第4話
えっと、なんだっけ?そうそう、2度同じ母親から産まれてきた僕はどうやら神界に転生したようです。
「神界?」
色とりどりの花々が咲き乱れゆったりとした時間が流れ行くこの世界は母様達が住む神界だそうで…
(それはそうか、どこかの貴族の3男とかじゃなく女神様から産まれてきたのだから)
うん、なんとなく理解してきた。だったら一つ聞きたい事がある。
「母様、身体に不安がなくなったのなら地球のあの時間には戻れないのでしょうか?」
唯一の心残り麗奈。きっと落ち込んでる、手に取るようにわかる心情が自分の心にも突き刺さる。産まれてきた以上は死が2人を別つのは避けられない。それでも一緒に歳を重ねたいと思える幼馴染。
「それは流石にワシでも無理なんじゃ…」
僕の背後からそう声が聞こえて振り返る。
柔和な顔に白髪と口髭がよく似合うロマンスグレーの人物がそう答える。
「お父様…」
母様がお父様と呼ぶって事は僕にとっての…
「じぃじ?」
「グハッ…これが初孫の破壊力なのかや?くぅ〜時は戻せんがどれ、じぃじが異世界の二つ三つくれてやろうかのぉ〜」
異世界って貰うものなの?読んだ物語だと自由気ままに(2度目の人生悔いのないように生きる!とか言って)楽しむんじゃないの?え?むしろ管理者?
「お父様、異世界を与えるフリしてご自分の仕事を減らすのをやめてください。そもそもお父様の世界は熟成しきって精神体しかいないじゃないの!」
「あやつらのぉ〜たまに下界を除いてもアメーバみたいにウヨウヨしてるだけでつまらんのじゃ…導く方向を間違ったんじゃな」
えー、そんなつまらなそうな異世界を僕に?ダメじぃじじゃん。
「リト、こんなジジイでも一応創造神なのよ」
「ついにジジイ呼び!?」
「そんなだからお母様にも別居を言いつけられるのですわ」
あー自分の要らないものをプレゼントと称して他人に与えるフリして押し付けるなんてちょっとヤダな…神なのに…
「オホン!と、とにかくじゃ!初孫のリトには何かプレゼントを…そうじゃ!ワシの加…「いりません!」護を……」
転生特典でちょっと加護貰えるやつだ!と思ったら食い気味に母様が答える。
「これから何の神になるのかゆっくりと自分で決めていくのにこのジジイは何を言ってるのかしら?そもそも神子に神の加護与える意味あるのかしら?ついにお父様もボケてきたのね。人の子に加護を与え自分の子や孫には愛情を与えるものよ」
僕には神のルールはまだわからないが、母様の辛辣な言葉はジィジには堪えたようだ。
あーあ、涙目になって走って行っちゃったよ…
ムギュっと母様が僕を抱き上げる。
「リトがもう少し大きくなったら私の世界でやりたかった事を経験するといいわ。それまでは前世で離れてた分、母様に甘やかさせてね」
そう言って僕の頭を撫で撫でする母様の暖かさに僕は瞼を閉じるのであった。
残念ジィジはどこに走り去ったのだろうと疑問を残して。
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