第9話 午後からの予定

 昼休憩には少々早いので、王自身が冒険者ギルド員と言うか、情報部の調査員を運搬してやることになった。


「皆さんレベル幾つですか? あんまり低レベルだと爆散しちゃいますから」


「ひっ!」


 最初にルリナをゴブリンの洞窟に運搬する時みたいに、やわらか~~く運搬して貰った。


 それでも王が掴んだ所は、青あざができるぐらい跡が残った。



 盗賊に襲撃された村は殲滅竜の呼称通り殲滅、盗賊団全員両手足切り飛ばされていたという、余りにも外道過ぎる状態で発見された。


 手足を生やす魔法の治療費が、コイツラの犯罪奴隷の価値より高いので、多分このまま放置される。


 番屋で取り調べを受けて、王に報酬が支払わられると、どうしようもないので全員死刑にするしかない。


 手足の無い犯罪者に、担当官や模範囚を付けて食事や便の世話をしている余裕はない。


 元から盗賊海賊は縛り首が通常の措置なのだが、すぐ仲間の手引きで脱走するし、牢番が鼻薬香がされたら脱走の補助までするし、大抵逃げられるので王も通常の措置をした。



 その隙間を狙ってルリナに情報部から接触。


「こ、これだけの人数? 王一人で倒したのかい?」


「はあ、切れ味が鋭いのは私が、魔法で焼いたのはエルフです」


 半数は死体になっていて、カリウムショックか失血死したか魔法で焼き殺されていた。


 大通り的な場所や中央の集会所は死体であふれていた。とても少女やょぅじょの仕事とは思えずゾッとした情報部員。


 ハイパーボアの方も、千切られて潰されているのやら焼かれているのやら、真っ二つに斬られていて、低級冒険者の働きとは思えない。



 村人も救って貰ったと言う感触より、盗賊団全員の手足が広場に積み上げられていて、手足を無くした盗賊団に、おかみさんたちが同情して、食べ物や飲み物を口に運んで生かしてやっていた所。


「あんた、口開けな」


「すまねえ、すまねえ……」


 さしもの盗賊団もほだされたのか泣いていて、人生で一番苦しい時に被害者から袋叩きにされるのでもなく、食い物を与えられた。


 軽量化されているとはいえ大の男を便所まで連れて行くこともできないので、その場で垂れ流しになっていて、王が中央広場に集めていたそのままになっていた。



「簡易裁判で全員吊るしますか? 本当の村人は混じってないようですし、盗賊団のくせに「俺は村人だ~~」なんてホザいたのは喉笛かっ切っておきましたんで、そいつら生きたまま埋めますか? アイテムボックスに放り込んで死体をギルドの前に晒しときますか?」


「エ……?」


 そんな悲惨な処置を笑顔でさらりと言った王。盗賊などには一切容赦がない。


 捕らえようとどうしようと、領主レベルまで関わっていることが多いので、ロリコンの領主なら、ょぅじょとか攫って来させないといけないので「全員無罪、解放」とか言われないように、両手足切り飛ばして足りなければ両目も潰して置く。


 価値が無くなったら口封じのためにも処刑しに来るので、持ち帰り不要な奴は現地で処刑してから埋め、幹部レベルだけ持ち帰りにして取り調べ。


「ウン、すぐ処刑されるから、自分の伝説増やすためにも、今までの犯行全部ゲロって、ヤってなかった罪でも何でも、自分の犯行だと言っておいた方がいいよ」


「ヒイイッ!」


 幹部でも手足無くしているのでガクブルで失禁。



 ルリナに手足切り飛ばされた奴は、村上もとか風に「ポンッ」と言う擬音で斬られたので、止血の為に縛らないといけなかったが、大半は間に合わないで失血死かショック死で死んでいたりする。


 鑑定眼で「エルフなどの売買で儲けた」と出ると『野に咲く花』ちゃんが問答無用で魔法の実験台にして、消えない魔法の炎で躍らせ、苦しめて苦しめてから殺してしまったので、燃え尽きて消し炭になっている。



 結局、使い物にならない、下っ端なので何も知らない、オレオレ詐欺の出し子程度のバイトは簡易裁判で処刑。


 元から頭腐っているし、ケーキ三等分すら不可能な脳障害持ちで、社会生活するだけの知能も仁義も持ち合わせていないので処刑。


 例え借金しても「足りないから借りたのに、返せる訳ないだろ? 殺しちゃっても俺悪くないよな?」と言えるぐらい狂っている。



「殺さないで、殺さないでっ」


「うん、盗賊は縛り首か斬首」


 森のどうぶつ達や魔物魔獣みたいに、見た瞬間気付いて降伏すればどうにかなったが、普通の人間には王のオーラが見えないので手遅れ。


 王が「ぼぐじゅあああっ!」と撲殺するか、ルリナが「ポンッ」と首飛ばすか、ょぅじょエルフが魔法で絞めた。


 墓場に大穴掘って埋め「何年何月何日、村を盗賊団が襲い、村人全員が人質になり、ハイパーボア(蛇)を使役した盗賊団が出たが、殲滅竜の王と従者二名の活躍により、被害を出さないまま解放され、盗賊団の大半は処刑、ここに埋める物とする」と高札でも立てて、残った住民が記念碑でも立てれば石製で建つ。


 切り飛ばされた手足も全部埋めて、馬車徴発して盗賊団幹部運んで、やっとこさ昼休憩。



 これだけデカイ盗賊団なので、貴族領主クラスまで釣れて、口封じに殺しにやって来る。


 今回は冒険者ギルドの仕切りではなく、情報部の仕切りなので、ギルド員やら番所の奴らやら、貴族の兵士衛兵が殺到してくるので、そいつらを見張っていれば、盗賊団の元締めまで逮捕できる。


 口々に「取り調べはこちらでヤル」「無罪だったので釈放した」「手足が無いので即処刑する」「(口封じに)頭領と副官だけでも処刑」な~~んて話が持ち込まれるので、押さえて行けば領主の首が取れる。



「すぐにこいつらを釈放せよっ」


「取り調べはこちらで行う、すぐに引き渡せっ」


「盗賊団頭領と副頭領は処刑する」


 後は目に見えるぐらい貴族家領主家の兵団が押し寄せてしまい、今まで通りの番屋や冒険者ギルドではなく、情報部持ちだったので逆に全員拘束。


「盗賊団幹部が捕らえられたそうだな、すぐに処刑を開始する」


「はいはい、貴族からの命令? 受け付けてないよ」


 殲滅竜の王に出張って貰って、内情を知り尽くしている貴族の私兵も、一人残らず両手足切り飛ばして貰って処した。


「貴族家に歯向かうかっ? 引っ立て~~いっ! ぼぐじゅああああっ!」


 貴族家と領主家にも乗り込んで貰ったので、領主家と貴族家が数件滅び、国内が少しだけ清潔になった。



 今回、盗賊団が見誤ったのは、王なら人間の心が読めるのを知らなかった所。


 絵図通り進めるつもりが、村娘役と泣き売?のサクラ役が下手なのも含め、魔眼で簡単に見破られた。


 ハイパーボア多数なら人の手で操れて、多少は手こずってくれるだろうと期待したが、結局雑魚扱いだった。


 村人役の村長なんかもいつもの役なので、熟練の技を見せるはずが即バレ。


 揉めたら揉めたでばらけて逃げられるはずが、全員問答無用で手足から切られたので、逃げる暇も無かった。


 レベル上げ中のビショップならまだしも、王と侍大将なんかに目を付けられたら逃げられない。



 高級食堂


「まあちょっとゴタゴタしたけど、お昼にしようか?」


「はい」


『はい』


 二人共どうやって注文すれば良いのか、何の料理なのか字も読めないので、王に解説して貰いながら注文した。


「これは牛肉の煮込みシチュー、こっちはパスタかな? 外れが無い程度の注文しようか」


 結局、中華料理的に大量に並べて、食べられる物、好物だけを大目に注文。残れば依頼書の現地へ持って行き、現場で食べる的な行動。


 またメニューの上から数個頼んだ。


「あ、ああ……」


『神よ、感謝します』


 机の上にはテーブルクロス、中央には花が飾られていて、高級そうなレモン水も料金内。


 付け合わせのワインは何にするか聞きに来る店で、ガクガクブルブルしていた二人だが、また見たことも無いような高級料理が並び始めて泣いている。


 小盛りのパスタ程度でも三千円ぐらいする料亭?


 シェフおススメの海鮮盛り合わせ、的な何が出てくるのかも分からないような店で、一品五千円ぐらい。


 冒険者風の装束で来てよいのか悩んだが、A級冒険者なら食事しに来ても良さそうな感じ。


 王のまねをして、ナプキンを首に突っ込んで、ナイフとフォークで食べる。


 二人共家には木製のフォークモドキしかない。それも先っぽが折れたまま。



 店の方が気を使い、伝説級の装備をしている娘二人と、相手は王なのでこの程度の店に足を運んで頂いたので恐縮している。


 最初のように涙で前が見えなくなるほどではなかったが、胃袋が受け付けてくれたので固形物でも食べることができた。


「うっ、ううっ、グスッ」


『ああ、このような食事、きっと私は天に召されるかと……』


 少々大げさなのがいたが、盗賊団を全滅させて村一つ解放して来て、貴族家や領主家のひも付きだったのが、誘拐や奴隷売買に阿片の売買など長年の懸案事項を破壊したので、この程度の食事代など平気で支払える。


 圧力でも掛かってギルドからの支払いが無くても、情報部とか国家予算から配分される。



「ああ、お釣りはいいよ、残りはチップで」


 金貨で支払ってお釣り受け取り拒否。20万円程度だったのに100万置いて来た貴族?


 税金の控除用に金貨一枚支払ったと領収書だけ貰った。


 これは従業員などのチップとして分配され、店の方も取り分を取る。



「ああ~~っ、うわあああ~~~ん」


『ぐすっ、ヒック、うわああ~~』


 屋外に出ると本格的に泣きだした二人。貧乏家が「ステーキ食いに行こう」な~~んて言われたら確実に一家心中案件で、喉詰めたり泣いたりするのが普通。


 二人共路上で座り込んで泣いていたが、家族にも食べさせてやりたかったらしい。


「もう、泣き止んでよ、俺が虐めたみたいじゃないか? あれぐらいのクエストだったら、二、三倍は稼いでるよ」


 今回もお土産が出たので、ルリナの方は持って帰れるが、エルフの里は遠いので持っていけない。


 二人共アイテムボックス使いに成長しているので、箱に入れて帰れる。



 冒険者ギルド


 ラウンジ的な場所で休んだり昼寝したりした一同。


「昼から再開にしても、ちょっと遅いから依頼書無いかな?」


 掲示板など見てみるが、常駐依頼しか残っていない。


「ん? 娘の復活?」


 年季が入った依頼書が目に入ったが、そこで後ろから声を掛けられた。


「チョットッ、邪魔しないでっ、私の前で調べ物しないで頂戴っ!」


 振り返るといかにもツンデレで、ビキニアーマー着たツインテールが怒って腕組んでいた。


 魔眼で見ると貴族家令嬢で、わざわざこんな目立つ格好して、王に絡んで行って因縁付けるよう父親から言い渡されているのが分かった。


「はあ、大変ですねえ」


 娘の復活クエストだけ取ってツインテールに譲り、道を開けてやった。


「ま、待ちなさいよっ、ちょっと」


 ツンデレツインテール、ビキニアーマー作戦失敗。



 受付で話すと、王なので受けられたが、普通死者の復活とか有り得ない。


 神殿にいる聖女でも、死んですぐの人間を復活させるのがせいぜいで、それもベテランで天啓受けてるような物凄い聖人か聖女しかいない。



 依頼書の家


 古い地図だが実際に家はあった。


「ここだね、まあ「軽い依頼」だからルリナちゃんでも行けるね」


「エ?」


 まだルリナは、自分が「死者蘇生」を使える大聖女なのは知らない。


 ノックをすると、暫くして老夫婦が姿を見せた。


「すいませ~ん、冒険者ギルドから来ました、娘さんの復活と見たんですけど?」


「はあ? 娘を復活?」


 約二十年前、流行病で死んだ娘の復活を出し続けているが、そんな依頼を受ける聖人も聖女もいない。


 そんな実力があれば神殿の奥に連れていかれ、一生外に出られないような生活が始まり、貴族や王族のために力を使うよう強要される。


 ほぼ嫌味と言うか嫌がらせと言うか、有り得ない望みをかけて依頼し続けている。


「じゃあ、今回は娘さんの亡骸もないし、ここにいる魂だけを元に復活させてみようか? ルリナちゃん「死者蘇生」って言ってみて」


「は? はい、死者蘇生」


 ルリナが呪文?を唱えると、眩い光が降臨して、大天使が舞い踊り、本当に死者が復活した。


「ああっ、あああああっ? うあああああっ!」


 まだ小さい子が「全裸で」プリントアウトされて出てきてしまった。


 この平面世界の仕組みなのだが、レベルとかカンストした大聖女が呪文を唱えると、自然に出てきてしまう。



「ミ、ミリス……」


「え? お父さん?」


「ああ、本当に…… 神様」


「お母さん?」


「うわああああああっ!」


 クエスト完了。


 王なので金額とか見ていなかったが、インフレが何度か起こり、金額は書き換わっていたのだが、銀貨数枚程度の金額でクエストが受けられた。


 神殿に行って死んだばかりの人物を生き返らせるのに、軽く金貨数十枚は請求される。



 それからは泣いている両親を宥めすかして、どうにかクエスト完了のサインを貰い、ギルドに持って行った。


「クエスト完了しました~」


「エ?」


 情報部の受付嬢ですらドン引き。通常、死者を生き返らせる人類は存在せず、何かのノリで受けて行ったかに思えたが、本当に当事者のサインを貰って来た。


「そんな、馬鹿な……」



 時既にお寿司。「光より早い物、それは女の噂話」と言う訳で、まだ市内から逃げ出していない、頑固なオバハン共が噂話を開始。


「あの家の爺さん婆さんの所の娘が生き返った」


「私は見た、大聖女(侍大将)様が死者蘇生と言ったら、本当に娘が生き返った」


「あの城砦に大聖女様がいるっ!」


 と言う噂が瞬く間に広がり、息子や娘を失って、藁をも縋る思いで来た親や、親孝行な息子が母を生き返らせて欲しいとか、ファザコンな娘が父を生き返らせて欲しいとか、遺産相続で骨肉の争いをしている家が、当主復活を求めてやって来る。



「やあ、今日はご苦労様」


 ラウンジで休憩した後、パーティー結成記念に食事をした店に行き、またメニューの上から順番に持ってくるよう言った王。


 今回も涙で前が見えなくなるほどではなかったが、贅沢過ぎる食事に泣いた二人。


「私、死者蘇生が使えるなんて知りませんでした……」


「ルリナちゃんは大聖女をカンストしてるからね、全部の回復呪文が使えるんだ」


 エルフの里を占拠していた、オーガの群れを武装解除させ、全員の心を圧し折って投降させて、自ら討伐証明を提出させたので全員が経験値になった。



『あの、私も順調に回復魔法と攻撃魔法を覚えているのですが?』


『うん、まだ盗賊団百人ほどと、貴族や領主の私兵だけだからね、今日中にはレベルカンストできなかったかな?』


 当然のことのように言うが、通常の人類は一生掛けてもレベルカンストとか、レベル99超えて100に至ったりしない。


 今日も象でも発情しまくる量のオクスリを盛られた王は、ょぅじょに対して発情してしまい、ルリナだけでなくエルフょぅじょ(合法ロリババア)にまで欲情して致してしまった。


 ゴボオッ! とかビチビチビチッと出てくるぐらい致してしまったので、メイド連中が「ギリィッ!」となってしまい、シーツの染みになる前に取り出したり瓶に詰めて、自分の腹の中に詰め込むような行為もした。


 真木蔵人さんが、ホテル従業員にゴミ箱の中のゴムを取り出され、裏返して自分の腹の中に詰め込むような行為をされた。


 子供ができてしまったのだが、目の大きさが左右で違うような整形失敗デブの子供を、養わされる様な酷すぎる判決が出てしまった。



 翌日


「控え~~いっ! 我らは大貴族様の遣いっ、お主らのような下賤の者が優先されると思うたかっ?」


「娘をっ、娘を生き返らせてっ!」


「うちの子を~~っ!」


 冒険者ギルド、通常業務停止中。


 業務停止と言っても、普通の冒険者は逃げ出してしまい、どうにか王に取り入って金を稼ごうとしている奴らばかりしかいない。


 この世界なので、流行病とか季節性インフルエンザに、ペストとかコレラに痘瘡で大量に死んでいる。


 銀貨数枚で復活という、お手ごろな価格もクリティカルヒット。


 ギルドに依頼しに来た連中も、最前列で「侍大将」のフル装備している子が当事者なんだと思わない。


 隣にいるエルフょぅじょも、そろそろ司教をカンストして、死者蘇生まで覚える寸前とは思っていない。


 王も「冒険者ギルド経由で」と言ったので、全員窓口に殺到し、依頼受付窓口がパンク。



 仕方ないので、奥から「情報部付のギルドマスター」が出て来て王に進言。


「これだけでも、朝に受け付けた分です」


「ああ、こんなに? 一杯あるなあ」


 紙束を提出して恐れながら退出。


「じゃあ、魂を連れてる人はこっちに」


 貴族家の使いと言えど、魂までは帯同していないので後回し。


「ルリナちゃんは……? 着替えて来ようか」


 侍大将フル装備なのはキャストオフさせて解除。服装は「貧しい村娘風」と迷ったが、聖女風の法衣を用意してやり、やたら背が高い帽子なんかも用意した。


 ネコがスリッパ被ってるぐらい、ローマ法王にでも見えるような帽子。



「ああ、聖女様は何処?」


「娘をっ、娘ををっ!」


「お願いだよ、うちの子を」


 数人、エルフょぅじょに掴みかかってくる人物がいたが、ソッチはまだカンストしていないので、普通のリザレクションぐらいしか使えない。


 そこに聖女風?の服装でルリナが出て来たので大盛り上がり。


「聖女様っ!」


「娘をっ、娘ををっ!」


「お願いだよ、うちの子を」


「では、始めましょう」


 レベル高いので異常耐性が強く、これだけの人数に取り囲まれても大火傷(お笑い用語)しない。



「死者蘇生」


「おおおっ!」


 まず最初の一人がプリントアウトされた。

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