平静を求めて

第1話

ふっ。今回も我々の勝ちのようだな。

まったく。あ奴らは隙あらば人類を刈り取ろうとする。そのせいで我々はいつも気が抜けない。

今回も厳しい戦いだった。なんなんだ、あのウイルスは。簡単な風邪のように見せかけて、肺への甚大なダメージ。重篤な容態から持ち直しても、呼吸系は痛めたまま、味覚障害、嗅覚も狂う、低酸素からくる脳へのダメージ。めちゃくちゃじゃないか。

最近は世界的な戦争の火種まで投下しやがって。核を使われたら一瞬で人類は滅亡じゃないか。前の戦争で使ったあの2発は、あ奴らの前菜ってことか。

我々が人類が使いこなせる程度の技術や知識を与えたら、あ奴らはそれを過激にチューニングしてくる。

困るんだよ。人類には広く永く繁栄してもらわないと。

我々『悪魔』の食糧だからね。

―――

地球（ガイア）は人類だけのものじゃない。地球（ガイア）の平静のために。

神々は無表情のままそう思った。