ZONE7:ペンギンゾーン

記憶

2人の女性と少女が手をつないで歩いている

トンネルを出て、大きな丸い水槽へ走る少女

「迂w~栖五I大き慧!」

「デ曙~茲が一番yum栄ナンだよ」

「診tミテ、水母三!」

「杜っテも紀霊ねー」

3人は大きな水槽を眺めて笑顔である

「写秦トルwrよ~」

「は~い」

「杯!血~逗」

女性が写真を撮る


 またあの光景だ。いってることがよくわからず、考えるだけで頭がいたい。気が付いたら、どこからかいい匂いがする。


「大丈夫?また気絶しちゃったのね」

 見るとクオンがトレイにポテトをのせてやってきた。

「持ってきたわよ。食べる?」

「あ、はい・・いただきます」

 ポテトを頬張る間、ミオはそのとき懐かしい味を自分の舌で感じた。


「すみません。また迷惑かけちゃって・・」

「いいのよ別に、すごいもの見せてもらったし」

 あの光景が浮かびあがる。自分の右手が光だし、あの魚の化け物を消し去ったのだ。すると、右手に再び激痛が走る。


「ウッ!ウゥ・・」

「だ、大丈夫!?、よしよし・・」

 クオンがミオの右手を優しくさする。そのときのミオは何故か、安堵を感じた。


「ありゃま、こりゃ痛そうで」

「おやおや、また見ない顔ですね」

 そこへ、リリーともう一人、謎の少女が現れた。その少女は学生服に白衣といういでだちだ。さらにその少女は、手や足首の周りに、鳥のような毛が少し生えている。


「あなたのことはリリーさんから伺ってます。私、このゾーンの住人のユリナと申します」

「あ・・どうも」

 リリーがポテトを食べながら、唐突に言い出した。

「そういえばすごかったねーその右手」

 そういいながら、ミオの右手を指さす。


「ねぇ。ホントにどうなってんの?まさか、悪魔の契約を結んで、闇の力を得たとか!?」

「そ、そんなわけないじゃないですか」

 ふざけるようにリリーが言う。

 しかし、ミオは不思議に思った。なぜ自分にあんなことができたのか、自分の右手がどうなっているのか。リリーは不思議そうに見つめながらも、クオンは心配そうに見つめていた。


「どうやら大変なことがあったようですね」

 そのユリナという人の周りには、何羽ものペンギンが歩いていた。

「ペンギンさんがたくさん・・」

「うふふ、コノコたちは私の大切なおトモダチです♡」

「こいつ、大のペンギンマニアでさー」

 周りのペンギンたちが、4人を囲んで踊りを始めた。どうやら歓迎してくれたみたいだ。

「その手や足は・・」

「ああ、これですか。なんていうんでしょう。自分もペンギンになりたいという気持ちが強かったのか、こうなっちゃいました」

 嬉しそうに微笑みながら、ユリナはそう言った。ミオは少し、不気味さを覚えたが、悪い人ではないと確信し、慣れることにした。


「ところで、あなたはどこから来たのでしょうか?」

 ユリナがペンギンと戯れながら、質問してきた。

「あぁーそうそう。私も気になってたわ」「ミオちゃんはどうやってここにきたのかしら?」

 リリーとクオンも気になって聞いてくる。ミオはどう説明すればいいのかよくわからなかった。そう思いながらも、静かに口を開いた。


 「えっと・・実は私もよくわからないんです」

 その一言で3人はきょとんとした顔になった。そうしてミオは自分が目覚めたときの状況や、自分が見る光景について、説明した。

 説明を聞いた3人はさらに難しい顔になった。

「うーむ。ミオちゃんが起きた場所ってたぶん休憩所だろうけど、あそこは普通、誰も立ち寄らないんだよなー。だって怖いし不気味だし」

「どうして、そんな場所にいたのかしらねぇ」


 リリーとクオンが悩んでいると、ユリナが口を開いた。

「なぜ休憩所で寝ていたのかも気になりますけど、ミオさんが見る光景も気になりますね・・」

 ミオが見た光景は少しぼやけていて、会話の内容が聞き取りづらいものであった。しかし、ミオにはその光景の記憶が少しあった。

「もしかしたら、ここの水族館かもしれません」

「ええっ。そうなの?」

 あの大きな水槽。それはどうみても水族館にありそうな幻想的な水槽だ。


「どんな水槽でしたか?」

 ユリナが質問する。

「確か円形で、大きさも4mぐらいだったと思います」

 ミオがジェスチャーで、水槽の形を表した。

「マジで?でかくねそれ」

「もしかして、それってクラゲゾーンの巨大水槽ではないですか?この最上階のゾーンにクラゲの展示エリアがあるんですが、そこにある“リバイヴワールド”っていう大きなクラゲの水槽がそうかもしれないですね」

 クオンが説明してくれた。クラゲのゾーン、その場所をミオは次第にその光景を思い出してった。


「そ、そうです!そのような場所でした」

「クラゲゾーンね。あー確かにあったなそんな場所。私あんまり上の階いかないからあんま覚えてないけど」

 リリーが首をかしげながら言った。

「でもさーなんでミオはそんなこと覚えてるの?あんたここ初めて来たんじゃないの?」

「そうなんですよね・・それがよくわからなくて」


 自分でもわからないと思いながらも、ミオは口を開いた。

「でも、もしかしたらそこに行けば、何かわかると思うんです。自分が何者なのか、     自分は何を見ていたのかを」

「なるほどね。それじゃあ行ってみましょうか」

「え?」


クオンが口を開いた。ミオや他の2人も驚きの顔になる。

「だって、ミオちゃんは自分のことを知りたいんでしょ?なら、それを知らないと、永遠にわからないわよ」

 そう言い、クオンはミオの肩をポンと叩いた。ミオはその時ハッとした。今、自分は記憶を失っている状態だ。自分がみたこの光景はおそらく、自分の中で必要なことなんだと。


「そうですね。私、自分の事を知りたいです!」

「うふふ、まるでクオンさんにもう一人妹ができたみたいですね」

 ユリナは微笑み言った。


「リリー、あなたも行くでしょ?」

 クオンがリリーの方を向く。

 この時、リリーはクオンとミオをみて、呆然としていた。

「え、あ、ああ、いいよー」

 気が付いたかのようにのった。

「私はここでコノコたちと戯れてますので、どうぞいってらっしゃい」

 ユリナはそう言い、羽のような手を振った。

「じゃあミオ、リリー、いきましょ。また化け物が出たら、リリーが何とかしてくれるわ」

「わたしでもだめだったら、ミオのその右腕で、倒してくれるっしょ」

「できれば使いたくないです・・」

そうして、3人は上に行くエレベーターを上っていった。

 



 










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