第28話悪役令嬢

「おい、こいつ、ちょっと前までまともに喋れなかっただろうが?」


 ほんの数週間前まで下を向いて、背中を曲げて小さくなってオドオドしていたはずの令嬢。


 芋虫から蛹になって蛾になったようにカフカの変身、何故か体幹まで通って正しい姿勢に。あおり顔で湖川調で、シャフ度みたいな角度で見下ろしている。


 目も光彩が真っ赤な邪眼、周囲の白目も血走っていて、何より目付きが変わってしまって恐怖の対象に。


 背中からも透明な黒い羽根が生えていて、真っ黒な光輪が頭の上に載っているので、誰が見ても悪魔系の化け物。


「うん、まあ「レベルを上げたらどうにかなる」だよ」


 すっかり「どうにかなってしまった」令嬢を見て、姉竜から見てもおかしいと言い出したが、王の従者なので毎度の事。


 これがチッパイなのでまだ命が助かったが、もしバスト1メートル越え、腹回りもフトモモ周りも80センチ越え、ヒップ130センチもあるような化け物なら全員死んでた。


 元AKBでAV堕ちしたヒップ120センチぐらいある女みたいに、汁男優20人並べても、オマム〇の上に塊みたいな精〇乗せられても平気で、割れ目の中に押し込んでも全部ゴックゴック飲んでしまって、汁男優100人並べても本番用男優10人並べても無傷の女並みに、不沈空母か頑強すぎる城砦で、どれだけ砲撃してもチャランポ100発入れてもびくともしない。


 涙目で嫌な顔しながらオマム〇されても、全員精気吸い取られて死ぬようなな化け物相手には手も足も出ない。



 外を見るとまだ昼間なのに空は真っ暗、地獄の蓋が開いているので情報部の従業員もガクブル。


 邪神生誕の地ほど地獄ではないので、魔導災害のグラウンドゼロみたいに耐性が無い者から順に魔物になったりしないが、地獄の囚人の怨嗟の声や叫び声が聞こえて来る地獄に最も近い場所。


 気が弱かった令嬢が邪神騎士になってから表に出てみると、門前に下級悪魔の文武百官が膝を着いて並び、装備一式を届けに来た龍がいた。


「我ら下級悪魔文武百官、皆貴方様にお仕えします」


 王の屋敷内で自分の部下、それも下級悪魔を使役できる人物が現れた。


 地獄の戦士なので普通の人類とは違うが、ルリナより後輩なのに下級悪魔の文武百官が跪いて並び、龍のアシストまで受けられる。


「騎士様、これより貴方様のサポートをさせて頂く龍に御座います、如何様にもお命じ下さい。それと宜しければ名をお与え下さい」


 魔法少女と言えばマスコットの可愛らしい動物、世に淫獣とも呼ばれる、やたら少女ょぅじょと一緒にお風呂に入りたがるドーブツ。


 今回は龍になってやって来た、全金属製で下級天使が束になっても敵わない悪魔の下僕。


 伝説によると、世界の半分を焼き尽くしたと言われる龍(ドレイク)。そちらは邪神のしもべかも知れないが、性能とかはほぼ同スペック。


 よくある「竜とはなんだ? この私をあんな下等な物と一緒にするな、私は龍だ」と言う場面だが、王がいるのでデカい事は言わない。


 令嬢の気分を損ねて、スクラップにされるような事までは言及しない知性がある。


「うむ、精勤せよ。名は…… アルベガス」


 何か昔の合体巨大ロボみたいな名前を付けられた龍、まあロシナンテとかロバみたいな名前を付けられるよりは大分マシ。


「ははぁ、有難き幸せ。こちらは邪神騎士様の装束でございます、お確かめください」


 ここでエロイ変身バンクが始まって変身。地味な令嬢の衣装から、派手ハデの黒い系統の露出狂仕様の邪神騎士の制服にお着換え。他には戦闘用の全身甲冑とかビキニアーマーとか、専用の魔剣なんかもあるらしい。


 平面世界製なので上側の住人は中身の変更に一切気付かないが、一応呼吸していたり心拍があるように偽装してある。


 今回はルリナや野に咲く花まで目が点のまま口をパクパクするだけ、ついでに王も目が点。



 王都上屋敷


 王が初めて王都に入った。門番とか城壁は素通りで、龍やら下級悪魔は飛行して移動。


 その他大勢は下級悪魔が運んだり、竜の王が龍に乗って、後ろから姉竜が抱き着いてタンデムして「もっと飛ばしてっ」とかホザきながら移動したらしい。


 農民市民の娘は怖すぎて同行拒否、小さな診療所へ聖女業務に向かった。


 本来、龍とか下級悪魔なんか上空を通過すると大事件で、侵入されると警戒魔法やら侵入警報で大騒動になる所だったが、ステルス性能が高いのか入っていない扱いに。


 無事令嬢がいた上屋敷に着陸。この家の当主は領地には帰りもしないで代官に任せっきり、王都には仕事もないのに居座り、寒暖の差や冬が厳しい領地は放置して、社交シーズン以外にも王都にいる貴族として、領地経営もしないで魑魅魍魎が潜む王宮で宮廷闘争を楽しむ悪魔の巣に帰って来た。


「おいっ、何者だっ? ここをアルテマー子爵家と知っての狼藉かっ!」


 上空から侵入されたので、門番の衛兵やら庭師が数人すっ飛んで来たが、余りにも外見が違い過ぎるので自分の所の令嬢が帰って来たとは思っていない。


「待て、下級悪魔に…… 龍…… って事は?」


 邪神騎士の降臨。一応一般市民でも絵物語とか教会の説法で、神話戦争の内容ぐらい聞いたことはある。


 もし攻撃なんかした日には、塩の柱にされるか汚らしい魔獣にされて死ぬ。



『控えよ、下郎共』


 令嬢が特殊な話法で話しかけてやると、全員泥の中に顔を突っ込み土下座スタイル。


 こいつらも奥様(正妻)の命令で、令嬢を虐めて来た連中なので同情の余地なし。


「お、お嬢様……」


「あら、おじいさん、ご無沙汰してます。今度、邪神騎士と云う者になりましてね、家族の所に「挨拶」に来たのですよ」


 庭師の優しいお爺さんには笑顔。でも挨拶と言った時だけ怖い顔だったので、優しいお爺さんでも恐怖した。


 さっき泥の中に顔からダイブした連中は溺死寸前。


「うあっ、ゴボゴボッ、げふううっ」


 泥の中から庭師の同僚や衛兵を抱き起こそうとしたが、人力ではピクリとも動かせない。


「ひいいっ」


「死なせてあげなさいな、他のには「永劫系」の呪いを掛けますから」


 令嬢は手の中に黒い炎を出し、血の色をした目を見開いて、ここで溺死する者以外には呪いの炎を点火してやると言った。


「お嬢様ぁ」


 不遇系だったお嬢様が変わり果てた姿になったのを見て、これから家中で復讐の炎が燃え上がるのを知らされた老人。


 あの無様で惨めだった娘が、これから「ざまあ」をする。


 断罪イベント後に追放されたりすると王子が治める国家が滅びたり、追放後の弱体化したパーティーは勝手にダンジョン内で自滅したり、主人公を陥れようとして刑事罰で首チョンパされる訳ではないが、永遠に消えない炎を点火されて、焼けた肌には治療呪文が掛かって焼かれる苦しみと治療される苦しみを味わい続ける。



 屋敷に入ると家令や執事、メイドなどがせわしなく働いていた。


 リネン類を回収したり、裏手に持って行って洗濯したり、食事の用意をしたり配膳をしたり交代で食事したり、忙しく働いていた。


「どちら様で? 突然のご訪問とは?」


 先触れも無しに訪れたのに、執事の一人が不満を漏らしながら話し掛けて来た。


「この顔を見忘れたか? いない方が良かったんだから覚えてもいないか?」


「いらずの…… いえ、お嬢様」


「まだその名で呼ぼうとするか? この度、邪神騎士と言う職業を仰せつかってな、魔王ですら膝を屈して諸侯として挨拶に来るという立場だ」


「邪神、騎士、ですと?」


「その前にお前達全員を焼き殺して置いて、王都まで火の海にしてやろうという算段だ」


「そっ、そんな事して何になるーーっ!」


 虐め実施側、仕返しされる側になると、復讐などして何になると言い出す連中。


 奥様に言われて虐めを実施していたが、クスクスゲラゲラ嘲笑っていたのは本心。


 渋くてぬるい茶を出したり料理に虫を入れたり、屋根裏部屋やベッドの中シーツ一枚下は虫だらけと楽しんでやっていたり、進んで自分から新しい刑罰を思いついて虐めていた連中なので情け無用。


『従業員全員をこの場に集めよ』


「はい……」


 また特殊な話法で話し掛けられると、一階のフロアに全員集合と伝えて回る。他の者も執事に命じられると暗示にかかり「今忙しい」と反論もできず、令嬢と同じく「存在しない奴」と無視されて汚れ仕事に使われている者以外、大半の者が集合した。


「さて、親切に食べ物を分けて下さった料理人の方はこちらに、他にも罪を犯さなかった者は離れて良し…… それ以外は死ね」


「あああっ?」


 もう逃げ出そうにも、全員暗示にかかっているので足が動かない。


「ダークネスファイア、この者達を地獄へ」


 まず執事や家令、メイドや馬丁に庭師達に着火。皮膚が燃えていても服は燃え出さない。


「ぎゃああああああああああああああああああああっ!」


 火が着いたように泣く、という奴で、焼身自殺した奴みたいに大声で叫びながら走り回り、最後の正常な判断として水場を目指して飛び込もうとした。


「あはははははははははははははははははははっ!」


 酔っている姉竜並みに酷い奴が爆誕。人が燃える中でゲラゲラ笑って、水場を探して逃げ惑う所を見送る。


 眼球や呼吸器が焼かれる前に、記憶にある表の噴水やらため池、馬の水飲み場、洗濯場の水桶と井戸、調理場の水瓶に向かう。


 走り回った場所やカーペットは燃えないが、人体だけが燃え続ける恐怖映像。


「いやああああああああああああああっ!」


「あああああああああああああっ!」


 でも魔法の炎で暗黒系の魔法の火なので、水の中程度では決して消えない。


 罪の対価を痛みで支払い終えるか、心が完全に折れて死を望んだ時に許されることもある。


 全身丸焦げになろうとも、髪の毛も鼻毛までチリチリに燃えようとも、治療呪文が掛かり修復される痛みまで味合わされて、床や泥の中を転げ回るだけの生き物に加工された。



 性根が腐ったサディストだけが虐め行為を継続することに耐えられ、気が弱い者や優しい奴は自分から辞めて出て行った。


 本当の主人である奥様や当主や息子にまで、雑巾の搾り汁を出せるような奴らなのでキニシナイ。


 王が行く所に死体が並んで行く、本人が意識せずとも死が満ち溢れて行く。



 王都騎士団


「情報部より入電っ、王がいる城砦で邪神騎士が誕生しましたっ!」


 下っ端の騎士が駆け込んで来て、緊急事態を団長や副長に報告した。


 先日まで魔族に勝っていたはずなのだが、邪神騎士ユニットが生誕すると自動的に魔族に敗北する。


 魔族、ダークエルフ、冥界のアンデッド、街中でも黒いフード被っていて邪神に忠誠を誓う者が結集して、数百万の骨のスケルトンにグール、今まで少数だったヴァンパイア人狼サッキュバス等の人類の敵も数を増やし、城壁を乗り越えてくるサイズの魔獣超獣までが徒党を組んでやって来る。


「それは、ルリナ君かね? それともエルフの少女……」


 どちらが邪神騎士になったかで事情が変わって来る。もし人類のルリナが成っていれば、情報部やどこかから説得や買収も効くが、エルフの少女だった場合、人類はエルフに屈することになる。


「いえ、アルテマー子爵家のサリアリア嬢です。王の元に嫁いだ一人で、数回の交戦に参加しただけで、先日には暗黒騎士になっておりました」


「その人物の調査を、アルテマー子爵にも早急に面会したい、先触れを出して日取りを設定せよ」


「はっ」


 時既にお寿司、当主の子爵はこれから燃やされる。



 アルテマー子爵家上屋敷


『父と義母と兄は何処か? 案内せよ』


 燃やされていた家令が無理矢理立たされ、火力を弱めて貰ったのかヨロヨロと歩いて行く。


 この間にでも忠臣が当主や奥様でも逃がせば助かったかも知れないが、この家にはそんな忠義の家臣はおらず、金でも巻き上げて逃げるような奴しかいない。


 まずは昼間から働きもせず、酒でも飲んで女を侍らせている馬鹿の所に到着。


「どうしたのだお主、燃えておるではないかっ?」


 家令が黒い炎で燃えているのに気付く程度には素面。でも与えられた仕事、領地からの報告である木札には目も通していない長男。もし見ても目が節穴なので無効。


「はっ、邪神騎士へとなられたお嬢様がお帰りになられ、私共を燃やした次第であります」


 焼かれている苦痛も遮断されているのか、燃えながら説明する家令。


「いらずのサリアが?」


『そうだ、私は帰って来た、控えよ、豚』


 長男も座席から降りて即座にドゲザスタイル。少々デブすぎるので呼吸困難に。


「はうっ、はあっ、うあっ」


「呼吸もできんのか? 豚。燃やす前に死なれろと困るな、ダークネスファイア、この者を地獄へ」


「ぎゃあああああああああああああああああっ!」


 腹違いの豚も女達も適当に焼いてから次へ。



「奥様、お嬢様がお帰りになられました」


「何? 王の子でも孕んだか?」


 こちらは家令が燃えていても気にならないらしい。


 御用商人が持ち込んだ衣装でも並べて、まさに豚に真珠で、夜会でもブッサイクな豚に向かって「奥様いつ見てもお綺麗ですわ~」などと言うのが取り巻きにいるので、自分が豚なんだと気付いていない。


 今まで召使的に扱ってきた娘が王の子でも孕むと、自分が配当を受けられると思い込んでいるアタマオカシイ人、と言うか豚。


『お前、私を今までどう扱って来たのか忘れたのか? 控えよ、豚』


 奥様も御用商人も即座に土下座スタイル。やっぱりデブすぎるので呼吸困難に。


「ブヒイッ、ブキャアアッ、ブフウウウッ!」


 今後、奥様は豚語しか喋れない。


「豚が着飾って宝石でも付けて、平民の生涯賃金より高いティアラ被ってお姫様気取りか? お前に相応しい姿で躍らせてやる。ダークネスファイア、この者を地獄へ」


「ブキャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 特に会話もせず問答無用で着火、ついでに御用商人と従者達まで燃えてしまったが、禄でもない事をして他人の店や販路を乗っ取り、他人の娘を手に入れて好き放題してきた悪党なのでキニシナイ。



 魔国


「陛下、人間国にて邪神騎士が誕生しました。直ちに出立して臣従を誓わなければなりません」


「なん、だと?」


 邪神や邪神騎士は人間国内で生まれる物ではない。


 地獄の戦士として地獄からやって来るか、邪神の神殿内において下生する。


 でも今回は王の妻なので天命を受けている扱いだったのか、地上人にはなり得ない職業に転職。


 地上人には決して扱えない地獄の炎を扱える人物が出てしまった。


「すぐに魔国にお迎えせよ、邪神に連なる者は全て魔国に存在しなければならない」


 魔国の王、魔王でも思い違いをしていた。邪神騎士はそこに在り、自らの思いや考えが無ければ移動はしない。


 人間国を統治したいと思えばそうするし、魔国を遠隔地から治めたいと思えばそうする。


 魔王が招致しようとも、居住地を変更したりはしない。強制する物は処刑される。


 邪神以外に騎士に命ずることはできない。


「それは出来ないのでございます、陛下」


「何故?」


「邪神様以外に、邪神騎士様に何かを命ずるなど恐れ多い事。お迎や御行幸を願うことすら許されないのです」


「なんと……」


 家臣の諫めにより、魔国の王は邪神騎士の元に赴いて、屈従してでも膝を屈し、忠義を誓うために人間国へと旅立った。でないと魔国全員が経験値にされる。



 当主の部屋


 特に仕事をしている訳ではないが、領都からの報告書を見て仕事している気分になっている領主。


 内容は代官が適当に鉛筆ナメナメして書いた嘘報告書だが、厳しく管理している気になっているだけ。


 領内では五公五民を超えて、貧しい家では餓死者や娘を売る所まで出ているので、そろそろ百姓一揆で代官が吊るされるが「農民と油は搾れば絞るだけ」を実施されているのに気付いていない暗愚な領主。


 日本やアジアではキングは断頭台に送られない、と安心して増税して、問題事項は「検討」だけして、言葉面だけ「倍増」。でも外国には何兆円でもバラマキ外交している支持率29%の政府だが、サイレントテロは起こり続けていて、そろそろ民衆が蜂起して自衛隊や北朝鮮系の宗教団体がテレビ局とか官公庁を占拠して、生放送中にアナウンサーが射殺されて脳症ぶちまけたり、女子アナも生中継でレイプされる。


 日本の自衛隊は弾薬が無くて反乱を起こせないと言われるが、志位委員長とか東京ドーム何個分かの敷地に住んでる共産貴族とか、韓国北朝鮮中国系の支配地域では、ロケットランチャーから手榴弾、自動小銃に機関銃、歩兵戦闘車両から戦車、ヘリまで装備している所もあり、地震などで露呈して警察では処理できずに自衛隊が処分するが、米軍の許可なく踏み込むことは許されていない。


 一向一揆みたいに、群衆に踏み殺されても極楽浄土に行けると思い込んでる奴らが、わざとコケて死ぬ。



「旦那様、サリアリアお嬢様がお帰りになりました」


「うん? ブサイクすぎて実家に帰されたか」


 兄に顔を蹴られて顔が歪んで、牛乳瓶の底みたいな眼鏡かけてるのを嫁に出したので、流石に返されたかと思った父。


 こいつも家令が燃えている程度の「小事」は気にならない。


 嫁が第二夫人を殺して、その娘を虐め殺そうとしているのにすら気付かないで、納屋や屋根裏部屋に放り込まれて、碌な物も食べさせて貰っていないのにも気にしない父親。


 娘の発達はこの父親から遺伝した。


 三度の飯より虐めがダイスキな、性格最悪の思い上がった令嬢達は全員王の屋敷から返されたが、心根だけは綺麗な虐待や苦痛を知っている娘は顔面の骨折を治され、視力も治されて本来の美しさを取り戻していた。


「父上、帰って来てやったぞ」


「は?」


 外見が完全に別人、その上衣装が露出狂仕様で、真っ赤な邪眼で頭の上に黒い輪っかが浮いてて背中から透明な黒い羽根が生えている。


「じゃ、邪神騎士……」


 発達の親でも邪神騎士の外見は知っていたようで、下級悪魔と龍を引き連れ、他にも王とか侍大将とか忍者頭領も連れている悪魔の軍団。


 ここでやっとこさ娘が邪神騎士になっていて、先程からの叫び声は、娘が復讐に黒い炎で家令も使用人全員も焼いているのだと関連付けられた父。



 このまま放置して娘が成長すると、邪神がこの地に生誕してしまうかもしれない。


 父親がどれだけ馬鹿でも、それだけは阻止しなければならないのは本能が教えてくれる。


 教会や神から遠い人物でも、邪神の存在だけは決して許してはならない。そうしなければ普通の人間は皆殺しになるか、経験値と言う生贄になって邪神生誕のための養分として扱われる。


 生誕の地では地獄の蓋が開いてしまい、重魔害、重度汚染地区の中心地では全員が魔物になり、決して普通の人類が生きていけない場所になってしまう。


「お前も燃やしてやる」


「何故? お前は魔法なんか何も使えなかったのに」


 娘が魔法を使えなかったので追放すると、地下牢か屋根裏部屋に放り込まれて、散々虐められて不遇系の令嬢だったのに気にしなかった。


 十歳ごろにスキルを与えられる神殿で、魔法適性が無くて魔力ゼロだったり、ゴミスキルだけ与えられて「恥をかかせおって、お前など家に置いておけん、追放だっ」となった系統らしく、以後屋根裏部屋行きで存在しなかった扱いに。でもレベルを上げたらどうにかなった。


 これで加護縫いを使えたんだとか、実は与えられたスキルがゴミじゃなくて、古代エルフ語の魔法でも使える物凄い有用なスキルだったとか、世界樹を育てられる人類でただ一人の人物だったとか、生贄になりに行った龍の嫁になって王国乗っ取りぐらいなら「ざまあ」も軽度で済んだが、聖女を追い出した王国の連中の後ろに敵国の騎士団が並んで、大剣で一人づつ順番に首を桶に落とされるぐらいの窮地に。


「ダークネスファイア、こいつを地獄へ」


「ぐあああああああああああああああああっ!」



 これで眼鏡地味子さんの「ざまあ」が完了した。後はアホウとクズの巣窟である王宮とか王都まで焼いてしまうとミッションコンプリーツだが、その前に夫の前で跪いて挨拶をした。


「旦那様、長年の悲願を達成できました。後はもう、この身がどうなろうとも構いません、王が思うがまま、どのようにでもお命じ下さい」


 余程の苦痛を与えられたのか「自分が幸せになったらそれが復讐、こんな奴らどうなっても知らない、無視するだけ」みたいな甘い事は言わず、全員燃やした悪魔。


 脳みその中お花畑で、全部許したり復讐なんぞ恐ろしくてできない奴じゃなく、全員ぶっ殺せるのが邪神騎士と言う職業。


 暗黒の炎を点火してやるだけの簡単なお仕事。人間全員経験値にして、邪神として生まれ落ちるのが天命。


「良かったね、他にも燃やしたい奴がいれば好きにするといいよ、俺も手伝うから」


 やっぱりサイコパスなので、普通の人類なんか虫かゴミ以下の王。


 嫁の一人が燃やしたいなら、以前王都を守るよう蟻の巣と約束したが、上に住んでいる人間とかどうでもいい。


 直接知り合いになった子とか、ドングリ一個から依頼された時だけは受ける。


「有難き幸せ、わたくしの命は貴方様の物でございます」


 忠誠を誓ってから立ち上がった令嬢、他には舞踏会や夜会で嘲笑い続けた奴らを燃やしておく必要がある。



 実は鈍臭い上に理解力判断力が低すぎた令嬢の方が悪で、発達で作業性知能が低すぎて飲み物でも食べ物でもすぐにひっくり返して、わざと嫌がらせのためにしていると思われ、普通の従業員でもブチ切れ「テメエ、もう一回同じ失敗しやがったら俺が殺してやる」と虐めでなくても言わせた人物。


 今ならステータス値も上がって、知力も器用さも上がってはいるが、それ以前は作業が下手過ぎて、職場などに行っても全く使い物にならない系統の奴。


 普通の人からも嫌われ虐めが開始され「アンタ計算全部間違ってるからやり直せ」「ふざけてんのか?さぼり続けて寝て給料もらえると思ってんのか?」などなど、お局様以外からも虐められて辞めるまでイビられる。


 女さんならではの人生イージーモードで、よく分かってくれる彼氏と結婚して子供作っても、不幸の連鎖でこの令嬢の子供は発達障害持ちとして生まれて来て不幸の人生を送る。

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