第22話エルフの里での宴会(国家破滅的事象)

 王の屋敷


「もう、妙齢の女性をエスコートするのに、最初に冒険者ギルドに連れて行くなんて……」


 姉のBバージン的教育では禁じ手で、女性を食事に誘ってサイゼリアに連れて行ったり、宇宙食が食べられるJAXA関連施設とか、鉄道記念館に連れて行って「これ、キ-62気動車と言ってね」とシュポシュポして相手が一切興味ないことを延々語るほどの悪手。


 せめて大通り商店街か、お嬢様が入って行けない屋台村とかに連れて行き、手づかみで食事をさせて意外性で喜ばせるのがセオリーと言いたい姉。


 この場合、喜ばせる気が一切ないのと、冒険者登録をしたら暴れないので、わざと塩対応された。


「姉さんを喜ばせる気はないよ」


「もう、意地悪(////)」


 姉も過去に絶世の美女を「食った」事があるのでその姿を盗み、ウエストは細いのに乳はバインバインで、ケツもフトモモもバルンバルンの身体を見せびらかせていた。が効果が無い。



「やあ、俺の姉さんなんだ……」


「は? はあ」


 門番や家令、執事にメイド、通過するたびに挨拶して人化した姉を紹介。


 いつもと違い目線があっただけで「ガン付けした」と言って襲い掛かり、ワンパン入れるような真似はせず、猫の皮ニ、三枚被って大人しくして、借りてきた猫みたいにおしとやかにしている。


 ついでに親密なのを表現するように、弟に腕組んで乳肉を押し付けて歩き、もうここに住む気満々で、別に出戻りで実家でグータラして親に怒られて家出した訳でもないのに、新婚の弟を邪魔するために侵入。


 ついに本陣に乱入して来た姉、小姑(こじゅうとめ)、コトメとも言う。


 弟の「嫁」の一挙一動まで、重箱の隅をつつくように意見し、窓枠を指でなぞって「埃が残っている」「家にいて何をしていたのか?」「我が家の家風に会わない」などの系統の虐めをして弟に追い出されるまでヤル。


 リヴァイ兵長が机の裏側を指でなぞり「時間はあったはずだ」と言うぐらいのイケズを実行する。



「お、お兄ちゃんがまた浮気した~~~!!」


 少女漫画系統か、なろうの女バージョン。婚約者の腕に巻き付いてヘラヘラしているような偽聖女とか悪役令嬢で、これからヒロインが断罪イベントで婚約破棄されて、国外追放とか地下牢に放り込まれる直前みたいな状況。


 ついにルリナに見付かって修羅場。


「姉さんなんだ……」


 午前午後でエルフょぅじょとも交代もせず、治療所に貴族令嬢とか農民の娘と一緒に置いて来て、エルフの里は守ったけど、これからルリナが「ギャオオオオオン!」を開始すると止められない。


 姉の方もパワー系〇沼なので、腕をほどこうにも外れない。



「お、義姉さん?」


 流石に三次職で、高レベル侍大将なので、相手が「シュパアアアアッ!」とオーラ出してるのが分かったのか、以前の屋外結婚式の時に現れたゴジラ系の、全長30~40メートルクラスの殲滅竜の姉なのだと知らされて引いた。


 前回は掴み上げられたり、「こんなチンチクリンで毛も生えてないようなのが弟の嫁?」と言われ「ギリィッ!」とされた相手なので、ちょっと膝から下が産まれたての子鹿になった。


 もうトラウマは植え付けられているので、現実の姿を晒して貰うまでもない。


 もしこの場で人化を解かれると屋敷も吹き飛び、例え命を玉として砕けようとも、絶対防御呪文が掛かっている相手なので、十二魔将が持ってた魔剣でも傷一つ付けられないし物理攻撃ほぼ無効、魔法無効の相手なので魔法その物が寝言。


 まあ、隣にいて迷惑そうな顔をしている王と同等の存在なので、何をどうしようとも勝てない。


「ま、参りました……」


 この中で最強のルリナが降伏したので他もお察し。



「おほほほほっ、王のお姉さま? 良くいらっしゃいましたわ、歓迎の茶会などを……」


『黙れ』


 本日は金髪縦ロールの貴族令嬢役だったのか、ツンデレビキニアーマーでもなく、王を諭す聖女役でもなかったが、竜語の本気で黙らされ、魔法どころか普通の言語まで喋れないよう黙らされ、口をパクパクするだけの存在に。


 農民の娘などは何が起こっているのか、目の前にいる人物が誰なのか分からなかったが、商家の娘や貴族令嬢は「殲滅竜の姉イコール、一切話通じない化け物」とニュースになったのを記憶しているので、突然の来訪に驚いた。


「お初にお目に掛かります、殲滅竜カテリーナ様、直言の御許可を」


「許す」


 貴族令嬢は身分差?を思い知っていたのか、膝を着いて屈み、面を上げず、恐れずに直言をオネダリした。


「わたくし共は王の嫁として差し出された者達に御座います。生贄の身分なれど、王からの寵愛を賜り、乙女を差し出し妻として扱って頂いております、以後お見知りおきくださいませ」


「うむ」


 殲滅竜からすると、普通人など「生贄」でしかなく、「玩具」「ちょっと摘まめる食べ物」程度の存在。


「弟からの寵愛」と聞くと「ギリィッ!」案件だが、弟がいるので堪えた。


 貴族商家農民市民、どれも「俺は差別をしない、黒人、ユダヤ、平等に価値がないっ」で区別すらなく奴隷で生贄。


 いつもはフレンドリーな貴族令嬢も面を上げることすらせず、姿勢を下げたまま後姿を見せず下がった。


 殲滅竜の姉の方も「コイツは俺のもんだ」と言う顔で腕を組んだまま周囲を睨み付け、断罪イベントすら始まらずに、この場の全員が敗北した。



「いやあ、交代に間に合わずにゴメンよ、またエルフの里に別の国から人間が大勢来ちゃってね、略奪される前に倒して、蟻さんの巣に連れて行って貰ったんだ」


「ハ、ハイ……」


 流石のルリナでも化け物の前では、王に「ギャオオオオオオンッ!」出来ない。


 そんな事しようもんなら、猫被ってる殲滅竜に「不敬である」と言われ、腹パン入れられて壁破って行って近傍天体にされる。


「今日はエルフの里で宴会らしいんだけど、泊って行くように言われてるんだ、誰かエルフの里に行ってみたい人はいるかい?」


 共に天を戴かざる敵とまでは言わないが、友好関係一切存在しない相手なので戸惑った。


 農民市民の娘全員却下、商家の娘だけがエルフとの取引に興味を持ち、気の弱い貴族令嬢と沈黙させられたままの令嬢もエンガチョ、王の参謀か軍師気取りの令嬢だけが同行を申し出た。


「王よ、同行いたします」


 姉の方も腕を巻きつけているのを外さず、同行するつもり。


「わ、私も一緒に……」


 自分こそがお兄ちゃんの運命の恋人だと「思い込んでいる」ルリナも同行。


 情報部からも二、三人、執事として同行する。


 エルフの里では友好的ではない殲滅竜の姉の到来に怯えることになる。



 エルフの里


 またどうやって移動したかは分からないが、何歩か歩いただけで到着。


『やあ、姉さんなんだ……』


『ほああっ?』


 流石の長老古老でも殲滅竜の姉だけはノーサンキュー。


 一切話通じない相手の代表選手みたいな奴で、レディースの頃もブイブイ言わせ過ぎて、舎弟の連中も「ヒャッハーー!」な者ばかりで、種もみを持った老人でも情け容赦なく襲われた。


 魔の森や街道を移動する時も、聖帝十字領を建設している人か「魔王様リトライ」のヤンキー聖女みたいな乗り物に乗って移動してた恐ろしい子。


 でも今日は人化していて、弟に巻き付いて何故か大人しくしている。



 さっきも話通じない蟻の巣の連中から、タリスマンだか宝玉貰って「これを翳して貰えば見分けが付かないエルフの中の代表だと認識するので、里の危機として全力出動する」と説明され、蟻語を理解する学者から翻訳されて、やっとこさ騒動が一個終わった所に殲滅竜の姉が到着。


 里で飼っている従魔も涙流して泣き叫び、王を見た時とは明かに違う反応。


 もう「殺さないで」では済まず、怯え切って小便漏らして檻を破って逃げようとしている。テイマーの言う事なんか聞かない。


 エルフ達と人間は「シュパアアアアッ!」となっているのは認識できないが、従魔の魔物程度でも森のクマさんでも認識できる。


 魔の森にいる強力な魔獣でも理解できるが、何処かの部族を虐げたり食糧庫にすると、王がやって来て「僕と契約して経験値になってよ」と言われるので、抵抗しても無駄なので自殺して素材を差し出す。


「アオオオオンッ、アオオオオオオンッ」


 哀れな従魔の鳴き声が響き「逃がして」とか「檻から出して」と懇願する声が響いた。


『五月蠅い、黙れ』


 姉の鶴の一声?で沈黙させられ、静かにされた従魔。一瞬で全員殺すこともできたが、弟の手前大人しくしている。


 ちなみに王の屋敷にいる貴族令嬢はまだ沈黙させられたまま。単独で来たならば里ごと血の海にされているはずが、弟に怒られるので手出ししていない。


 途中遠巻きに見ていた騎士団に、弟が「こんにちわ~」と声掛けしたので殺さなかったが、刃物持って近付く奴なら問答無用で上半身と下半身切り飛ばされて死んでた。


 その場合、手刀だけで地上1メートルぐらいを衝撃波が通過して、城砦の外壁まで達していたので町中殲滅。


 街の高低差はあるが地面ごと切り取られて上の建物は全部崩壊、死山血河で建物は燃え上がる地獄絵図になっていたはずだが「弟しか友達がいない」ので殺さない。


 話通じない巨大蟻も、一瞬で討伐されないよう、働き蟻BBAとか駐留する小隊なんかも逃げ出してしまい、地下に潜った程度では強力過ぎるブレスは防げないが、塹壕に入ったように地上が一掃される被害からは逃げられる。でも上層階は酸素が無くなる。



『こ、これはこれは殲滅竜カテリーナ様、御来訪を感謝致します(してない)。我らはエルフの里の長老と古老でございます、お見知りおきくださいませ』


『うむ』


『もう姉さん、みんな500年とか千年生きてる人だよ、そんな偉そうにしないで、せめてもっとフレンドリーに』


『べ、別にアンタたちの為じゃないんだからねっ、弟が言うから話してあげるんだからね、か、勘違いしないでよね(カアアッ)』


 フレンドリーではなく聞きたくもないツンデレだったが、弟の前だけではこうなるのが確定した。


 赤面する殲滅竜、などと言う珍しい物を見たが、弟がいなければブレス一発で里ごと殺されるのも判明した。



 王都騎士団


「閣下、殲滅竜の姉ですが、城砦内では人化したまま冒険者ギルドで冒険者登録しただけで退出。王の屋敷にも立ち寄りましたが、途中遭遇した騎士団の誰も殺さず、屋敷内でも誰も殺戮をせず、王と共にエルフの里で宴会をして宿泊すると言い残し、城砦から出て行ったそうです……」


「なん、だと?」


 殲滅竜の姉が誰も殺さないで出て行くなど有り得ない。


 屋外結婚式の時でも足元など見ず魔獣魔物を踏み潰して歩き、何処かの宦官みたいに「君は歩く時に足元の蟻を気にして歩くかね?」レベルの、ゴジラガメラ系統の歩く災害。


 これもヒューマノイドタイフーンのおじさんが移動するのと同義で、滞在した所でブレスを吐かれると都市が消滅して、保険会社なんか存在しないので誰も担保してくれない。


 せいぜい事故事変後に領主や国家が炊き出ししたり、テント村を開いたり後始末に奔走して、「ママーーーッ、ママーーーーッ!」と泣き叫び続けてるクソガキや精神崩壊した大人を保護して黙らせる程度。


 全員一度から三度の火傷を負っていて、炭化している人物も大勢いるほどの地獄絵図。


 その救護に聖人聖女が駆り出されて、あっという間に白魔法が尽きてトリアージ。


 もう助からない者は放置するブラックリボン、医師が泣きながら若過ぎる者の心肺蘇生したり、助けらない人の前で見習い聖女が泣いていて、小声で聖歌などを歌ってあの世に送り出すのが定説。


「更に、冒険者ギルドで殲滅竜が受けたクエストと言うのが……」


「何を受けて行った?」


「魔王討伐と十二魔将討伐です」


「はあああああっ?」


 騎士団長も思わず素っ頓狂な声を上げて驚き、意味や意図は分からないが、殲滅竜の姉がとんでもないクエストを受けて行った事実をどうにか飲み込もうとした。


 弟の方はFランク冒険者として「薬草採取」しか受けてくれず、偶然他のクエストを現地で受注して解決してから報告してくれたりするが、冒険者ランクが上がるのは固辞して、せいぜい異次元の品である魔獣の素材やエリクサーを作れる薬草などを売ってくれる程度。


 もし叶うのならば「毒を以て毒を制す」的な解決手段にはなるが、人類は強力な魔族の侵攻を防げて、魔王がいなくなれば今回の人類領域への侵攻が停止するかも知れない。


 まあ、ハーンが死んで末子相続の次のハーンを決めるような、クリルタイが魔族の首都で開催される。


 もし十二魔将もすべて倒し、平面世界の向かって左上にある「魔族始まりの島」にまで追い返すことができれば、過去に滅ぼされた人間の国の再興までが夢ではなくなる。


「おお…… もしや人類の悲願が?」


 でも殲滅竜の姉を倒す手段なんか存在し無い上、ガメラみたいに金星まで発射したり、ゴジラみたいに芹沢博士のオキシジェンデストロイヤーも無い。


 人類や冒険者ギルドには友好的な、弟の手腕に期待する以外にない。



 大宴会場


 屋外では飲み物に風で砂が入ったり、食べ物に虫が止まったりするので屋内。


 殲滅竜二柱なので上席に座ることになり、その周囲に嫁一同が座ったので、まるで主賓二人の結婚式のようだが、マッチ明菜ちゃんの会見のように金屏風の前で中森明菜だけが結婚発表だと思ったのに、ジャニーズに阻止されて地獄のような伝説の会見が行われる前のような雰囲気。


 姉の方は弟と二人並ぶように割り込み椅子も寄せて腕を組むのを継続、金屏風的なエルフの飾りの前で宴会をするのでゴキゲン。


 普通ならルリナやエルフょぅじょが「ギリイッ!」する所だが、相手が怖すぎてできない。


『さて来賓の皆さん、本日は王のお姉様であられるカテリーナ様がご来賓として出席(してほしくない)、大変光栄な宴会と相成りました』


 一瞬で闘争本能に火が着くワンショットライターには来て欲しく無いのだが、ティーアップしておかなければ、ご機嫌が悪く成り次第エルフの里全体が一瞬で火の海になる。


 大蟻の小隊や働きBBAまで宴会場に来てしまったので怖くて仕方がないが、やけくそで長老古老の手柄として数えて行って、若い者には口出しさせない。


 と言うか普段は長老の前にまで詰め寄って偉そうに言う若い者(数百歳)も、殲滅竜の姉と大蟻の前では青白い顔して借りてきた子猫状態。


 大蟻の小隊まで王に「YOU来ちゃいなよ」されてしまい、余りの怖さにチワワみたいにプルプルしている。


 尚、ワンピースの製作スタッフが、同じマンションに仕事場があった「ろくでなしブルース」の制作スタッフに、パーティーがあるので来るように声をかけておいて、作者直々に酒を持って挨拶に行き「この後仕事があるのですぐ退散させて頂きます」とまで言ったのに「うわ、本当に来たんだw」「クスクス」みたいに笑い者にした、上下関係を分からせるための嫌がらせではなく、普通に友好の為に蟻をこの場に呼んだ天然さんなので悪意は無い。



『それでは、再び人間国から来た軍勢を殲滅させて下さった王と、地下に連れ去って下さった蟻の巣の皆さんを歓迎し、乾杯っ!』


『乾杯っ!』


 酒を飲まない、エルフの食べ物は食べない大蟻には、果物などを差し出して、果汁や蜜を吸わせる。


 魔物魔獣人間エルフなら食える。


『あら長老様、初めまして、人間国の貴族の娘です、以後お見知りおきを』


『なんと、人間がエルフ語を流暢に話している?』


 貴族令嬢はエルフ語が堪能なのを生かして長老古老と会話して、交易や和平条約の締結に奔走し、商家の娘も言葉は通じないが、どうにか交易を持ち掛ける。


 ここで友好条約でも締結出来て、太いパイプでも作っておけば太い儲けが期待出来て、話は通じないが蟻と交易できたり「王国の人間は蟻の巣に連れて行かない」と条約が締結出来れば、教科書に載るレベルの英雄になれる。


 エルフの里のように防衛契約でもできれば、今後実家は安泰で、近隣国にも無双できる。



『旦那様、わたくし共の王国でも、蟻の巣と友好条約を結びたいですわ。今後王国を守って頂けるようでしたら、良い条件で交易なども』


 内面や野望は黒いが、友好条約を結びたいのは王も同じなので同意。食う食われるの関係の魔獣や亜人獣人なのだが「もりのなかまたち」にはジャングル大帝的に仲良くして欲しい。


『ああ、そうだね』


 この後、本当に王国と蟻の巣で友好条約が結ばれた。


 貴族令嬢は地下の事は知らないが、王国の真下に住んでいる蟻の巣と個別に会談し、王から「人間の国からお嫁さんを貰ったんだ、仲良くしてね」と言われ、その巣の十戒の石板にも「人間はトモダチ」と追加された。


 以後王国民は地下に連れ去られる被害が無くなったが、エルフの里に続々送り込まれてくる近隣国の農民兵なんかは「カチコチカチ(退去せよ)」と言われて退去しなかったので抱卵器の刑。


 王都や他の都市は別の蟻の巣なので戸別訪問、「人間の国からお嫁さんry」と言ったので友達になった。


 城砦の外側に蟻が駐屯するようになったので、数万匹規模の「スタンピートだああっ!」が起こっても数千万匹の大蟻にマンティスにスパイダーが出場してくるので無傷。


 決戦兵器の超巨大カブトムシとか超巨大ムカデを出すまでも無く、全部手足を斬って両目を潰して処理してから、蟻の巣の底に食料や抱卵器として連れて行ってくれる。


 隣国なんかが攻めて来ても無傷、数万人程度なら少々渋滞しても半日で地下の底に連れて行ってくれる。


 また『蟻の巣だけは嫌だあああっ!』の大合唱が外国語で聞ける。


 令嬢は実家で「な、何が起こったか分からないと思うが、俺にもry」と報告すると、親父の方も窓際で格好つけることもできず「はああああああっ?」となって顎が外れるほど驚嘆した。


 ここに「王国、蟻の巣間相互防衛協定」が結ばれ、人間国などクソの役にも立たないが、水害が起こらないよう蟻の力で防潮堤が建設されたり、蟻の巣の入り口が数メートル高く建設された。


 また敵国から蟻の巣の尖塔が破壊されても、王が過去視から「犯人はお前だっ!」してくれるので、そいつがいる国が亡びる。


 世界地図と言うか勢力範囲が大幅に書き換えられ、王と蟻の巣が協定しているので、自動的にエルフと人間の里が守られることとなった。



 二、三時間して宴会もお開きになり、「飲んだよ、ええ飲みましたよ~」と言うぐらい飲んで、本当に未成年のルリナ以外は飲んだ。


『よ~し、行くぞ~、俺らも宴会芸見せてやる』


 姉も出来上がっているので弟もエルフの里が心配、今日は誰が犠牲になるのか?


『え? どこへ?』


『決まってんだろ~、十二魔将二、三人ぶっ殺しに行くぞ~~』


 そちらのご用件だった。


『あ~~~』


 魔の森の外周付近にも魔族が駐屯しているので、今回はそっちが犠牲になる。


 気の毒な事に十二魔将の二、三人は、酔った姉の宴会芸として殺される。


 ついでに魔族の駐屯地がニ、三個地図から消される。

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