私の愛2 彩愛視点

朝早く学校へと登校する。

昨日の事を親に伝えると、二人ともが私の事を心配してくれた。

...........でも、そんなの表面上だけ。


そんなことはどうでもいいとして、私は玄関に入り靴を脱ぐ。

すると、


「ねぇ彩愛、ホントにダイジョブなの?昨日リンネンネで見たけど、辛かったら休んでもいいんだよ?」


私の幼なじみの早坂舞が声をかけてきた。

昨日起きた事をリンネンネで伝えると、私の事を心配してくれた。

舞は本当に心配性だなぁ。


「うん、大丈夫だよ。それに.......」


「それに?」


「ちょっと気になる子がいるから。」


「ははぁーん?」


「な、なによ。」


「もしかして、もしかしなくても彩愛をピンチから救ってくれた噂の男の子のことかなぁ?」


「なっ!?」


「気になっちゃったんだー、へー、そぉなんだぁ?」


「か、からかわないでよ。」


「えへへー、初のぉ、うりうり。」


「やっ、ひょちょっ、ひゃめ........っ」


舞は、私の事をからかいながら頬っぺたを横に軽く引っ張った。

絶妙に喋りにくいし、周りの視線が......恥ずかしいぃ。


「あっ」


すると、玄関から教室のある方向へと、昨日の彼が歩いていくのが見えた。


「あの子だ。」


「え!?どこ?どこどこ?」


必死で探そうと顔を振る舞を置いて私は彼のことを追いかけた。

小走りで追いかけたためか、ぐんぐん距離は縮まっていく。

そして、


「ねぇ。」


つい肩に手を置いてしまった。

な、なにやってるの私ぃー!

すると、ゆっくりと彼は後ろを向いた。

そして私の顔を見るやいなや、


「おはよう...........確か、東城さんだっけ?」


「あ、知ってたんだ。」


「まぁ、一応僕らクラスメイトだし。」


「え?嘘!」


「本当。昨日僕が言ってたこと忘れたの?」


「あ」


私はその言葉を聞いて急いでクラスの名簿を開き名前を確認する。


たくと、たくと、たくと...........あ、あった。


“沢野拓人”


「沢野君、って言うんだ。」


「そう。それが僕の名前。」


短い会話しか続かない。

どうにかして会話を繋げたい。

そして、あわよくば彼のことをもう少し.......


「あの、荷物置きたいんだけど。」


「え!?あぁ、うん、どうぞ......?」


彼は私に一言確認して、自身の席に荷物を置いた。

そして、私のもとに駆け寄ってくる。

不覚にも、可愛いと思ってしまった。

なんか、こう、小動物を彷彿とさせるような、庇護欲を駆り立てられるような........


「それで、僕に何か用があるの?」


「あー、その、昨日のお礼を..........」


「お礼なんて要らないよ。たまたまあそこ通りかかっただけだし、下心なんてないよ。」


「っ............」


違う、そう言うことを聞きたいんじゃない。

自分の言いたいことを素直に言えない自分が嫌になる。


「あー、なら、リンネンネでも交換する?」


「うぇ?」


そんな私の表情から察してくれたのか、彼は連絡先の交換を提案してくれた。

勿論私はこんな大チャンスを逃すわけもなく、


「い、いいの?ありがとう!」


連絡先を交換したのだった。

これで、彼のことを少しでも知れるのなら.......

あれ?なんか目的変わってる気がする。

まぁ、いっか。



この時から、私は狂い始めたのかもしれない。

今ではもうどうだって良いことだけど。

だって、このキモチに気付くことが出来たんだから............ヒヒヒッ♡

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