第42話 ヴァンクレストVSネロ2
「超越魔法だと!?そんなの聞いたことないなぁ。ちゃんと教えといてよ、先生」
超越魔法を使ったヴァンクレストは人間の姿をしていなかった。いくつもの時計が歪みながら巨大な王をかたどる。
「終わりじゃ、ネロ。我が子のように思っていたぞ」
ネロは背筋に寒気を覚える。
ー終わりも始まりもしない世界―
「な、ん、、だ、、、こ、、、、こ、、、、、わ」
意識はあるが、逆にそれしかない状況にネロは身動きが取れず思考も鈍っていった。
ヴァンクレストは黙って剣を振り上げる。剣の周りには無数の時計がグルグル回っていた。
「ふ、ざざ、、、け、るな、、、よ」
「終わりじゃ、ネロ」
ヴァンクレストは涙を流しながら剣を振り下ろす。
*
―魔族め!―
違う!僕は勇者だ!
―闇の魔法で人を救えるものか!―
いや、闇の魔法でだって救える命はある筈だ!
―剣の腕を尊敬していたが、所詮魔族だったということか!どうせ相手の能力を下げてたんだろ?―
違う!僕は魔族じゃない!人間だ!!!
―魔族は処刑だ!―
待ってくれ!僕は人を守るために剣技を磨いてきたんだ!絶対に人を、国を、世界を守って見せる!
―こ・ろ・せ!こ・ろ・せ!こ・ろ・せ!こ・ろ・せ!―
やめてくれ!僕は人に害したりしない!絶対にだ!
―口を開くな!忌々しい魔族が!―
闇属性というだけで?それだけで?こんなに簡単に人は人を殺すのか?
ずっと人を守るために戦ってきた。捧げてきた。人生を捧げてきた。
その結果がこれか?
僕はこんなものを守るために生きてきたのか?
、、、もうどうでもいい。
お前らが僕を魔だというなら、魔になってやろうじゃないか。
こんな世界全て壊してやるよ。
*
闇の魔力は憎悪の中でこそ、絶望の中でこそ、怒り、憎しみ、恨み、嫉み、悲しみ、苦しみの中でこそ、その力を強める。
―超越闇魔法 rtgj45yjq54:@gt3jgm:q-
「うあああああ!!!!!壊れろ!全て壊れろ!死ね!みんな死ね!正義も悪もすべて台無しにしてやる!全てどうでもよくなるように!」
「なに!?」
ネロから放たれた眩しいほどの闇は全てを消し去っていく。空間も、時間でさえも。
「ロイド、、、」
「あああああ!!!」
ネロの魔法が収まったころ、そこには何もなかった。ただの荒野。命という命がその場には一切なかった。
もちろん、ヴァンクレストもだ。
「はぁはぁはぁ、は、はははは!!!先生!ふはははは!さよならですね!はははは!!!」
何もなくなったその場所でネロは腹を抱えて笑っていた。
ブン!
しかしネロの前にただの映像となったヴァンクレストが現れる。
「なに1?」
『ネロ、儂はもう死んだ。だがお前の勝ちとはいかんぞ?』
「しつこいんだよ!先生!」
ネロはヴァンクレストに飛び掛かるが触れることはできない。
『お前は本物の勇者に止められる。ロイド・ブレイブハートにな」
「はぁ!?」
『さらばだ、我が子よ』
―超越時空魔法 終の忘れ形見―
「ぐあああ!!!」
ネロの身体の時間がごちゃ混ぜにされていく。
右足は幼児の足のよう若返っていくが、逆に左手は老人のように老いていく。
このような現象が全身で起こりだしたのだ。
「どうせ蘇るんじゃろうが、しばらくは動けないだろ」
「うがぁぁぁ!!!最後につまらない嫌がらせをしやがって!クソじじい!!!」
「ははは、嫌がらせか。その通りじゃな。だが意味のある嫌がらせじゃ」
「な、なに!?」
「この嫌がらせはロイドに時間を与える」
「それがどうした!!!」
「、、、」
「ん!?」
ヴァンクレストはすでに事切れていた。
この瞬間イームス王国は国内最大戦力であったヴァンクレストを失った。
これにより世界の均衡は瓦解していくこととなる。
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