somebady
「タケル」
老婦人が、玄関のような場所で靴を履いている少年に声をかけた。
「タケル、昨日誰と一緒に居たの?私知らない人だったけれど。背の低い女だったわね。私心配なのよ。きっとあの女はあなたを狙ってるわ。目つきでわかるの。数か月前にはショートカットの女と一緒よね。あの子はどうしたの?あの子もあなたをぎらついた目でみてたわ。ねえ、タケル、私その子も名前も知らないのよ。どうして?ねえどうして?私に教えてくれないの?そんなに私が信用できないの?名前くらい教えてくれてもいいじゃない。あなたが誰かと一緒にいるなんて、考えただけでも怖いの。だって、ねえ?わかるでしょう?私、親よ?あなたを幼いころから育ててきたの。小さいころの写真だっていっぱい持ってるわ。みせてあげましょうか?それとも私のお乳がまだのみたい?いいのよ?いいのよ??ほら、おいでおいでおいでおいでおいで!なんで来てくれないの?昔は大好きだよ、って抱き着いてくれたじゃない。嫌いなの?嫌いなのね私が。私より知らない人の方がいいっていうのね!親不孝!親不孝!親不孝!なんのためにうんだとおもってんのよ。親孝行しろよ。お前をそんな風にそだててやった記憶はない。最低だよ。さいていさいていさいていさいていさいていさいてい!!!!」
老婦人は肩を上下にあげながら、息を切らした。
「あの.... 」
少年は困惑気味の顔で、口を開いた。
「どちら様でしょうか......?」
SS『絶望としての世界』 水野スイ @asukasann
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