第6話 夏休みと大学受験
定期試験も終わり、ぼちぼち進路について考えないといけない時期になった。
行きたい大学が決まっている私は、推し事で予定が埋まっている。
定期試験までは長い夢だと思ってたが、今は夢か現実分からなくなってしまっている。
(だって、こんなに目覚めない夢ってそうなくない?)
不安を払拭するように呟いた。
「はぁ、推しの水着が見たい……」
私は窓に熱い溜息をつきながら、呟いた。
クーラーが効いていない廊下で、吹谷先生を探す。
エリカは呆れた溜息をついた。彼女に推しという概念を教え込んだため、なんとなく理解してもらえてるみたいだ。
「またやってるよ……。彼氏と海行けばええやん」
「推しと彼氏は違うんよ」
私は誰もいないグラウンドを眺める。
(もし夢の中だったとしても、アキの進路が上手くいかないのは辛いし)
「夏休みから勉強しないと、とかよく言うしね」
私は頷いて授業が体育館の可能性について考え始めていた。
エリカは、「夏休み、彼氏とあまり遊べないかもしれないから寂しいんじゃない?」と私に言った。
たしかに、アキからは夏休みについて何も言われることはなかった。
(夏祭りも、行けるかなぁ……)
今日は吹谷先生は見当たらず、程なくしてチャイムが鳴った。
「先生、今日のレポートです」
昼休み、体育教官室に向かい、吹谷先生にレポートを渡した。
もはや恒例行事になっていて、吹谷先生に提出してもタヌキもなにも言わなくなった。
目を通した後、ぐるぐると二重丸を書いて、「受けとりました」と吹谷先生は言った。
(今日は指摘がひとつもなかった……!!)
私はガッツポーズをする。
「そういえば、目指す進路決まってるん?」
吹谷先生は私のレポートを机の上に置いて尋ねた。
「そうですね、大体の目星はつけてます」
「お、えらい」
吹谷先生に褒められ、私は満面の笑みを向けた。「へへ、ありがとうございます」
「でも、視野を広げてなんぼやから、いろんな大学を知ってても損はないで」
未来を知っている私は出身大学以外はあまり興味がなかった。
(吹谷先生が言うなら調べてみても悪くはないかもなぁ……)
先生はレポートを保管している棚へ向かった。
私も教官室を後にした。
私は家に帰ってパソコンを起動した。いつもの掲示板に顔を出す。
『今日はレポート提出した後に先生と少し話した、幸せすぎてやばいわ……』
『よかったじゃん、もうそろそろ夏休み?』
いつもの友達が返事をしてくれた。
『そう、夏休み。先生と会えないのは辛い』
私は先生のことを考えながら、タイピングしていた。
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