その攻撃力999999。竜の少年、絵物語の冒険譚に憧れ、成人時に冒険者ギルドに登録してしまう。過保護の姉と母親も城砦を包囲してしまい、魔獣達は今日もパニック。
第7話 街にオーガがやって来た(ホモゴブリンは員数外)
第7話 街にオーガがやって来た(ホモゴブリンは員数外)
王の結婚式パーティーを行っていると、城砦にオーガとゴブリンがやって来た。
それもパーティーやってるのとは別の門。
ホモゴブリンは数のうちに入っていない。洞窟に籠っていない状態で、平原戦でならゴブリンスレイヤーさんでなくても、冒険者や騎士の数だけで圧倒できる。
まず取って返して来たオーガが来襲。肩からのタックル一発で城砦の門が吹き飛んだ。
大体、鎧の巨人がタックルして城門破壊したレベル。
橋上げて外堀なんかもあるが、巨大なオーガなので一切通じない。
オーガの入城に続いて、ホモゴブリンとかセックスアニマルエイプとか、続々と入城。
壁の巨人が出て来て「地均し」をやるレベル。
「オーガだっ! こんなもん敵う訳ねえっ! 逃げんぞっ!」
エルフですら抵抗を断念して、即降参するレベルの化け物が、今回メスも同伴で来たので300匹以上。
A級冒険者とか白金等級冒険者なんかいないのでムリ。いても裸足で逃げるレベルの侵攻。
奇声を発して仲間を呼び『人間の里落としに行くぞっ! 何でもょぅじょレイプの罪で王様が捕まっていて、恩を返すにも助けに行かにゃあならんっ!』とワイワイやっていると、雀やセキレイにヒタキ科の鳥やヒヨドリ、カラスや鳩が他の鳥の警戒音を知っているような状況で、魔の森にいる全住人が王を救いに来る大軍団が形成されていた。
オークにオークキング、ヌルヌルしていて炎とか通じないスライム系やカエル系、エーミントロールに金属リザード系の剣も魔法もほぼ無効の奴。
ウルフキングからベアキング、ワイルドボアからヘルマウントボア、セックスアニマルエイプなどの動物系。
マンティスにスパイダー系の中でも、エクスキューショナーとかエリミネーターみたいな名前がついてる、見た瞬間に殺される系の虫系魔獣多数。
魔の森最悪の敵、巨大蟻の軍団までが王を救いにやって来た。
『蟻の巣、出場っ! 巣を救って貰ったご恩を返すのは今だっ!』
『おおっ! おおっ! おおおっ!』
その数、多数の蟻の巣を合計すると軽く一億匹。
言うまでも無く、今までにも絵物語に憧れ、各種蟻の巣や、蟻の巣で飼われている虫達まで、洪水的な災害や、みなしごハッチ的に他の部族との闘いから、王が救って来たからである。
動物系でもオークでも、縄張りがバッティングして他とモメた時に、王に仲裁して貰っていたから。
弱くて数が多い方の部族が、何度も何度も恩恵を受けていた。
もう天災で水に飲まれる寸前で、誰も手の施しようもなく巣が水に飲まれる時。竜のブレス(祝福?)で「ヒイイイイイイイイイイン、ドバアアアアアアアアアアッ!」と吹き飛ばして貰い、ワンパンマンみたいに雨雲ごと除去して、怒った水の精霊ごとぶっ殺してくれているので、助けに行かないと言う選択肢は無い。
『ゲイオーク軍団出動、トランスフォームッ!』
『うおおおおおおっ!』
何かサイバトロン戦士みたいなのも出動し、何やら性的な意味でトランスフォームして、街にいる「男が」大変な被害に遭う。
コイツラ全員、人間と言葉通じない。
『フフフ、奴は所詮、我ら四天王の中では最弱の存在』
『人間ごときに負けるとは竜族の面汚しよ』
ついに殲滅竜のママと姉が来てしまった。
二人共キンニクモリモリのマッチョウーマンで、カンガルー先輩ぐらい筋肉に血管浮いてるレベルで、口と鼻から蒸気吐いてる。
鱗には刃物通らないし、魔法無効の特典付き。
虎の穴のグレートタイガーか、キン肉マリポーサみたいなムッキムキな母親と姉。
大体コイツラまで出動すると「な、ナンダッテー?(AA略)」で、キバヤシが「話は聞いた、人類は滅亡する(AA略)」ぐらいのステータス。
ついでに殲滅竜の父親まで連行されていて、仲が悪い妹とかは留守番。
これが子連れ狼なら、上様が「馬引け~~いっ!」と言って、柳生烈同と拝一刀が戦場河原で決闘するのを見に行くぐらいの地獄絵図。
ウルトラセブンのキリヤマ隊長が、各大名の上屋敷を馬で回り「上様お忍びでござるっ! もし屋敷を出ようものなら、謀反の試みとして処罰致すっ!」と血管切れそうな声で叫び、駆け廻っている所。
戦場河原に、柳生憎しの外様大名が駆けつけ、上様は柳生を見守るために到着し「すわ大合戦開始か?」ぐらいのステータス。
王都
「魔の森より魔獣共が大挙して移動しております。エイプ共やオーク、オークキング、ヘルマウントボアやキングベアー、マンティスやスパイダー、ありとあらゆる魔獣が、王を救うために移動しております」
「数は?」
「魔物数十万、魔獣数万、それと……」
「報告は明確に」
「巨大蟻に至っては、一億匹以上かと?」
「ああ~~~~~」
乙女みたいに両手で顔を押さえ、クソデカため息を上げる騎士団長を見て、報告するんじゃなかったと後悔する副官。
街防衛の為に王には嫁を連れて山の上の宮殿まで下がって欲しかったが、冒険者登録するまでに、絵物語通りの凄まじいまでの功徳を積んでいたとは思わなかった情報部や騎士団。
森の中では「ギャアアアアアッ! ウホゥホゥホゥホゥ!」とエイプ系が木の枝を渡って移動し続け、巨大マンティスや巨大ゴキの近似種は、羽広げて飛行して城砦まっしぐら。
城砦の外に出ていた冒険者が「スタンピートだあああっ!」と叫んで逃げ惑うレベル。
言葉が通じるのでスタンピートではないが、全員ブチ切れてるので話通じない。
各種魔獣魔物がそれぞれ自由勝手に出立出場出動侵攻開始して、人間の里を滅ぼして王を救出しようと画策している。
到着速度なども一切連携が取られていないが、城砦は十重二十重に包囲された。
何と言ってもアリの巣の住人と、蟻の巣で飼われていたマンティスやスパイダー、冬の間受け入れて貰えるキリギリスなどの死兵。
蟻の巣の地下一階二階にテナント?として入居している、大ネズミ、大イタチ、大ミーアキャットなども参戦。
決戦兵器として育てられた、超巨大カブトムシとか超巨大ムカデが、フォースゲートオープンしてワンダバしながら発進。
胎児の頃から魔獣食で育てられた、戦うための究極兵器。
絶対無敵でライジンオーぐらい強くて、搭乗者は頭脳体であるリッチが騎乗。そちらの魔法攻撃もある。
魔法とか剣とか通用するはずもなく、ゴジラかガメラが何処かの新築の駅に招致されて、映画の中で大破壊を行うレベル。
それでもどうにか抵抗した情報部が、ゴブリン語オーガ語オーク語で書かれた、ロゼッタストーンみたいな看板抱えて、「王の結婚式会場、コチラ」と表示して、どうにかオーガを誘導。
さらに蟻の巣は城砦の真下まで進出しているので、大通り商店街なんかにも地下から突貫工事で道に穴空けられて、そこから出現した巨大蟻で、地球防衛軍序盤ぐらいの大パニック。
「酸だーーーっ!」
「大きいねえ?」
もうロンドン橋であろうが、ドイツの首都であろうが、全部巨大生物か三本足の著作権的にヤバそうなロボ?に蹂躙される。
宇宙戦争の著作権は切れてそうな感じだが、トム・クルーズで新作も作られていて、ビジターとか類似作品も作られている。
各マップ間のBGM曲もまんまそのままな感じで、1980円のシリーズなら許されたのか、以降のフルプライスで売られてるのは、微妙な編曲とかロボのデザイン変更で乗り切っている模様。
兎に角街の方は、オーソンウェルズがラジオドラマ調、緊急ニュース的に放送したように、市民はパニックを起こして逃げ惑い、家族そろって心中寸前まで追い込まれたらしい。
尚、メキシコでもっかいヤった模様。
「助けてええええっ!」
「殺さないでっ!」
街には三メートル級の蟻が跋扈して、「青の六号」的に放送が大音量で鳴り響き、『王を返せ』と言っているが、カチカチコチコチ言う蟻語なので一切通用しない。
ご本人の方は、騎士団主催で城外で結婚式など執り行い、エルフと一緒に立食パーティーで飲み食いしている所で、ようやくホテルのバンケットでも間に合い、食べ物が充実して来た所。
そこに言語学者が引っ張って来られ、ヘッタクソな蟻語で状況を説明した。
『王は、城外で、結婚式』
元々人間の口では蟻語は発音できない。歯を打ち鳴らしてどうにかできる程度。
尚、蟻は文字を持っていないから、オーガみたいに看板とかプラカードで誘導するのはムリ。
猫の「ゴロゴロゴロ」と同じで、喉を発音源にしていたり、蟻の口の外にある牙?を打ち鳴らしたり、触角のような場所を利用してブラシ音で発音するので、人類が出せる音ではない。
『王は、城外にいる、外で、結婚式』
泣いて鼻水と涎垂れ流して小便漏らす寸前で、巨大な三メートル級の蟻の前で泣き叫んでいる言語学者。
ボディランゲージとか指で方向を示したり、どうにかして伝える。
『何、だと?』
王を探して探索している中で、一小隊が選ばれて伍長が連れて外を見に行く。
『王は、城外で、結婚式を、している』
『分かった』
どうにか通じたようで、泣きながら情報部の者と抱き合って喜ぶ言語学者。結婚式の概念が伝わるかは不明だったが、類似語で翻訳して伝えた。
やがて斥候が城外に到着して、これまた泣き叫んで逃げ出すエルフの中に、王を見付けて会話する。
『王よ、こちらにいらっしゃいましたか?』
『やあ、蟻さん、結婚式に来てくれたの?』
『いえ、捕まって牢に入れられたとゴブリン共の声を聴きましたので、急遽参った次第です』
『ああ、小さめの子を連れ込んじゃって、厳重注意とか、セキニンを取るよう言われてたんだ。それでこうやって結婚式になったんだよ』
『左様でしたか、仲間にも伝えます』
『うん、料理が口に合うか分からないけど、みんな呼んで来て』
そうすると地獄の蓋が開いてしまうのだが、王は気にせず招待した。
歯を打ち鳴らして蟻と会話する器用な事をしたが、通じない所は上位の竜語で伝えた。
ルリナとエルフょぅじょも、見た瞬間に殺されるのが決定している、三メートル級の蟻と、地下に攫われて行ってエイリアンみたいに抱卵器にされる相手と「志村~~っ、後ろっ後ろっ!」とも言わないで、平気で会話する夫が怖くて仕方がない。
他にも五メートル級のマンティスとか、四メートル級のゴキがやって来て、エルフ達も全員生きるのは諦めたが、蟻語とマンティス語、ゴキ語?等を駆使して話す夫に縋り付いて、ガッタガッタ震えながらも、どうにか正気を保って会話を聞いていた。
SAN値は削られまくったが、精神は崩壊せずに済んだ。
王の方は笑顔で「森のどうぶつ達」と話す程度の労力だったが、嫁の方は命の危険を感じまくって、腰が抜けて大小便漏らすほどの恐怖をタップリ味わった。
虫の匂いや体臭が充満する場所で包囲され、「シャーー」とか「カチコチコキ」とか意味不明の蟻語を聞かされ、通常サイズのゴキでも悲鳴を上げるのに、デッカイゴキと対面させられたり、五メートルもあるマンティスに対面させられた。
母親の方も、流石に虫の中心地にいる、ナウシカちゃんみたいな娘を助け出しに行く蛮勇は持っておらず、膝から下と言わず足全体が産まれたての小鹿で、もし娘が食べられてしまうなら苦痛なく一瞬に、と思った程度。
どこかのエレンとか勇者みたいに「一匹残らず駆逐してやるっ!」な~~んて考えを持てるはずもなく、一瞬で心の根幹を圧し折られて屈服した。
性交?報酬は金貨二枚だけだったが、十分にその価値はあった。
街の中心部から出てくる蟻の侵攻を退けたが、巨大ゴキやマンティスにSAN値を削られまくった市民も、騎士団も衛兵も余りに驚きすぎて。
「へ、へへっ、この戦場は地獄だぜ」
「巨大蟻に睨まれて視界に入って、まだ生きてるなんて俺らぐらいだろ?」
「人間がゴキブリ怖がる本当の意味が分かった」
などなど、各人感想を述べあっていた。
人間がゴキに対して持つ恐怖は、小さな哺乳類だった頃に捕食される恐怖を思い出すのと、敵味方識別装置の偏桃体に「捕食者」と書かれたままになっているからだと言われている。
デカいマンティスでカマキリがいたのかは不明だが、体を見てわかる通り、ゴキの近似種なので色が変わると恐怖する。
『王の結婚を祝して、ダリアケードッ!(何故か翻訳できない)』
『ダリアケードッ!』
巨大蟻と巨大マンティスと巨大スパイダー、他にも巨大ゴキとか超巨大ムカデとかも、歌って?踊って祝って行き、二時間ぐらいするとパーティーもお開きになって帰って行った。
楽団の方も、年末年始と盆とゴールデンウィーク、全部休みなしで働かされた現場猫みたいに、目から黄色い汁流しながら演奏を続けさせられた。
「怖かった、怖かったようっ」
『恐ろしい、巨大ゴキブリに巨大な蟻とカマキリ』
敵対者で仲間じゃないルリナとエルフょぅじょも、泣きながら抱き合って、ブルブル震えながら恐怖から逃れようとした。
「ああ、大丈夫大丈夫、俺を牢屋から出すために来てくれたみたいだからさ、みんな楽しい仲間さ」
やっぱり「森のなかまのどうぶつと、むしのなかまたち」、程度にしか認識していない王。
((エ? もしかしてこれから毎日、コレが普通の出来事?))
二人共、王の器の大きさを恐れたが、毎日虫と面会させられると死ぬ。
レベルが上がって、実力的には十分対抗できるようになっていたが、まだそんな実感は持っていない二人。
二人共、絵物語と同じで「レベルを上げたらどうにかなる」で、どうにかなっているのだが、三メートル級の蟻と笑顔で会話したり、四メートル級のゴキに怯えず生きていく手段は知らない。
その後も、三、四日かけてやって来たエイプとかベアーとかオークとか、全員に挨拶するために「城外で」立食パーティーが敢行され、情報部の予算が尽きたが、王が国家予算に並ぶ貯金で支払ってくれたので、ホテルのバンケットとか筋肉飯店とか衣装屋とか酒屋が大変儲かった、らしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます