長編執筆に向けての断片文

英武忠臣(Taka245)

第1話 葦矢忠臣の独り言001

 “孤独”って、何だろう?


 “孤独”って、どこから来るんだろう?


 胸の中に誰かがいる人間には、“孤独”って、無いような気がする。

 知りたいことで溢れている人間にもだ。

 頭の中、心の中。

 そこが自分以外の何かでいっぱい、いや、いっぱいいっぱいの人間には、きっと、孤独を感じる暇なんて無いのだ。


 そういう意味で、桃ノ木美咲が僕の幼なじみであったことは幸せだったと思う。

 桃ノ木美咲。

 僕と同じ金剛北中学2年の、脳ミソ5歳児の女の子。

 小さくて、クラスの女子の中では前から2番目。

 見た目は、間違えて中学校に来ちゃった小学生女子。

 咲の知らない所で呼ばれてるあだ名は『イクラちゃん』、または『ちゃーん』、『ハーイっ』。

 これは見た目や名前から付いたあだ名ではなくて、国民的アニメのキャラクターからきている。

 この学校でただ一人、僕のことを『タラちゃん』と呼ぶからだ。

 『タラちゃん』の相棒だから『イクラちゃん』ってことらしい。

 僕は小さい頃から母さんや近所の人に『ただちゃん』と呼ばれていて、幼稚園の年少組の頃に隣に越してきた美咲は、周りの大人のマネをして僕を『ただちゃん』と呼ぼうとしたのだけど、上手く発音ができなくて『タラちゃん』と呼んでいた。

 それがクセになって中学2年になった今でも、僕を『タラちゃん』と呼び続けているのだ。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

長編執筆に向けての断片文 英武忠臣(Taka245) @takumi9750-9647

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る