新しい使い魔登場!?

 『成功するイメージ』、『成功するイメージ』……。

 魔法少女が、変身するイメージ!


「へーんしん!」


 私は腰に手を当てて変身の呪文を口にして、あることに気が付いた。


 ――違う。これだと女の子向けじゃなくて男の子向けの戦隊ものだ!


 私が自分にツッコミを入れると、皮肉っぽい声が頭上から聞こえてきた。


「随分と間抜けヅラだな。コンパートも出来ないなんて。さすが、『落ちこぼれ』の主人だけある」

「……?」


 私は、首を傾げて木を見上げた。すると金髪の美しい少年が、木の上に立って私を見下ろしていた。


「誰?」


 長い睫毛が影をつける。その姿は天使のようで、海外の映画に出てくる聖歌隊の男の子みたいに綺麗だった。


「僕はオコジョ。ユメクイを倒すために魔法界より遣わされた、由緒正しい、使い魔専用の魔法オコジョだ。『魔法少女』、まずはお前の力量を試させてもらおう」


「え?」


 自らをオコジョだと名乗った少年は、胸元を飾る大きなリボンを解くと、くるくると空に向かって回した。するとリボンは、沢山の宝石と大きなリボンのついた、白銀の杖に変わる。


 オコジョさんは杖を掲げると、私に向かって振り下ろした。


「【ウィンド】」


 杖から放たれた風魔法が私に襲いかかる。

 私がとっさに腕で顔を庇おうとすると、誰かが私の手を強く引いて、そのまま私を抱き寄せた。


「【ザ・ウォール】!」


 魔法の呪文とともに、私とオコジョさんとの間に土の壁が出現する。

 

「ヒナ! ヒナ、大丈夫か?」

「……クロード?」

 

 私を助けてくれたのは、やはりクロードだった。


「ふん。まあ、この程度ならふせぐか」

「どうして、お前がヒナと……?」


 クロードがオコジョさんを睨む。クロードは、珍しく怒っているようだった。


「まあいい。――勝負だ。『落ちこぼれ』」


 だがオコジョさんはそんなクロードには気にもとめず、少しも悪びることとなくこう言った。


「人間界で僕とお前、どちらが先に『ユメクイ』を倒せるか。改めて決めようじゃないか。僕とお前が、どちらが本当に優秀なのか」

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