第7話


「また来てくれよ」

「…はい。ずっと、待っててくださいね」

「……?あぁ。ここでずっと待ってるよ」


ユウキは、何かを覚悟したような椿の顔と意味深な言葉に違和感を持ちながら、店の外まで椿を見送った。


「…私、あなたと出会えて幸せです」

「なんだ急に…俺の方こそ」

「ふふふ。では」


上品な笑みを浮かべて髪の毛をなびかす椿は、ユウキの目には何よりも綺麗に眩しく映った。

けれど、椿の事なら身長体重、スリーサイズから好きな食べ物や嫌いな食べ物まで知っているユウキでさえ、椿の思惑は見抜くことは出来なかった。



椿は、それからしばらく…具体的には半年ほどユウキの元へも遊郭にすら行かなかった。


すべては金を集めるため。


椿は、ユウキを身請けするために金を稼ぎに出ていたのだ。

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