第26話西部戦乱、受付嬢の反乱

 余計な奴らを駆除して、窓外投棄し続けて約一週間。


 周囲の城砦も遺族が相続できるように処理してやり、まるで亡国の王子がお家再建する雲を掴むような話を絵物語通り実現してやったり、奴隷落ちしていた子供が力強い青年になっていたのを連れて来て、インドのボリウッド映画クラスの英雄譚で王国を取り戻したり、老師か忠臣のように王の座に付けてやったり色々と楽しんだ。


 力尽くで占拠しようとした悪の大臣やら、魔族に操られた系の奴らには全員不幸になって貰い、頭目が逆バンジージャンプで星外投棄させられたり、断熱圧縮で燃えながら大気圏突破させて近傍天体にしてやったり、他のメンバーは手足飛ばしてやり働きBBAの1メートル級の蟻が連行して蟻の巣行き。


「飛べええええっ!」


 ジャッキーチェン映画のエンディングNG集的な、相手の腕を掴んでハンマー投げの要領で回転して星外投棄してやると、腕だけ千切れて残ってしまい笑ったり、服がちぎれて投擲距離が少なくなるので、頭掴んで投げたら頭だけ残ったり、楽しいお笑いシーンが沢山出来た。


「うん、大体思い通りに出来たかな?」


 やっぱり殺しまくっても、スレッタさんみたいに「ミオリネさんっ、助けに来ましたよっ」とニコニコ笑っているのでサイコパス。


 王からすると悪党共は「もりのなかまたち」ではないので悪即斬。


 周囲六個の城砦と町や村の数々も、どうぶつの森的に仲間増やしたり経営したり、領主を決定して楽しんだ。


 でも悪党と魔族は全員蟻の巣行き。魔族の中にも善人は居るのだが、悪行ばかりするキャラや泥棒的な位置づけなので、集まれピニャータ的にもSATUSUGAI。


 BADポイント的な物や遺留物が残ったりするがキニシナイ。


 元から殲滅竜の影の中には死体山盛りで、怨嗟の声が響きまくっていて、デビルマンのジンメンかヘルシングのアーカードさんみたいに死体塗れ。



「こ、こんなに沢山のお金?」


「まあ、国家再建にでも使って下さい」


 人間国の金は腐るほどあったので、受付嬢とか近くの城砦の領主にした連中に金を渡して、大量の穀物とかも置いて行った。


 受付嬢さんを周囲の城砦も治める辺境伯にしてやり、ほぼ独立状態。


 当のご本人少々デブいアラサー三十路女だが、情報部員レベル99でカンストしているのは知らない。


「イーーーヒッヒッヒッ!」


 悪魔的な三十路女の「ざまあ」が盛大に開始された。


 殺された母親に罪を擦り付けて逃げた、正妻面していた女を探し出して残虐に殺し、幼い頃に自分をないがしろにして虐めた連中やら使用人も全員処刑。


 親族も自分の味方は優遇して、敵は殺しまくった。


 それまでは亡国の姫が故国を取り返す綺麗なお話だったはずが、一転攻勢?で恐怖映像になり果て、肛(けつのあな)から射殺されるような連中が増えて、街中にも絞首刑で死んでる奴らが片付けられることなくぶら下がったままで、街路樹ごとに死体が吊り下げられているような地獄絵図。


 魔族への協力者や商取引していた者、魔族に体売っていた売春婦も、愛人になっていたようなのも「遺伝子が汚染されている」「卵巣の中身が魔族の血で予約されている」と言い掛かり付けて全員処刑。


 共産党員とか独立政府とか革命政府立ち上げていた連中も、一斉取り締まりの上で問答無用で処刑。


 ジョン失地王並みに馬鹿にされていた父親の名誉だけ回復して、受付嬢本人は西大后並みに殺しまくって、腹違いの兄弟なんかは特に残虐に処刑されて行った。



「あはははははっ! お前たちの息子や娘、孫曾孫に至るまで足から挽肉機に掛けてやって、その苦痛の声や怨嗟の声を聞かせて、ハンバーグにして食わせてやるっ!」


 当時の関係者が生きていたら、孫子(まごこ)の代まで苦痛が与えられてから殺され、死んでいる者は墓を暴かれて死体が取り出されて鞭で打たれ、辱められて下水の中に遺骨が放り込まれた。


 人の命がエブリデーロープライス、品揃え豊富で死体が陳列されて行き、もう完全に悪役側。


 多少の不整合が起こっても、ご本人がレベル99のワンダーウーマンなので、ガラスの天井なんぞ簡単にぶち破って、アメコミみたいに鎖で巻かれても全部引き千切るぐらいのパワーがある。


 受付嬢は暗黒騎士に転職する道を選んだ、次は邪神騎士になれるほどカルマが酷くて、カリスマもあるので余裕でなれる。


 ちょっとデブかったので、暗黒装備すると内面から食われてガリガリに痩せられて超ダイエット。


 手の甲に聖痕が出て出血し続けたり、頬に反清教徒の印が出たりするが、黒いコートに首のあたりに白いボアボア装備で、顔色悪すぎるのを化粧で隠すとビジュアル系バンドみたいな装束になる。


 王の関係者なので天命も受けているようで、地獄の蓋が開いて上級悪魔とか下級悪魔も一杯やって来る。



「うん、あのお話の後ってこうなるんだ」


 日本の鎌倉武士がマジキチとか言う以前に、大陸の歴史なんか見ていると王朝が変わる時とか悲しくなるぐらいに人が殺されまくって、処刑されて処刑されて吊るされて斬首されて死体まで放置プレイ。


 後に丞相になる人物でも。王に逆らったからと即小便壺の底にぶち込まれていて、上から小便している人物に助けを求めるぐらい悲惨。


 宗教的に血が出ないよう、袋の中で馬に踏み殺されるのはモンゴルのケレイト族ぐらいで、それでも敗戦して逃げた時ハーンの嫁のボルテさん拉致してNTRして、長男?のジュチさん妊娠させた部族は全殺し。


 近所の領地の領主まで、受付嬢に逆らったら処刑されて首が挿げ替えられて、完全に王国のコントロール外。


 領主や辺境伯が出過ぎたことを行わないよう、御成敗式目とかマグナカルタが制定されるほどに狂いまくって処刑された。


 でも人類は「もりのなかまたち」では無かったので王も放置。


 アーブの人みたいに統治者は決めたが、その政府が専制政治であろうが、投票制の民主国家であろうが気にしなかった。



 教会の中や政府内の伏魔殿の悪魔やら、金に汚すぎる悪魔崇拝者共、麻薬取引業者やマフィアに奴隷商人に高利貸し、元貴族階級やら共産党員まで綺麗に片付いたので住民は歓喜。


 税金に群がるシロアリも駆除、申請するだけで上級国民が税金取り放題のNPOやら、働かないでヒキコモリニートして生活保護費貰う方が労働者より金貰っていたようなのも全員処刑。


 今までは異民族異教徒など少数派を利用して統治されていたので、それが一転攻勢?


 フランス統治下のルワンダでは少数民族ツチ族が恨まれる支配階級だったのが、多数派のフツ族がラジオで「外に出てツチ族のゴキブリ共を殺せ!」と叫びまくり、中国製の一本十セント程度の山刀(マシェット)が配られて殺戮が行われ、ホテルルワンダの映画みたいにトラックで通行しようとすると、死体塗れで死体を轢いてしまい通れなかったぐらいの地獄が現出してしまった。



「あ~、絵物語の姫も王配の冒険者も結局こうなるんだ、やっぱり人間って面白い」


 自分が辺境伯に指定してやったので、王も否定しないし、もちろん滅ぼそうともしない。


 埋蔵金とか公共投資用の金は、元上級国民が濡れ手に粟だったのを処刑して没収。


 オリンピック開催費はコンパクトに六千億だったはずが、俺も一口噛ませろと言うだけで「ヨッシャヨッシャで三兆円」で、森元総理みたいなのが、賄賂に随意契約まみれだったのを次々に逮捕拘禁して処刑、遺族も資産没収してから下方。


 王から貰った金もあったのでヒトラー並みにアウトバーン建設して、通常の労働者なら働けば豊かに暮らせるように、小作人でも新しい住居や畑、国民馬車が持てるようにしてやると、市民達の目付きがおかしくなるぐらいに受付嬢に入れ込んで、右腕掲げて古代ローマ方式の挨拶し始める始末。


 不正が存在しない世界、半グレとかグレグレのヤクザがみかじめ料徴収しない街、汚染された売春宿などの悪所が存在できない場所、役人天国で東南アジアみたいに下っ端の警察官になるだけで数千万円の賄賂が集まって来ない世の中を作り上げると、国民も虐げられているはずなのにナチスやロシアみたいに国民が熱狂してしまい、泣きながら右手上げて国家詠唱するぐらいヤバい場所になった。


「我が国家~、我が領主~、我が国土~~! 異国の侵略を討ち倒せ~~!」


「東はラインラントから~、西は遥か海までも~」


 公共の場で三番まで歌いきると即逮捕される系統の歌が、酒場などでも公然と歌われ始め、新国家誕生を祝っていた。


 浜田さんとか今田さんが通わされていた日生学園みたいに、男共が上半身裸で肩組んで、泣きながら合唱する洗脳済みの連中が沢山いたり、何事かあらぬことを叫びながら素手で便器洗ってるようなのも大量。


 金巻き上げて贅沢三昧の上級国民も死んでヤクザも遺伝的に脂肪。貴族制廃止されて国民軍になったので、士気と言うかナポレオン軍並みにモラルが高くなり、前後二正面作戦でもロシア相手でも平気で勝利する鉄の軍団になってしまった。



 蟻の巣に護られているのも利用し、歩兵達が大蟻に乗って機械化移動。


 西側の将軍が見守る前で、JS3(ヨシフスターリン3)戦車が閲兵したぐらいの脅威。


 大蟻の力で、魔族に占領されていた人間国に逆侵攻を始めて、相手側補給が無いので凄まじい勢いでブリッツクリークして、マジノ要塞であろうがベルギー側から迂回して領土を拡張し始めた。


 新国家は旧態依然の戦争方法を書き換え、新ドクトリンで新戦略を打ち立て、大蟻ユニットに歩兵がスタックして、機械化移動する方式を採用。


 魔族や敵側がチャリオッツでパッカパッカやってる間に、大蟻やら機械化ユニットが後方に移動して包囲殲滅したり、農民兵ではなく国民兵の魔法科師団で擲弾兵が蹂躙したり、魔族軍の要塞でも城砦でも一瞬で陥落。


 もう「映像の世紀」並みの恐怖映像で「パリは燃えているか?」の楽曲鳴り捲りの、背景でヒトラーの演説がドイツ語で流れ続けて、四号戦車(大蟻)やユンカーススツーカ(飛竜)がブリッツクリークし続けるぐらいの地獄絵図。


 元辺境伯領では古式ゆかしい民族衣装に身を包んだ騎馬兵が市民の前を行進していたり、松明(たいまつ)を掲げた兵団が鉤十字とかゼットの文字を描いて回転していたり、見ている群衆も泣いて右手上げていたり、もうおかしくなっている連中なので会話とか会談とか和平交渉もムリ。


 ヒムラーとかゲッペルスみたいな目付きがおかしいのも、世界を征服できそうな制服着こんでいるのが綺羅星の如く並んでいて、「プーチンの頭脳」とかラスプーチンみたいな怪僧までいて、処刑される前のロンメルとか、宣伝とか洗脳とか戦争とか、そういう才能がある奴らが平民から選ばれる体制になっているので救いようがない。



「フフフ、聖帝十字領の礎となれいっ!」


 ご本人最前線でレベル99の威力を遺憾なく発揮して、巨大ストーンゴーレムとか魔族の幹部とか十二魔将まで倒すぐらい大活躍。


 北斗聖拳と南斗聖拳使いが空中で交錯するぐらい「アチョーーーー!」とか叫んで、着地すると魔族幹部が血を流して倒れるぐらいの使い手。


 受付嬢は教科書に載った。


 失地王どころか、人間国を取り戻し始めた英雄王になって、新国家旗揚げして王国にも逆侵攻してくるぐらいの征服王になった。


 もし王と結婚して貰い、下のお口もお腹いっぱいにして貰って子供でもできていたら、違う歴史が描き出されていたかもしれないが、空腹や渇望を満たすがごとく領土拡張にいそしんだ。


 まあ「私は国民と結婚した」とかホザいて、エヴァブラウン的な愛人は持ったかも知れないが、下方婚せずに過ごしたらしい。


 人類側から見ると大英雄なのだが、王国とか国王から見ると裏切者で、王国簒奪を狙う悪役令嬢。


 新国家は支配されていた人間国全域を解放し、巨大な版図を支配する大帝国になった。


 西部戦線ではまだ魔族と戦っているが、バトルオブブリテンみたいな決戦をして、悪魔始まりの島まで追い返す所まであと少し。



 王都騎士団


「以前お伝えした通り、辺境伯領より大幅に拡大した領域が、ついに新国家成立を宣言しました」


「あああ~~~~っ!」


 また騎士団長が乙女みたいに顔を覆って、クソデカため息を上げた。


 もう新聞に「WAR」と大書されるぐらい明確に戦争の開始で、明日にも新国家がバルバロッサ作戦的に王国の領域に攻め込んで来る。


 元から「魔族(ドイツ)の科学力は世界一~~!」だったので実現可能。


 魔族は自分が強力過ぎて、強者には機械化歩兵なんか必要ないので移動力が遅い、蟻語は話せないので会話不能で搭乗もできない。


 でも元受付嬢の城砦では王との契約で「人間はお友達」なので、度胸さえあれば搭乗できるし、大蟻が守ってやる。


 魔族支配下で機械の扱いを学習した職人が、魔道具各種を製造してくれて、子供でも機械や魔道具を扱える。



 魔族が置いて行った(元の持ち主全員死亡)、飛竜や火竜が制空権を確保してスツーカ的に空爆。


 空の上ではサイレン鳴り捲りで、降下する勢いと風圧でサイレンが鳴って、直下は爆撃警告を受けて逃げ惑う魔族とか人間国の住民が泣き叫ぶ。


 ナレーションでも入って「奴らの蚊トンボはブンブン飛び回っているのに、私達の兵は何をしているのか?」となって、やっぱり「パリは燃えているか」も鳴りまくりで、爆撃受けている都市ゲルニカ並みに崩壊しまくり。


 軍靴の足音鳴り響き捲りで「戦争になったら酒でも酌み交わして話せば何とかなる」とか絶対にムリ。


 北朝鮮軍みたいにシャブ系統の人工麻薬、戦闘薬キメてるのが三日間眠りもしないで食事もとらず、三十八度線を割って南下してくるので、ソウルの街なんか一瞬で焦土になって、逃げなかった住人全員血祭りにあげられる。


 オクスリ飲んでないのも、全員目付きがイカレテル連中ばかりで、我が総統閣下(マインフューラー)に向かって右手上げてるのが、怖い顔して隊列組んで四号戦車(大蟻)に乗って行進してくるので一切話通じない。


 性質が悪いのが、自分達は解放軍で、貴族や麻薬業者や高利貸しやら、悪辣な人物から人民を救っているんだと思い込んでいる所が怖い。



 ここ数か月で大幅に地図が書き換わった。魔族は大幅に後退して魔の森付近の支配力を全て失った。


 ソビエトが存在していた頃の地図や地球儀みたいに、今では以前の支配領域は一切役に立たない。ユーゴは内戦でズタボロ、バルト三国は独立して中央アジア各国も独立。


 魔族の方も、ゴルバチョフ書記長が一人寂しく、ソビエトユニオンの解散を発表するぐらい哀れな状況。



 冒険者ギルド


 先日まで同僚で部下で使用人だったはずの奴が、辺境伯に指定されてから発狂したようで、色々と粛清の嵐が吹き荒れ死体の山の恐怖映像。


 魔族支配下に置かれていた人間国を全部取り返して、連戦連勝だったので自信でも付けたのか、新国家を宣言してその解放?状態を母国にも適用するために、明日には宣戦布告をして大蟻に乗った兵士数万と、機動歩兵機動戦闘車両が傾れ込んで来る。


 王国の王都はまだ蟻に護られていないので無力。機動力が違い過ぎるので負け確定。


 更に受付嬢を領主に辺境伯に任命させたのは王なので、もう止める奴がいない。


「王よ…… 恐れながら」


 青い顔したギルドマスター(情報部)と秘書の新受付嬢がやって来て「緊急クエスト、攻め込んで来る新国家から王都を守れ」と言うクエストが生えたのを知らせて来た。


「やあ、受付嬢さん、今度のクエストは?」


 ガッタガッタ震えていて、新規クエストの書類も保持できないレベルの受付嬢から依頼書を取り上げる。


 王からすると、どっちも受付嬢なので区別も差別もしない。と言うか人間の顔は大して区別がつかない。


 顔はブサイク枠に分類されるはずのルリナが、デカイ面で正妻面して居座れるぐらい。


 美形度では究極のエルフ美少女達とは明確に区別されるはずだが、他の令嬢とかも居座っている。


 白人の顔を見慣れていない子供だと、ポールニューマンとクリントイーストウッドとカークダグラスの見分けが付かないような感じ。


 信じられないとか「そんな馬鹿な」と思われるかも知れないが、地方都市に白人黒人は居ないので、洋画見慣れていない昔の子供には見分けが付かない。


「じゃあ受けるよ、前の受付嬢さんと話してくる」


「へ……?」


 王が城砦を開放してやって領主にして、辺境伯にまで指定して、城砦内での殺戮を見逃し、西側に向けて魔族領と言うか旧人間国に侵攻しまくって取り返し、アタマイカレテル幹部達が新国家宣言したのも素通りで見ていたのに、王家でも手出しできないで暗殺団も送れないで見守っていた奴と話してくれる。


 半グレとか東京卍会とか壊滅させて、奴隷商も麻薬取引業者もマフィアもヤクザ全滅、ユダヤ人的な高利貸しでもクリスマスキャロルのスクルージでも皆殺しにした化け物でも、王なら何とかなるかもしれない。



 王都


 また手下を連れてほんの数十歩移動。魔道具でも取り出して地下の連絡先にスマホ?で電話。


『やあ、蟻さん、今、上まで来てるんだ、ちょっと誰か出て来てくれないかな?』


 王なのでカチカチコチコチ言うだけで、王都地下の蟻の巣と連絡がついて、数分以内にマッハ(死語)で巨大蟻が地面から出て来た。


『久方ぶりでございます、結婚式以来でしょうか?』


『うん、あれからも人間とかエルフの里から沢山お嫁さんを貰ってね、今後も仲良くしてやって欲しいんだ』


『畏まりました』


 また蟻の巣の絶対の掟の最後に「エルフと人間はオトモダチ」と刻まれた。


 それから日常会話などして、冗談?なども言い合いながら挨拶して、連絡事項なども伝えて、楽しい時間?を過ごしてから別れた。



 受付嬢の新国家が攻めてくるとかは一切言っていない。数百万の蟻の巣一個からすると、数万の兵士だとか機動歩兵なんか「誤差」でしかない。


 機動戦闘車両に多少手こずる程度で、外から酸ぶっ掛けてやると、人類が生きて行ける環境ではなくなるので、呼吸できなくなって勝手に死ぬ。


 ノモンハン事変以前、戦車なんかない日本人が靴下に火薬詰めてグリス塗って、人間ごと玉と砕けて爆破しないでも、ジューコフ将軍がやって来て、戦車のハッチを溶接して逃げられないようにして前進させないでも、大蟻の前なので人間は全員死ぬ。


 蟻に魔法攻撃しても大して効かないし、爆裂魔法ぶっ放してもマップの端まで飛ぶぐらいで、走って戻ってきてまた攻撃されるだけ。


 数万の兵士でも半日あれば全員地下に搬入できる。残った手足とか顎は、巨大ゴキとか巨大マンティスが食べて応援。


 長くても定時までには片付き、残業する奴は少なくて済む。蟻の巣内は三交代制ぐらいの工場と同じなのでキニシナイ。


 残りの血の海とか川が残るだけでスッキリ解決。


 そして、蟻の巣同士は抗争になるので戦わない。仁義なき戦いとかしない。


 これで王都も蟻に護られた都市になった。負けはしないが勝てもしない。



 新国家


 領主屋敷では国家運営できないので自宅として利用し、首都?の巨大ホテルとか接収して、机に机上戦闘用の地図並べて、駒を配置して長い棒で移動させて大規模机上演習中。


 開戦と共に王国側に斬り込んで、素早くブリッツクリークして王都まで占領。


 国王一家を処刑して、貴族家も全員処刑して吊るして斬首してギロチンに掛けて、やっぱりジャコバン派であろうが白軍であろうが全員処刑。


 コンスタンチノープル陥落の時の王族貴族みたいに、お互いを許し合って謝罪あってから、笑顔で泣きながら敵軍に斬り込んで全員死ぬような結末を味合わせてやる。


「タイムスケジュール通り決行できれば、王都は十二時間で落ちます」


「うむ」


 プーチンのロシアみたいに、ウクライナの首都キエフは三日で陥落するとか、開戦直後のイギリス的に、クリスマスまでには終戦して家でくつろげるとか思っているが、実際開戦すると地獄の蓋が開く。


 相手側にも大蟻が付いたので、それからは塹壕戦とか人間同士の平原戦になって、何か月も何年も殺し合って殺し合って、死体を土嚢みたいに積み上げて、二〇三高地みたいに数字でしかない場所に屍の山が積み上がることになる。


 まだ勝ちまくっている状態なので、負けて地下壕に籠って側近に向かって「ヒトラー最後の十二日間」みたいに「オッパイプル~ンプル~ン」とか「チクショウメ~~!」とか叫んでいないだけ。



 そこに王がやって来た。ルリナとか休暇を終えたエルフもいるのでアルファワンゴー(動詞)。


「やあ、受付嬢さん、今の領地どう?」


 辺境伯にした後は大して気にしていなかったので、数か月間で人類領地全部取り返していたとは思ってない。


 自分から離れたレベル99とか、三次職になってから解放した奴はいないので、魔族領で北斗無双していたとは知らない。


「ヒイイイイッ!」


 悪逆非道の行いをして来たので、今回は首チョンパか窓外投棄の後は蟻の巣行きだと感じた受付嬢。


 現在のレベルの暗黒騎士だと、王が「シュパアアアアアッ!」とオーラ出してるのが見えたのか、相手が神で自分がゴミクズだと察したのか、やっぱりF1グランプリFUJIのトヨタ応援席で、鬼軍曹が「起立~~~~~~っ!」とやったみたいに直立不動になった。


 後は頭の上で絵文字を描けと言われればそうするし、観客のウェーブの練習をしろと言われればそうする。


「今度、新しいクエスト受けて来たんだ」


 新クエストを差し出されると、DEAD OR LIVEで自分の顔がプリントされた「手配書」で「新国家の侵攻から王国を救え」の内容が見て取れた。


(あ、これ、アカン奴や……)


 受付嬢は即座に自分の死を覚悟した。


 多分、軟鉄の剣で両手足切り飛ばされて、お仲間の「蟻さん」を呼ばれて抱卵器の刑。


 すぐに降伏したので、ここに「西部戦乱、受付嬢の反乱」事変が終結した。

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