ZONE8:深海ゾーン

 

 また暗闇に入ってしまった。あの化け物に食われたのか?目をあけて確かめる。

 「ヤッホー 目が覚めた?」

 そこには、あの時聞いた声の主と思しき少女が目に入った。

 今ミオは横になっている状態だ。つまり、少女に膝枕されている状態だ。


 「へぇ~ 綺麗な目をしてるね~」

 彼女はそういった。

 「えっ・・あれ、わたし・・えっ?」

 ミオは急いで起き上がってあやふや周りを見た後、少女の顔を見た。金髪で美しい緑の目だ。


 「ちょいちょい、落ち着いて」

 少女はなだめて、ミオをゆっくり落ち着かせた。

 「びっくりしたよ~ まさかまた新しい住人がくるなんてね。これならファミリーも増えて楽しくなりそうだ」

 新しい住人?ファミリー?どういう事なんだろう。

 

「どういう事ですか?」

 ミオは不安の興味で聞いてみた。

 「この水族館で住んでるのことをファミリーっていうんだよ。君もここの仲間入りさー」

 少女は楽しそうに、笑っていった。


 「あ、名前まだだったね。私はリリーっていうんだ」

 「私は・・ミオです」

 自己紹介をした後、もう一人の少女が水とパンを持ってやってきた。


 「あ、起きたみたいね?」

 「あ、お姉ちゃん」

 黒髪の少し背の高い少女だ。

 「私はクオン。この子の姉をやってるわ」

 「よ・・よろしくお願いします」


 この2人があの化け物を倒したのか、ミオはそう思い、2人に問いただしてみた。

 「あの・・さっきの化け物はお2人が?」

 「うん!このでかいヤリさんでね」

 彼女の振り上げた右手には、大きな銛がきらめいていた。

 「うわ・・大きい」

 ミオはその銛を見て、驚いた。


 「すごいでしょ~私の自慢の武器だよ」

 「まぁ、リリーがどっかで拾ってきたものだけどね」

 「ところで、あの魚の化け物は?」

 ミオはあの魚について、2人に聞いた。

 「ああ、あの魚はこの深海ゾーンをうようよしてるんだ。うちらを襲わないやつもいれば、さっきのあいつみたいに突然襲ってくるやつもいる」

 「わたしたちはあの化け物のことを"ディーパー"と呼んでいるわ」


 そうして話していく内に、突然うなり声が聞こえた。

 「な、なに!?」

 「あーあ、また出てきたよ」

 「ミオちゃん、こっちにおいで」

 ミオはクオンに手を握られ、リリーは銛を構えた。

 そこから出てきたのは。目が緑色に光っていて、しかも目玉だけ上に向いているディーパーだった。


 「よし!もうひと仕事といくか」

 リリーは銛を振って、攻撃にかかる。そのディーパーは目から光線を出して、反撃するかのように、こちらに向かって泳いできた。


 「くそ!あのビームが邪魔で、攻撃できない!」

 目の魚は2人に近づいてきた。

 「2人とも、あぶない!」

 「ど、どうしましょう・・」

 ミオは恐怖のあまり、無意識のうちに、ギプスの右手を顔の前に出した。

 その時、ディーパーは奇声を発して消滅していった。


 「あ、あれ?」

 「ど、どういう事?」

 2人はもちろん、ミオも唖然としていた。

 「え?マジで?あんたの右手、どうなってんの?」

 リリーは目を丸くして、右手を指さした。

 「いや・・私にもよく・・」

 その時、右手がまた、激痛に襲われた。最初に感じた痛みと一緒だ。

 「ちょっと!大丈夫?」

 「とりあえず、上のカフェテリアで休ませましょ」

 「オッケー」

 2人はミオを抱えて、エレベーターで上に上がった。

 

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