私の愛3 彩愛視点

彼と連絡先を交換してから、私は週一回、彼とリンネンネで会話をするのが習慣になっていた。


何曜日に連絡を取るかは決まっていなかったけど、私が連絡をすれば、彼は数分もすれば返事をくれた。


返事をくれるだけでも嬉しかった。

内容は、今日は元気?だとか、いつも何してるの?だとか、そんなごく普通のもの。


それでも、彼とのやり取りは楽しかった。

何か足りなかった私の心の中の穴が埋まっていくような気がした。

彼の言葉一つ一つで心がポカポカした。



学校でも、私は彼とよく話すようになった。

「おはよう、タクト君。」


「うん、おはよう彩愛さん。」


「ようよう、おはよう沢野君!」


「相変わらず独特だね、早坂さん。」


「これが私のアイデンティティだからね、仕方ないね。」


「シカタナイノカー」


「そのせいでいつも辱しめを受けているんだけど、ね!」


「えー、いーじゃーん。」


からひゃふぇー!」


「「「「アハハハハハ」」」」


こうして、また舞に頬を引っ張られた私はクラスの皆に笑われたのだった。

拓人君は私の事を心配そうな周りの目で見てきたけど、今はそれもやめてぇ!




そういえば、下校も時々一緒にするようになったっけ?

たまたま彼の家に近いかったから、一緒に帰らないか、なんてちょっと無理やりな感じに言ったら、いいよ、と言ってくれた。


素直に嬉しかった。

気になっている子と一緒に下校できるのはとても嬉しいことで、私は友人から見ても分かるぐらい上機嫌になっていたとか。


普通に喜んでたつもりなんだけど、そんなに顔に出てたかなぁ?

ちょっと気を付けるようにしないと。




そんなこんなで彼と関わっていくと、たくさんの事が分かった。


まず彼の性格。

ちょっと内気で、クールな感じがするけど、本来はとても優しくて、友達思いで、怖がりやさん。

あと、“先生の言うことは絶対に聞く。”


次に、彼の家族構成。

母父両者とも県外に住んでいて、姉と妹がいる三人兄弟らしい。

姉は社会人でかなりの有名所で働いてるんだとか。

妹さんも中学生ながらモデルの活動をしているんだそうで。

モデルでの名前を聞いた。

そして私は自身が持っている雑誌、FanFanを開くと、ホントにその子がいた。

しかも表紙に写っている。

彼の家族ってすごいなぁ、と思った。


最後に、“彼の住んでいる場所”。

本当に私の住む場所の近くで、歩いて30分程度だ。

いっつも舞の家に行くものだから、30

分なんて近い場所であると認識している。

それを友達に言うと、近い遠いの感覚が狂っていると言われた。

これに関しては何も言えないのが悔しい。



ま、いいか。

そして、最後って言ってたけど、一番大切なこと。






彼は、とっても染めやすいってこと♡




「なんだか今日の授業、つまらなかったな。」


「え?そう?...........私は面白かったけど。」


「彩愛さんは得意今日かだからいいけど、社会って全部の教科が単語の記憶だから、好きになれないんだよ。」


「へぇ、暗記苦手なんだ。」


「まぁ、お恥ずかしながら..........」


そう言って隣で顔を赤くしながら俯く拓人。

ふ、フヒヒ、フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ♡

か、可愛いぃ♡

天使か何かかな?

って言うか、誘ってるよね?

襲ってくださいって言ってるよねぇ?


私にいろぉんなこと、教えてくれた。

家の場所だってそう。

それってつまり、この場所にきて襲ってくださいって言っているようなものだよね?


それに、私とよく喋ってくれるし、今だってそうだけど、一緒に帰ってる。


もうこれ恋人だよね?

つまり結婚しちゃってるよね?

ね?そうだよね?




いやいや、ダメ。ダメだよ私。

こういう勝手な妄想をしちゃうのは私の悪いところ。

そう思いつつ、また彼のことを見る。

うぅ、やっぱり可愛い。

私色で染め上げて、ぐじゃぐじゃにして、とろとろにして、混ざりあって........あ、また。


最近こういう思考になりやすくなっている気がする。

それもこれも、彼と関わるようになってからだ。

............でも、それが嫌だなんて、思わない。

だって、


「さようなら、彩愛さん。」


「...........うん、さようなら。」


拓人の事が、好きだから。










だけど、数ヵ月後、拓人の様子がおかしくなった。

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