の言うこと、聞けるようにしなくちゃ。だから」


ついさっき近づいた顔がまた近づく。


彼女の綺麗な顔がゆっくりと近づいてくる。でも前とは違って鼻と鼻がぶつかる距離になっても離れてくれない!?


「まずは、こぉれ」


れろぉ


「んん!?」


ガムテープ越しに熱い何かを感じた。


これって、舐められてる?


「ん、れろ、れろ、んっ」


ゆっくりと、彼女の綺麗な色の舌が、僕の口を、いや、唇をガムテープ越しに執拗に舐め回す。


ガムテープ越しに伝わる彼女の舌の感触と熱、吐息。


キスもしてないし、直接触れてるわけでもないのに、どうしてここまで気持ちがいいのか?


「んっ、いいねぇ、その表情.........そそる」


「ん!?」


そしてついに、彼女の唇がガムテープ越しとは言え、僕と重なった。


そしてまた伝わる舌の熱。


いわゆるディープな方である。


自分の頭のなかでこんなこと説明するのは恥ずかしいが、そんなことよりも快感の方が強すぎてどうにかなってしまいそうだ。


ガムテープ越しなのに、まだ人生で一度もしたことがないからか、興奮してしまっている自分がいて、彼女の唇の柔らかさと、舌の動きが気持ちよすぎて............



「っ!?ふひっ、ふひひひひ♡」


「んっ!?んんんんどうして!?」


自分でも気付かなかった。


でも、やってしまった。


「いま、口、モゾッ、モゾモゾッて、したよねぇ♡そっかぁ♡拓人って、ちょっとクールな感じで分かんなかったけど.........」


ガムテープから唇を離し、息が荒くなった僕の耳に向かって、色気のある吐息を織り混ぜながら、


「案外変態なんだね♡」


そうねっとりと呟いた。


謎の快感が僕の中を駆け巡る。


これ、ダメだ、変な感じがするっ。


「でも大丈夫、私もおんなじ変態さんだからね♡恥ずかしいことじゃないよぉ、よーし、よーし」


そしてまた、僕の頭を撫で始める彩愛さん。


荒い息は未だに治まる気がしない。でも、この短時間で彼女のことを知れた気がする。


まず、今僕を撫でている状態。所謂母性に溢れた状態。この時は特になにもしなければ彼女は何もしてこない。ただ頭を撫でてくるだけ。


だが、下手に彼女を刺激すると一気に性格が変わる。


それがさっきのキスをしてきた時の状態だ。

あの時が彩愛さんの一番危険な状態。


この世界の倫理観を全部無視してただ自分が思うままに僕を...........貪る。


あれを何度もされては僕も正気でいられる気がしない。だから、この母性溢れる状態しか希望がない。


でも、多分今僕が手枷を外してと言ってもダメだろう。それどころか、二度と戻れない気がする。


「よーし、よーし」


目線を戻せば、とても幸せそうな顔をしている彩愛さんが見える。


...........正直、何故彼女がこんなことをするのか未だに分かっていない。僕が彼女に何かしただろうか?........向こうからガムテ越しにキスをしてくるってことは、僕が悪いことをしたわけではなさそう。むしろ、相手が僕のことを好きであるような振る舞い─


「好き、だよぉ?」


「っ!?」


また、読まれてしまった。だが、好き.........だって?でも、そんなの一言も、


「言い出せるわけないよ。...........自分の好きな人が恥ずかしがりながらも幸せを掴み取ろうとしてるときに、どうやって自分の思いを伝えるの?..........少なくとも私には無理だった。でも、拓人が幸せなら、私は...........私はそれでも良かった。」


「............ 。」


彩愛さん。


そうか........そうだったのか。僕がもっと早く彩愛さんの気持ちに気付いていたら、無理に繋がりを作ってもらうようなことをしなかったのに。


............ 僕のせい、なのかもしれない。


「ん、んんんん─」


「でもねぇ、そんな時、ある女の子がね、私に言ったの。」


ゾクリ、と


僕の背筋に先程と比べ物にならない程の悪寒を感じた。


「“機会は、皆平等にある。”だって♡」


僕は、分かってしまった。


彼女の理性の蓋リミッターを外したのは、すべての元凶のキョーコちゃんだと。


「そうだよねぇぇぇぇぇ、理不尽だよねぇぇぇぇぇぇ?好きな人の想い人のためにぃぃ、自分の気持ちをおさえなきゃきけないのはぁぁぁぁぁぁぁ...........不平等だよね?」



あぁ、どうすればいい?



「だからぁぁぁぁ、私、もう、手加減なんてしないよぉぉぉ?それにぃぃぃ、諦めもしない♡」



どうやったら僕は、



「だからぁぁぁ............ 」



この人の毒牙凶愛から、



「絶対に逃がさなぁい..........タクトは、私の所有物モノ



逃れることができる?

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