逃走3

制限時間三十分


この時間の間に僕はどれだけ距離を稼げるか。

あわよくばこの街、いや、この県から脱出したい。


地獄の三連休。


キョーコちゃんはこれをチャンスだと思ったのだろう。

学校があるのに生徒が登校しないとなると怪しまれる。

この3日間で決着をつけるつもりだ。


幸い僕の叔父叔母は隣の県に住んでいるため、泊まる場所はある。


そこまで行く。


これが僕の勝利条件だ。

そこまで行き着く間、キョーコちゃんはあの手この手で僕を捕まえに来るだろう。


僕はキョーコちゃんがどのような方法で僕を捕まえるか、予測しなければならない。

そして、彼女に僕の位置を知らせる物も、見つけなければならない。


それをするためにも、まずは逃げて落ち着ける場所を見つける。

これが大事になってくる。


僕は今頭をフル回転させながら走っている。


経過時間十分ほど。


かなりの距離を稼いだのではないだろうか?

周りを見渡しても、隣街とつながる道はもう見えない。


更に建物一軒一軒が高く、見通しも悪い。

これは僕にとっても、相手にとっても不利な場所。


ただ、僕にとっても有利な場所でもある。


矛盾しているように思うかもしれないが、実は、僕はキョーコちゃんが知らない情報を持っている。


この街のマップだ。


以前、“仲がいいクラスメート”が家に誘ってくれたことがあり、この街のマップを見せてくれたことがあった。


記憶力がいい方だったので、今でも覚えている。


いちいち頭の中のマップを確認するのは体力を削るが、これでなんとかなるだろう。


とにかくまっすぐ進んでいく。

行き止まりがないから逃げられなくなるなんてことはない。


ふいにキョーコちゃんの言葉を思い出す。


「三十分後」


僕はおもむろにポケットに手を突っ込み、スマホを取り出した。


今の時間は16時45分。

キョーコちゃんのところからスタートした時間は確か16時15分。


時間だ。


今からまたあの鬼ごっこが始まる。

恐怖や死と隣り合わせの時間。

また僕は逃げ切れるだろうか?


いや、逃げ切って見せる。


僕は前を向いてまた走り出す。


スーパーやコンビニが立ち並ぶ場所に出てきた。

確かこの辺に“駅”への近道があったはず。

そこの近くには彩愛さんの...........


だ、ダメだ。

彼女を巻き込むわけにはいかない。

巻き込んでしまえば彼女の命が危ない。

鈴音さんと同じ結末になるのだけは嫌だ。


もしキョーコちゃんがこの街のマップを知ってたときのフェイントにもなるだろうから、あえて迂回していこう。


僕は近道である右の道を通らず、左側の道を通った。

人通りが少なく物陰が多い。

ほぼ空き家しかない道だが、もう一つの選択肢である真ん中の道より駅に早く着く。


彼女を巻き込まず、かつ早く逃げられる道を僕は選んだ。


それが最適解だと、僕は思っていた。

このときの僕を叱りたい。

この考えは浅はか過ぎた。


僕はもっと考えるべきだったんだ。

キョーコちゃん以外の危険な存在について。

気づいていなきゃいけなかったんだ。


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「あれ?あそこにいるのって、もしかして拓人?」








更なる魔の手は、もう僕のすぐ側まで迫っている。






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お久しぶりです。

あのぉ、更新滞ってすみませんでした。

まさかのお試しヤンデレ作品がここまで見てもらえるとは思わなくてビックリしてる男、時亜 迅君でございます。


もろもろの個人的な理由で休んでおりました。

これから時々更新していこうと思います。

閲覧数と星、いいねの数が一定数越えた書く話っていうのもやってみたいです。


ですので今回一回目のその企画を行いたいと思います。


今回は、助けて!の回のIf ルートを一定の星の数を越えたら書こうと考えています。


見たい!と思ってもらえたら、星をつけてくれるとありがたいです。


誤字脱字等あると思います。

そのときはコメントしてください。

見たらそっこうでなおします。


よかったらフォローもしてくださると嬉しいです。


実は既にヤンデレはそこにいる。ではじめてあとがきを書いたことにちょっと驚きな今日この頃。



by 時亜 迅

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