第12話
「結界…」
襲われていた2人にキラキラと光が降り注ぐと群がっていた男共が弾き飛ばされる。
「¢∂§‰☆〓!」
騎士の1人が何か叫んでいる様だがちょっと何言ってるのかわからない。
僕は敵意を表さない様にゆっくりとした足取りで女性2人の元に向かう。途中、盗賊達から矢や剣による攻撃を受けるけども…
「無駄だよ?」
何も対策せずに突っ込んで行くわけがないの
に…まぁ初めて使う魔法だから上手く行くか不安ではあったがどうやら上手くいっているようだ。
「うん、チート様々だね」
イメージを組み込むだけでほぼ完璧な魔法の出来上がり。僕の周りを取り囲むそれは自動迎撃と自動防御壁、ちょっとアレンジしたそれらは前世では神の
「もう大丈夫、起き上がれる?」
そっと近づいた僕は2人に声をかける。
今できる最大級の作り笑顔で話しかけるけど反応がない。さっきまで絶望のどん底にいたんだからしょうがないのかな?それよりも色々と目のやり場に困ってしまう。収納魔法には僕の服はあるけど大人の女性には6歳児の服はサイズ的に無理だしね。
(取り敢えず今はこれで…)
収納魔法から服の代わりにバスタオルを肩からかけてあげる。
「ついでに…
リラックス効果のある精神魔法を試してみる。効き目があるか分からないがこれで少し落ち着いてくれるといいな。
(さて次は…)
オッサン2人の元に向かい首根っこの服を掴みズリズリと馬車まで引き摺って行く。
え?だって6歳児に大人のオッサンをお姫様抱っこなんて無理だよ?
多分この身体なら出来るだろうけど絵的にどうなの?って事もあるし服に血が付いちゃう。なにより1人1人に回復魔法を掛けてたら時間かかるしね。
それに女の子の方も心配じゃない?不可抗力って事で。
自分に言い訳しながら馬車にもたれ掛けて座らせる。
(流石に血は戻せないけど傷口と体力を元に戻すイメージで…)
「エリアハイヒール!」
白銀の光が3人を包み込む。
傷口が逆再生みたいに塞がっていくのと同時に3人の頬に少しだけ朱が戻る。
自分で魔法を使っといて言うのもなんだけど凄く不思議な感じ。魔法ってすげぇ。
僕は3人の口元に手をかざし呼吸を確かめる。
(うん、これでなんとか大丈夫そう。欠損修復までイメージしてないから無くなった腕はまた今度でね)
さぁて次は盗賊達かな?なんて考えていたら後ろから服の裾を引っ張られる。
振り向くと先程助けた獣人族のメイドさんが馬車の中を指差して何やら話しかけてくる。
「¢∂§¥%〆☆€…」
やっぱり何言ってるのかわからないです。僕が首を傾げていると馬車の中が見える様に後ろから抱き上げる獣人のお姉さん。
こんな時になんですけど…背中の感触が幸せです。
いかんいかん、意識を馬車の中に戻す。赤色の髪をツインテールにし腹部の辺りが血みどろのローブを着たお姉さん。近づいて傷口と呼吸を確かめる。どうやら先ほどのハイヒールの範囲に適応されてるみたい、呼吸も落ち着いて傷口もなくなってる。
獣人のお姉さんに向き合い安心させる様に一つ頷く。
さてさて、これでようやく盗賊退治。スローライフ目指してまだ1日目だというのにイベントありすぎじゃない?まぁね、自分だけのほほんと過ごそうとは思ってないけど、力があるなら手の届く範囲ならば助けたい、成り行きで貴族になる事があったとしても色々と面倒くさいからパス、俺は1人で気ままに自由を謳歌する…なんて事はしない。
貴族になって救えるものが増えるのならそれは受け入れよう。理不尽な力に抑えつけられそうなら、それ以上の力を持って跳ね返してやる。
それが僕のスローライフにおける縛りプレイ。
前世が日本人。知識は持っていく、甘さは置いていく。決意を新たに盗賊に向き直る。
馬車から降りて一歩踏み出す。拾った木の枝を強化して叩き砕こうと思ったけど身長差があって面倒くさい。
なので…木の枝を天にかざし円を描く。上空の水分を氷結させていくつもの槍を作り神眼で捉えてる全ての敵と連動させてロックオン。
「氷結の
向かいの森の木々がなぎ倒れる、その尋常じゃないスピードは真っ直ぐにこちらに向かってくる。何かを叫びながら…
「とざまぁ〜〜〜」
フニュン
次の瞬間には柔らかな双丘に顔を埋めて頭をナデナデされている僕。
「突然居なくなってはメッですよ!」
このやりとりは…
「エ"ミ"リ"ィ」
双丘に埋まっているせいで話しずらい
「はい、リト様の性奴隷エミリーです」
6歳に向かって(中身は違うけど)言う言葉ではないけど間違いなくエミリーだ。
ジタバタもがいてどうにか双丘から抜け出す。
「どうやってここに?」
「それは私の言葉です。リト様こそどうしてこの様な場所に?」
「えーと、不可抗力?」
首筋に顔を埋めてクンカクンカするエミリー
「はぁ〜やっぱりリト様の匂いは癒されます。色々とジュワーっと来ちゃいます♡(この残魔力香はあのお方の…これ以上問い詰めるのはやめときましょう)」
「匂い?」
「リト様の匂いを記憶しているこの雌豚性奴隷エミリーはどこにいてもリト様を探し出せるのですよ!」
えっへんと胸を張るエミリー。自分で残念称号を増やしちゃってるよ…
そこへ我に返ったであろう盗賊達から斧や槍などが飛んでくるがもちろん神の盾が跳ね返す。
「チッ、2人きりの逢瀬を邪魔するゴミ虫はどこのどいつですか?」
エミリーさん決して最初から2人きりではありません…
僕を降ろしたエミリーの両手にはいつのまにか短剣が握られている。
「2人の愛を邪魔する輩は死を持って償うべき…」
愛って家族愛のことだよね!
エミリーがフラっと揺れた次の瞬間には盗賊2人の首が飛ぶ。
えっ!何?エミリーってば強いの?まさに戦闘メイド⁈
シュタッ…
隣に並び立つエミリー
絶望的な顔して…
「これ以上は無理です…」
「???」
「あいつらくせぇーです…」
うん。それは君に同意だ。
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