第25話余計な者、全部窓外投棄
エルフの里
『ここにっ、菜の花のつぼみとカレイドの花の受胎を発表するっ!』
また長老とか古老が演壇の上に立って、王に出した嫁の内、年上の二人が懐妊したのを宣言した。
外見年齢十四、五歳、実年齢四十五歳ぐらいの合法ロリだが、エルフなら初潮開始年齢で結婚適齢期。
エルフの里的には賢者や忍者頭領が複数誕生していて、忍者連中も聖女をカンストしてから転職しているので、治療魔法は全部使える。
今後この二人は王の所に返さないで、里で出産させる予定。
さらに王の呼びかけにより蟻の巣との同盟も結ばれ、エルフは攫われなくなり周囲を人間国や魔族の襲来から守って貰える。
長老も古老たちもひたすら滂沱。エグエグ泣いて言葉に詰まったりしたが、嫁達が魔族の物流拠点からパクって来た食料に魔道具に家電製品?も大量で、古老会の寄合所の前に穀物サイロが二本立っている。
全員働かないでも二十年は食っていける勘定で、おやつにお茶うけにドライフルーツ食べ放題。肉類の瓶詰や干物は売るか王が持ち帰り。
魔国の金貨や討伐証明を人間国に持ち込めば、五十年から百年は豊かな暮らしが約束されている。
もう野に咲く花様様で、里に王を連れて来てくれてからと言う物、オーガから解放されて魔族の脅威も蟻の巣のお陰で消滅。
北の方にある人間国からも攻められる寸前だったが、またも王と蟻の巣により、嫁達のレベリング対象にされた後に蟻の巣が全部回収。
嫁のうち二人も妊娠していて、実家に十長の家でも長老会でも妊娠検査薬を使われ、何度も鑑定士が確認してからの発表。
二人共三次職カンスト寸前で、以前のようにオーガが大量に来ても全員瞬殺。
他の嫁達も体育系と言うか軍人系列で戦士の家系の娘で、里への忠誠度もマックス。魔族の物流拠点で取ってきた物も全部自主的に里へと供出してくれた。
今回被害があるとすれば、この娘達の婿の座を狙っていた連中ぐらい
反長老派とか若い連中(数百歳)も黙ってしまい、つい先日まで無能扱いされていた長老が尊敬の対象に。
王と並んで石像でも立てられ、野に咲く花の石像とか女神像も作られ、長く語り継がれる繁栄の象徴になった。
話も大分盛って神聖化作業なども行われたが、長生きなので生き証人がいる間は無効。
こちらも蟻の巣に護られているので鉄壁。もう魔族にも人間国にも煩わされることはない。
木の上にビッシリエルフを並べて『何をしに来た、人間っ!』とか言っても、実は少数の戦士だけなのでガクブル、数百人の魔族の軍団なんか来た日には一瞬で降伏。
人間の軍隊千人程度でも蹂躙され略奪され放題で、娘や外見だけきれいに見える女は全員攫われて、逆らう男は外に引き摺り出されて殺されるか、嫁や娘が強姦されていても膝を着いて奴隷服従を誓った男や、子供だけが奴隷として生かされる世界だったのとは隔世の感があり、王一人の力と王を呼んで来てくれた野に咲く花の功績で、安全保障上の問題がすべて解決した。
『もうこれでオーガに占領されたりせんで済む』
『ああ、朝(あした)に理(ことわり)を知れば夕べに死すとも可なり』
何か孔子みたいなことを言って泣いている古老もいて、何かピキーンとクンダリーニ覚醒しちゃったのか、アッチの世界に旅立った者まで出た。
「ギリイッ!」
それでも子供のために一肌脱いで、オーガに体売って食料の配給を増やして貰った連中や、レイプされて妊娠までさせられた連中には「ギリイッ!」案件。
嫁に行くこともできない身体にされ、近所からも馬鹿にされて笑われ、里を追放されるか出て行くことしかできないで、乙女を失って王の嫁の地位にすら立てない連中からは、歯噛みして憎しみの表情で見られ、王の子を妊娠したなど決して許されないので羨望と嫉妬まみれのまなざしで見られた。
女の人生は全て「嫉妬」。
綺麗な服やらカバンやら高級な靴を履いていれば自分の値打ちが上がるんだと思い込んでる連中が、ひたすら嫉妬しまくってインスタ映えする画像をアップして、他人から羨まれる生活をしているんだと宣伝しまくって、承認欲求モンスターになって自己宣伝を繰り返す。
宝石金高級車、高価な服にブランド物。中身空っぽでも高級な服にバッグで身を包んでいれば、他の奴にマウントできるんだと思って、嫉妬し続けるのが女の人生。
どうにか競争を勝ち抜いて医者の嫁の地位についても、都内で一億円以上する屋敷に住んで、使用人を使って家事なんか一切しない生活をするんだと泣き叫ばないと、自分は上流階級なんだと叫び続けないと耐えられないのが女と言う生き物。
医は仁術などと言って地方や離島で医術に携わって、そのおかみさんになって医者を支えようという奴は選ばれない。
体育会系で軍人一家で、バケツプリンでも食ってれば幸せな女からは想像もつかないほど、凄まじいまでの憎しみの目で見られていた嫁一同と野に咲く花。
珍しすぎる高潔な人格で、母親や家族や仲間を救おうとして里を飛び出した子供は、里の女連中から憎しみの目で見続けられた。
子供ならではの仲間意識が、女連中からは絶対悪として認定されて、これ以上ないほど呪いが籠った目で見られた。
ちなみに姉と言うかコトメからすると、言葉遣いに気を付けておかないと、勝利宣言して「オホホホホ」とか抜かすと、ムカ付いただけで腹パン堕胎され星にされてしまう。
王都騎士団
「先日に引き続き、昨夜も西の城砦が解放されました……」
「なん、だと?」
報告は明確に明瞭に伝えるよう言われているので「な、何が起こったのか分からないが」は無しで、王によって「受付嬢」の故郷が解放されたのが報告された。
大蟻の大軍が殺到して、魔族の住人や駐屯していた連中が全員蟻の巣の底に連れ去られてしまい、人間の住民は免除。
大蟻が倒せない巨大な屋外用ストーンゴーレムとか、巨大従魔は王がブレスで射殺して、熱で爆裂して滅んだ。
それらの全てが旧領主の娘の受付嬢が泣いてしまった所から開始され、酔っていない殲滅竜の姉さえ弟の言うことを聞いて殲滅ブレス禁止。
領主家を接収していた十二魔将であろうが、不死王であろうがリッチやヴァンパイア連中まで全員撲殺。
受付で「これで受付嬢さんがお家再興できますよね?」と言ったので、どれだけ領地が欲しい奴らからの賄賂が絶大でも、別人を採用すると王に撲殺されるので、例え国王でも他者を任命できない。
無視すると別の王国を旗揚げされてしまう。
「周囲の城砦からも魔族が逃げ出し、補給が絶えた事からも多数の城砦や村が解放されている模様。さらに撤退中の魔族も周囲の蟻の巣に捕まり、順次地下に連れ去られております」
「ああ~~~っ」
オイシイ餌で抱卵器が沢山出来て、王公認の上で誘拐できるので、これ幸いと地下に連れ去っている周辺の巣。
入れ食いでかっぱぎ放題なのでウッハウハで「蟻の巣だけは嫌だあああっ!」の叫び声も多数、連れ回し行為で拉致監禁。
魔族からすると地獄絵図だが、人間国からすると大勝利。奪取されていた城砦も周辺の村も街も全部王国に帰って来た。
受付嬢の扱いだけを正確に正常に行えば、反乱も起こされずに国富も国土も戻って来る。
でも扱いを間違えて、何処かの馬鹿が「ここは俺の領地だ、出て行け」などとやると、下手すると王国とか国王一家までぶち殺されてしまう。
現場にいた訳ではないので、騎士団方面では「この都市は大蟻に護られている」のは知らない模様。
翌朝
受付嬢も落ち着いて泣き止み、ちょっと夜半に王の部屋に下着姿で乱入しようとして夜這いすると、弟の部屋の隣で警戒していた姉竜から「なめてんじゃねえぞ、ちょっと領地取り返して貰ったからって夜這いかけてんじゃねえっ」と片手で軽~くネックハンギングツリーされてしまい失神させられ撃退。
ユルユルの腹をして多少デブい、三十路間近でほぼ倍の年齢の受付嬢はノーサンキューだったので、夜間戦闘は気が弱い貴族令嬢やらルリナが王のお相手することになって対戦。
そっちも姉竜から「ギリイッ!」対応されて怖すぎたが、嫁なので弟の目の前でネックハンギングツリーすることもできずに退散させられた。
いつもならエルフの少女ょぅじょが厳重警戒しているはずが、全員休暇でエルフの里に帰っているので、ルリナだけが「ガルルルルル」とか言いながら警戒。
こっちの令嬢はルリナの「お姉さま」にはならなかったが、初心者にルリナがご指導して、もう少しで年下のお姉さまになる所だったらしい。
「シクシク」
全てを奪われて泣いている令嬢の横で、ガウンでも着込んだルリナがツヤツヤになっていて、ブランデーグラスかワイングラスにお茶でも入れて飲み、葉巻は吸えないので何かの葉っぱでも吸って悦に入っていた。
「おはよう、これで今日から君も俺の奥さんだ」
「はい……」
声も小さいので夜の声も小さく「お許しください」とか「痛いっ、やめて下さい」と言って泣くので、ルリナみたいに金貨二枚の為なら入らない場所に無理やり、躊躇わずに自分で体重掛けてねじり込んで子種出させる度胸も無く、ずっとヒーヒー泣いていたので敵認定されなかった哀れな令嬢。
はっきり物も言えない、他人と目線すら合わせられない気が弱すぎる令嬢を見て、キッツイ性格の姉竜からも「ギリイッ!」対応されたボッチコミュ障令嬢。
実家の兄からも奥様(正室)からも虐めまくられて、使用人にも笑われ蔑まれてきた不遇系なので、王に復讐のクエストでも持ち込むと、家人使用人全員消滅させられるか蟻の巣行き。
でも気が弱すぎて毒親に完全に制圧されているので、綺麗事を言わされて「殺さないで」「復讐なんかしても何もならない」とか、少女漫画系のお綺麗な戯言しか言わないので、読者や王でも「ギリィッ!」。
親も兄も、王に嫁を差し出して権力を譲って貰えると思っているので、まさか正拳突き喰らって星にされるとは思っていない。
そこでノックも無しにドアがバーンと開けられ、気が弱い娘相手に一晩ハッスルしてたのが気に食わない、超機嫌が悪い姉竜が現れた。
「姉さんっ、ノックぐらいしてよっ」
サザエさんに対するカツオ君ぐらい立場が弱い弟。もう屋敷に住みこまれてしまい、義姉と言うかコトメ面して追い出されるまで居座る予定。
全裸のまま令嬢と暫くイチャコラしたかったり、ルリナの機嫌が悪くなったら朝っぱらから一発開始してやろうと思っていたのが台無し。
「そんな気が弱いキモい女、さっさと追い出せっ」
キッツイ性格の姉なので、同性の場合は自分と同じキッツイ性格の女としか友達になれない。
更にゆかりんみたいな関係リセット癖があるので、令嬢とは別の意味でボッチ姉。
でも異性で弱者男性の場合、遺伝的に清潔感があると、長瀞さんみたいにパイセンが好きになることもある。
ジャガー横田と医者の旦那さんぐらいに関係になるとWINWINなのだが、産まれた子供は医者の頭脳とジャガーの肉体にはならず、脳がジャガーで肉体が医者の弱い体と言う最弱の存在になったようで、高校受験にすら失敗した模様。
「今日から俺の奥さんだからね、手出ししたりしないでよ」
「ギリィッ!」
やっぱり弟と、あんなキモい系のダサすぎる女が結ばれたのが気に食わない姉。
もっと襟足が長くて超気合が入っていて生意気で、ヤンキー座りして三段シートのバイクで毎夜暴走するレディースで、拳で語り合える系の義妹が欲しかった所。でも弟の好みとは全然違う。
もし学校ならキッツイ姉にも悪役令嬢にも取り巻きにも虐めまくられるが、婚約破棄の断罪イベントパーティーは無かった。
でも不遇系なので「ざまあ」イベントはある。
着替えて朝食になり、令嬢農民市民の娘は教会の連中がお迎えに来て、小さな治療院で聖女クエスト行き。
ルリナは聖女イベントには飽きたが、先日まで村人Aや農民Aだった娘は、聖女扱いにド嵌りしてしまっていてベテランの修道女が洗脳中。
見習い聖女達から「清浄な奥の院を見たくはありませんか?」と言われて誘拐寸前に。
そのまま元村人や元農民が連れ去られてしまい、結界張られてもルリナが次元刀で斬って脱出。と言うような日常。
冒険者ギルド
受付嬢は即退職届を出して脱出したかったが、情報部から是非にと慰留され、王の嫁コースに入って情報部に報告するよう要請があった。
「君、今まで上手くやれてたじゃないか? 受付嬢と言う身分ありきの領地解放だろ、これからも残ってやってくれ」
「いえ、領地経営とお家再興がありますので、これにて失礼します」
王の後ろ盾があるのでキッパリサッパリ退職したが、別に王家から再叙爵されたり領主に任命された訳ではない。
まあ馬鹿が多数現われて「ここは俺様の領地だ」と開始するのは目に見えているので、出来るだけ早く屋敷も領地も周囲の都市も接収しなければならない。
受付嬢的にはこれからが決戦なので、早々にギルドと言うか情報部を退散した。
「みんな、魔族から取って来た物は換金していいよ。食料とかあったら俺が買うし」
色々と現物がアイテムボックスにある者は、小さな治療所に行かず、まずこちらに来て換金を勧められた。
王は「もりのなかまたち」を豊かにしてやるクエストを自分で発注しているので、食料品は無料で撒く。
色々な魔道具はさておき、梱包されたままの屋外用ストーンゴーレムとか、巨大アイアンゴーレム、ミスリルゴーレムなどまずお目に掛かれない商品が並べられ、見た瞬間に死が確定する系統の魔獣を従魔にするために、檻ごと置いてあったのも問答無用でアイテムボックスに沈めて殺害。「素材」として売られた。
「あ、ああ……」
「ミスリルゴーレムが」
「こんな恐ろしい魔獣まで」
王が買い取った穀物用サイロが城外に数本置かれ、スラムの連中でも迫害されて逃げて来た獣人や、他の里のエルフなども食べられるので、次第に集まって来て城外に住み始めた。
獣人たちやエルフなどが迫害されていると聞くと、泣き売一回だけで「銅貨一枚の依頼」でもドングリ一個から受けるのが王。
絵物語で書かれていた題材なら、その主人公になり切ってクエストを受ける。
書かれていなくても獣人の村を取り返してやり、他のエルフの里でも誘拐や奴隷にされているなら、例え王国であろうとも悪即斬。
王の行動原理は絵物語なので、燃え盛る王城から姫が王家専用の通路から脱出し、水路を守るために忠臣や騎士団が犠牲になって追手を阻み、その後も追手に一人二人と討ち果たされて行き、最早これまでとなった所をオレサマ系の男の冒険者が姫を救う。
今回ちょっと内容が違うが、受付嬢にもこの絵物語の姫を重ね、自分が俺様系の冒険者になったつもりで演じている。
よくある姫を助けたのに「その汚い手を姫様から離せっ!」的な諍いが忠臣とあったり、冒険者の男に依存してしまう姫と男の恋物語があったりもする。
冒険者の男が姫様からの「故国を取り戻してくれるなら何でもする」と言うクエストを受けて立ち上がる。
母の故郷である隣国に逃げ出しても、既に手が回っていて追われる立場に。
それでも周辺を旅して回り、市民の余りにも貧しい暮らしぶりを見て、自分がいかに甘やかされて育ったのかを思い知る。
獣人やエルフ達が迫害されて住む場所すら失っているのも救い、忍者の一族も隠れ里を失っているのを見付けて共に放浪。
嘗ての故国は獣人亜人を差別する国であったのを反省して、今後差別をしないと心に決め、怪我をした獣人の少年を聖女の力で救って信頼される間柄に。
魔の森の中に清浄で肥沃な大地、永住の地で王道楽土(ユートピア)を見付けて、そこで亜人獣人たちと共に蜂起。
重税に苦しむ嘗ての国民を開放して行き、綺羅星の如き忠臣や重臣を呼び集め梁山泊的な展開に。
更に冒険者の男の仲間、荒くれ者共も仲間に加えて行き一大勢力に。
オスカル様みたいに荒くれ者どもを剣で封じてみたり、貧しい兵士が質草に剣を横流ししていたのを買い戻してやって信頼を得たりもする。
ついに裏切者の大臣との決戦に持ち込んだ物の、敵の数は数倍、数万の兵力を要しているにも拘らず、姫の軍勢は雑多な寄せ集めでせいぜい数千。
城砦を包囲され兵糧攻め。それでも士気が違うので、敵方の農民兵など略奪もできない城砦などより実家の畑で、梯子を掛けても頭から煮え湯を浴びせられ、攻城兵器にも火を放たれて後方の食料なども焼かれ、立場が逆になって兵糧攻めを食らって総崩れで逃亡。傭兵団なども金が切れたら縁の切れ目で脱走。
隣国の兵や騎士団を借りていた元大臣も、冒険者と姫で本陣にまで斬り込んで討伐。
首級を上げて勝鬨を上げ「国王を僭称していた元大臣の首、討ち取ったり」と宣言すると、敵方の全兵士が潰走状態になり勝利。
嘗ての王都も取り戻し、冒険者の男と姫との結婚式で大団円。「何でもするって言ったでしょ」となって、以後は王配として姫を支える所や、爺やが泣いて喜ぶシーンで完結。
全八巻ぐらいの壮大な物語で、編集部の都合で全十六巻ぐらいマシマシになるのを、たった一晩で解決してしまった。
姫の方も少々年食っていて倍の年齢、腹周りもデブかったのでご遠慮。
領主の娘で受付嬢の方は、王とゴールインして領主になって貰うつもりマンマンだが、今回はノーサンキュー。
受付嬢の領地
色々と用事を済ませたり、ギルド(情報部)で聞き取り調査なんかもあったが、手が空いている連中で領地へ。
ヴァンパイアとか一般兵士の血塗れだった壁紙とかカーペットでも交換するつもりだったが、空き家で放置して出て行ったので、早速関係ない奴が陣取っていた。
「私達は革命政府っ、魔国から解放されたのだから、ここは私達が占拠するっ」
「そうだっ、最早王国による占領も受けないっ、ここは解放された平和な土地だっ!」
「そうだっ、人民によって解放された土地だっ!」
こいつらは昨夜の出来事の全容を知りもしない、蟻が駆け巡って魔族を全員連れだしたのも、天祐神如程度にしか思っていない。
「出て行け」
ここは王が解放した受付嬢さんの領地なので、解放政府だとか解放戦線なんかいらない。
暴力革命などで城砦を開放して行くような絵物語は、発禁なので出版されていない。王も読んだことも無いような物語には感化されていない。
多数の男女が居座っていたが、全員三階のベランダから投棄された。
「そ、そんな…… 革命の闘志たちが、旗頭が……」
昨夜と同じで闘争にもならず、カクメイを主催したカチコチの左翼とか、銀英伝のジェシカエドワーズ議員みたいに夫を戦争で失った系の女子なんかも、問答無用で全員窓外投棄事件。
『蟻さん、そいつら地下まで連れて行ってよ』
『承りました』
上から声を掛けると、地面で遺体撤去作業をしていた働きBBA達が、気軽に応じて革命政府の連中を地下の底にまで連れて行った。
「蟻の巣は嫌だああっ!」
「やめてえっ、それだけは…… ぎゃあああああっ!」
三階の高さからでも土の上に落ちて助かった連中も、特に男女問わず両手足噛み切られて酸で処理され、五月蠅いのは下あご撤去して良く回る舌も引っこ抜き、両目も潰して地下に搬入。
口かケツから卵産みつけて、意識が朦朧とした状態で腹の中で孵卵した幼虫に内臓から食われて行き、何かの分泌物のお陰で内臓が空になっても生きていて、肺や心臓や脳まで食われると死ぬ。
口から幼虫が出てくるか、エイリアンみたいに腹食い破って出てきたらお役御免。
残りの体も食べられるか、幼虫は回収されて巨大ゴキが死体を処理する。
王は特に主義者でもなくパヨクでもないので、カクメイを起こしたりしない。
腐った貴族が贅沢をするために税率を上げたり、アホの国王が勝手に法令替えたりすると殺すが、真っ当な政治をしていればキニシナイ。
どちらかと言うとスラムや貧民街のチンピラに絡まれたり、冒険者崩れにカツアゲ強盗美人局(つつもたせ)されそうになると、軟鉄の剣で始末してしまう。
高尚な革命政府の闘志たちも、大半が蟻の巣行きで革命の意志は潰えた。
王にとってここは受付嬢の領地。お家再興した後の姫が統治して、大団円の後を見せて貰う場所。
翌日も兄を名乗る人物がいたが、受付嬢さんに向かって「妾腹がっ」「身分を弁えろ」「ここは私が統治する」などと訳が分からない事を言ったので、何処かで借りてきた護衛の兵士と一緒に窓外投棄。
第一夫人の息子らしかったが、愛人?の娘とは身分が違うそうで、愛もなく家同士で結婚させられ、誰の子かも分からないのを産んで長男を名乗っていたので窓外投棄事件。
もうニ、三人、自分の領地なんだと言い張って来た奴がいて「王国の方から来た」そうなので全員窓外投棄。
周囲の城砦も回ってみて、正統な後継者以外が軍勢の力で居座っていたり、革命政府なんかが立ち上がっていたら窓外投棄した。
カーペットや壁紙を張り替える作業をさせている間にも、屋敷をドカドカ駆け上がって来て「王国の方から」何人もやって来て、軍勢の多さで圧倒しようとしたので屋外に投棄して蟻の巣行き。
何組も何組も来て「受付嬢の婚約者、恋人」を名乗って来るのまでいたので、本人に聞いて心当たりが無ければ、勘助かストーカーとして処理。
毎回内戦が勃発するぐらいの兵力を連れて来てるのがいたので、そいつらも全員地下に行って貰った。
「蟻の巣だけは嫌だあああああっ!」
嫌なら来なければいいのに、何やら野望を抱いて、蟻の巣に護られた都市が欲しくてやって来る。
大蟻の巣との契約は王との約束で、アメリカ風に言うと「シェイクハンドだけで結ばれた契約」なのに、立場認識が不可能な連中が、城砦との契約なんだと勘違いして殺到してくる。
(イイーーーヒッヒッヒッ!)
あらゆる政敵を王が排除してくれるので、笑いが止まらない受付嬢。
「何かありまして?」
「いえ、別に……」
目付きがおかしくなって、光彩が四角になる系統の顔をして笑っていたので、周囲にいた令嬢にも気付かれたが無かった事にした。
親戚遠戚が急に増えたり、正当な権利を持っているんだとか、王から領主の内示を受けたとか、ほぼ妄想か言い掛かりに近い言い分でも、領主屋敷に軍勢を配置してしまえば自分の物なんだと言い張る者が多かったのに、全員王に窓外投棄されて終了のゲームセット。
一回も内戦も起こらず、軍勢ごと蟻の巣に連れ去られて「あそこを取ろうとすると全員蟻の巣に連れて行かれる」と有名になってから、ようやく厚かましいのが来なくなった。
国王の方も「逆らうと殲滅竜にぶっ殺されます」と言われたので、受付嬢の家を再建して、正式に領主に任命すると死体の数が増えなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます