女の子の部屋だからかな?
「入っていいよー。」
「わ、わかったよ!」
彩愛さんから家に入ってよいという許可をもらい踏み込む。
どうしても嫌な予感が拭いきれないが、外にいるよりかは安全だ。
彩愛さんは料理も作れるらしいので、僕は今日の分を作ってほしいと頼むと、彼女は快く受け入れてくれた。
............少し興奮ぎみなのは何故だろうか?
分からないけど、腕によりをかけてくれるようで嬉しい。
こんな緊急事態に何をやってるんだと言いたくなるが、今の僕にとってこの時間は必要な時間だった。
今起こっていることを忘れられる唯一の時間。非日常から日常に戻ったかのような安心感。
戻りたくないなぁなんて思ってしまうのも、無理はないのではないだろうか?
「ご飯できるまで暇だろうし、テレビでもつけてくつろいでなよ。」
「いや、いいよ。今テレビを見ようとは思えないし。」
「ならゲームは?」
「尚更だよ。特にホラゲーなんか....うっ」
また最初の頃のフラッシュバックが、
「大丈夫?ごめんね私が悪かったよ。......私の部屋にベッドがあるから少しだけ休んできなよ。疲れがとれると思うから。」
「うん、ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ。」
彩愛さんからの提案を受け入れ、僕は彼女の自室へと向かう。
部屋は二階にあるらしいので、僕は階段を上った。
「.........のぉ、..............ぃな、..........っ。」
彩愛さんが何か言ってたけど、それがなんだったのか、彼女との距離が遠すぎて分からなかった。
“東城彩愛”
そう書かれた可愛らしいプレートが掛けられた扉を見つけた。
こういうのって始めて見るな。
アニメとかではプレートが掛けられた扉を見ることはあったけど、現実ではなかった。
そんな新しい発見の際に奇妙なことに気づいた。
「なんだろう、これ?」
扉のノブの辺りに突起物があった。
下に押してみると、それは扉に掘られていた細長い窪みにはまった。
横幅はぴったりで、縦が数センチほど突起物の方が小さい。
そして扉からカチャリと音がなった。
「え?」
ガチャガチャ
扉を開けようとするがびくともしない。
さっきの音はこの扉の鍵がしまる音だったのだ。
「ま、まずい。入れない。」
僕はとっさに窪みに指を突っ込み突起物を上に押し戻した。
カチャリ
また音がした。
扉が開いたようだ。
扉をゆっくりと開けてみる。
女の子らしいものがたくさん集められたような部屋だった。
ベッドはピンク色っぽくて枕元にはぬいぐるみが置かれている。
また勉強のための机には人間の精神と書かれた本が数冊乱雑に開かれた状態で置かれていた。
社会でそんな分野をやるっていっていたな。
でもこの状態で置かれているってことは、何か上手くいかなかったのかな?
勝手に人のものを触るのは僕の良心が許さなかったので止めた。
この時、これらの本をしっかり読んでおけばよかったと、僕はこのあと公開するのだが。
スンスン
女の子の部屋でこんなあからさまに臭いを嗅ぐのは変態の所業かもしれないが、この部屋に入ったとき嗅いだことの無いようなとてつもなく甘い臭いがしたので、僕は今確認しているのだ。
決して、決してやましいことを考えている訳じゃない。
それと、なんかこの部屋だけ湿度がやけに高いような?
女の子の部屋だからかな?
僕はその一言で片付けた。
本当はそんな言葉で片付けてはいけないほど恐ろしいことなのに。
ふひっ、待っててね?
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