第7話
「スゥーハァー」
深く息をする。むせ返る程の緑の匂い、朝露に濡れた土の匂い、鬱蒼と生えた木々の間からかろうじて朝日が差し込む。
「うーん、森と言うよりジャングル?」
そんなジャングルの中に似つかわしくない6歳児と黙っていれば美人な残念メイドのエミリー、燕尾服に身を包み佇まいに気品を感じるバトラーのロッテン。
「皆んなキャンプするような服装じゃないね」
そう言うリト自身も白を基調に金糸の入った服にハーフブーツ、ハーフマント、極め付けは羽付帽子である。まるで三銃士の様な出立ち、6歳児にはどうかと思うが母様チョイスなので文句は言わない。
「ロッテンは邪魔ですがこれからリト様との生活を思うとこのエミリー体が疼いてしまいます。
リト様?これからはママと呼んでくださっても良いのですよ?」
身体をクネクネさせながら物欲しそうな目で見られても言わなから安心してほしい。とりあえず放置の方向でほっといてまずは結界を張ってしまおうと思う。
いくらなんでもこんなに森の奥、強い魔物や面倒な魔物が多そうだしね。邪魔されずのんびりキャンプを楽しみたいのだ。
「まずはイメージだな」
自分を中心に取り敢えずは2キロ四方を敵意や悪意を持つものを押し出す感じで…
「御主人様、僭越ながら結界ならばこの私めがやりましょう」
隣で佇んでいたロッテンから声がかかる。御主人様かぁ〜むず痒いから名前で呼んで!とは言わない。ふふっ、僕は出来る男を目指す。
好きな様に呼ばせてあげよう!
「ではエミリーも御主人様とお呼びしてもよろしいですね!」
御主人様と言う言葉に反応して間髪入れずに聞いてきたな?
「エミリーはダメ。違う意味の御主人様に聞こえるから」
ガーン!と聞こえてきそうなほど落ち込むエミリー
しょぼくれてるエミリーを見てちょっと可愛いと思ってしまったのは内緒だ。
「えっと僕でも出来るよ?」
「それは重々存じております。ですが御主人様が結界を張られますとその場が神域になってしまわれるかと思います。人族でただの結界、女神から加護が与えられた聖女ならば聖域結界が可能かと思われますが…下界で神域結界は後々面倒事になるやもしれません」
スミマセン…魔法はイメージよ!としか習ってませんです。今大事な魔法の基礎を教えてもらってる気がします…
「御主人様が魔法の発動に使う力は全て神力によって行われます。しかし人族に於いてはこの世界の魔力によって魔法が行事されるのです。地脈を流れる魔力や大気に溢れる魔力を己の体内に宿し……」
うんたらかんたら…と説明が続いてるが、なるほどね。魔法の発動に使う力の系統が違うって事ならば話は簡単。なんせ魔法はイメージって言うんだから。
僕は目を閉じてこの世界の魔力とやらをを感じてみる。
うん、ちょっと重い感じの波動の様な力を感じる。それにしてもあちこちの地面から湧き出てるように感じるのは地下に地脈でもあるのかな?物は試し!
魔力を感じたなら僕の中の神力をこの感じた魔力の波動に変換して…
「フォートレス!からの〜
僕を中心に発動した魔法の波紋が広がっていき重々しいジャングルの様な森の空気が清々しい清浄な空気に変わった気がする。
「流石は御主人様。一発でこの様に強力な結界を張られるとは!この下界でこんなにも強力で永久に続く聖域結界はございますまい!」
えっと…普通の結界を張ったつもりだったんだけど…しょうがないよね、初めての大規模魔法だし力加減わからないもん。
「アハハ…上手くいってよかったよ」
とりあえず笑って誤魔化しとこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます