多岐亡羊の日々
ふと人生を振り返ってみると、私の今までは迷いに満ちていたかのように思う。
趣味にしても勉強にしても、表面……いわゆる基礎をかじっては応用に手を出さずしてそのままゴミ箱に捨ててしまうような人である。
飽き性というか興味関心がありすぎるのか、迷い子というか迷い箸をしそうな人間ではある。
お金を浪費して大量に物品を購入もするが、それが実際に役に立った買い物かというとそうではないのも少なくなかった。
物忘れが激しいのも今の性格になった一因になるだろう。
人間は忘れなければ生きていけないが、忘却は自分という証明書を破っている気がしてならない。
そんな私が私であるという証明方法はメモ帳だったり日記だったりの文字や曲が確かに今日生きていた証拠だろう。
迷い続ける私に対して唯一無二の問題誘導でもある。
思いついた内容や今日起こった出来事を記録として、データとして残しておくだけで自己と他者の区別をつけれる。
振り返って読み返したり過去のデータを整理していると、「あの時の自分ってこんな趣味持っていたのか」と驚愕したり感慨深くなる。
アイデアもそこには残されているので、過去の遺産が私を救ってくれることもあるからそれだけでやる価値はあるだろう。
……ところでこういった記録をのぞいてみると、一周回って思考が元に戻っているのも確認された。
迷い箸でもなく迷い子でもなく、実は迷路にいたのに気づいた私。
これまた先を不安にさせるのは気のせいだろうか。
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