第4話 旧市街地跡探索・奪還戦 前編

「おいおいおい、俺の縄張りにもう一人いたなんてな……それも龍形態で」


十六夜月一行は龍を見つけ、観察していた。

しかも寝てるのだ。堂々と。


「ガトー、あの龍の名前は」

「やばいですねぇ、あの龍は古龍エンシェントドラゴンクラス相応の赤薔薇龍スカーレットだわ」

「女か、名前的に」

「スカーレットは気難しい女でね、少しでも怒らせるてすぐ燃やし尽くす」

「火属性か」


赤薔薇龍スカーレット

気高い真紅の龍は強さと美しさの証、邪魔する者は全て真紅の炎に焼かれ朽ち果てる。

十六夜月は人形態ではないためどうするか悩んでいた。

間違いなく最低でも凄腕クラスの赤薔薇龍、下手したらG級マスターランクまである。

説得はきついから最悪捕獲も考えたが……おそらく今連携が取れない中戦うのは危険。

十六夜月は護衛の桜火龍ヴォルガを連れていくのだった。


「zzz……」

「しかし、綺麗だねぇ」

「うん、きれい」

「君みたいな子がうちきたら可愛がるのにねぇ」


可愛がると発言を聞いた途端、赤薔薇龍スカーレットの体が光り出した!


「ハッハッハ!こいつは面白え!褒めた途端に人になるか!面白すぎて達する!達しちまいそうだぜ!」

「いや笑ってるところじゃねえ!赤薔薇龍は人になるとかなり厄介なんだぞ!」

「だからこそだよ!このやばい状況をどう乗り切るか見せてもらうぜ!」


龍人になった赤薔薇龍スカーレットは十六夜月を見てツンツンした目で見てきた!


「アンタがアタシを呼んだ?」

「うーんこのダスカ!」

「別にアンタが望むなら手伝ってあげてもいいわよ……」

「お前、寂しがりとか言わない?」

「な、何よ!人に触れ合いたい龍がいて悪いわけ!?」

「(ダスカだわ、これ完全にダスカだわ)」

「スカーレットさん、いっしょにきたらりゅうじんいっぱいいるとこあるよ?」

「なら行こうかしら……」

「来る?」

「しょうがないから来てあげるわ!条件はアタシと時折添い寝しなさい!」

「ただの欲望丸出し!」

「面白すぎんだろ!俺含んで古龍相応のやつを1日で2人仲間にしたってか!?人誑しにも程があんぜ!」

「ベリアルお前その割にはウイスキー飲んでジャイロナッツ食って楽しんでたよね!?助ける事せず!?」

「俺は面白いことが大好きだからな!」

「性格悪い……」

「ふふん、古龍相応の赤薔薇龍の力見せてあげるわ!」

「ダイワスカーレット育成入ります」

「だれ?それ?」

「赤薔薇龍スカーレットみたいな子さ」

「あ、そうそうもうここを支配してるのはウメス類2万匹とかだから奪還できるんじゃない?」

「俺が壊したとはいえ酒が飲みてえし手伝ってやるとするか」

「人殺してないんだろ?」

「人を殺したら酒が作れなくなるだろ!」

「割と真顔で言われた」

「俺は人を困らせて飲む酒が好きなんだ、作り手がいなきゃ元も子もないだろ?」

「あんた中々にSだよ……」

「じゃあ帰るか」


こうして、また3日かけて帰るのだった。


テイマーギルド


「木の実食い君、早速二人説得かい」

「爆炎龍ってなんすか?」

「ああ、爆炎龍ボマークラウドか……彼らは爆発攻撃を持ってハンターを苦しめる準古龍相応の龍だね」

「流石はギルマスだ」

「……本当に仲間にするとは」

「後赤薔薇龍スカーレットと」

「君才能しかないね」

「おいくら金額」

「ボマークラウドとスカーレット合わせて35万mだよ」

「マジかよ」

「後、スカーレットから話は聞いたよ……近いうちに町の奪還作戦をやるだろう。恐らく大型モンスターも騒ぎにつられ来るだろう。オリジナルの防具許可を出す、動けるテイマーは全員来るから君も待機を」

「あいよー」

「後、その加工した竜骨工房が復活したら新しい防具が追加されるよ。頑張ろうね」


そんな情報をききつつ、十六夜月達は何もないマイハウスに行くのだった。


ドルマルグテイマーギルド マイハウス


「何もないわね」

「35万m貰ったし拡張したいわね」

「なら、俺が酒に困らない様の酒保管庫とバーを頼みたいね」

「アタシはアンタの隣の部屋!」

「おとうさんのちかくがいい」

「私は部屋はどうでもいいが畑は作りてえよな、木の実食いだから木の実は育てたいし」

「鉱石採掘拡張をオススメするニャ」

「ネコキッチン開発ニャ」

「全部でおいくら」

「20万mですな」

「拡張!」


こうして、マイハウスの拡張工事が始まった。

そして5日後……


「畑にバーにネコキッチンに寮がでかくなったわね」

「鉱石も掘れるニャ」

「酒はエールだけか、まあいい」

「ジュースあるよ?」

「嬢ちゃん、ジュースはマスターに口移しして飲ましてあげな?楽しくなるぜ?」

「ベリアル、わるいことかんがえてる」

「そういや私らの名前どうするー?」

「ドスポイゾナスは摩耶、桜火龍ヴォルガは桜にしようかと」

「ほーん、まっ私はいいけど」

「さくら、いいなまえ」

「アタシの名前は?」

「ダスカ」

「……なんか投げやりな名前ね」

「スカーレットっていうのは恥ずい」


そうして1日後、ついに緊急クエストが発令された!


「総力戦か……」

「今回は全員か」

「おとうさん、わたしもがんばる」

「おう!頑張るぜ!」

「ネコ族も前に出るニャ!」

「いくニャ!」


こうして、馬車で急ぎ2日……

現場ではすでに血みどろの戦が始まっていた!


「任務確認!狩猟許可あり!メインは旧市街地跡の奪還!」

「さーて、美味い酒のために頑張りますか」

「いくよ……!」

「オラぁ!傷ついたやつは下がれ!私達が相手になる!」

「赤薔薇龍スカーレット!行くわよ!」

「アイルーいくニャ!」

「メラルー!支援ニャ!」


旧市街地跡 エリア1


「うおおお!」

「う、うわああああ!」

「やってんな!真滅一閃構えて突っ込む!」


真滅一閃

龍滅棍の龍属性を帯びた高級タイプであり、ランクはA+++と持ち手すら限られていた。

十六夜月はその真滅一閃を構えて小型モンスターの群れに突っ込んだのだった。


「一掃してる……」

「すげぇ、あれがテイマー……本気を出すとこんなにも……」

「他のエリアはどうだ!」

「エリア4に大型だがマスターランクが行ってる!エリア3はライダー部隊か!一番やばいのはエリア2とここ!」

「エリア1ことここは任せろ!スカーレット君なんか話と違くない?」

「奪還するとなったら何故か知らないけど大型が妨害するのよ!早く行って!」

「すまない!」

「さぁて!焼き滅ぼそうか!」

「どけ!退がれ!さもなきゃ殺すぞ!同族でも!」

「古より伝わるは退魔の炎……我呼ぶは神炎、落ちて焼くは業……燃えよ!」


桜が詠唱完了すると一筋の光が降り注ぎ小型モンスター達を焼き払う!

十六夜月はドン引きしながらも制圧を開始する!


「えんしぇんとぶれいず」

「今ので何頭倒したんだよ……」

「10ひき」

「まだ制圧できんのか!」

「派手に行こうじゃないか、マスター」

「ベリアル君?」

「メティオスウォーム!」


ベリアルが詠唱を完了すると空が少し一瞬だが暗くなり空から3つの隕石が降り注いだ!

そして地面にぶつかると大爆発を引き起こした!


「この市街地跡をぶっ壊す気かおんどれらは!」

「だが35匹は吹っ飛んだぜ?」

「苦しめ!ポイゾナスフィールド!」


摩耶が毒のフィールドを作り出す!

小型モンスター達は一斉に悶え苦しみ出す!

十六夜月達は毒を持って毒を制する状態になったのか状態異常に強くなった気がした。


「ニャ?ニャッニャッーニャー!」

「アイルーが樽で作った戦車持ち出した!」

「ニャー!大型反応!来るニャ!」

「メラルーはレーダー作ってる!ネコ族マジで何なんだよ!?」


メラルーの言う通り羽ばたきの音が大きくなる!

十六夜月達は身構え、狩猟に備えた!


「手負いのライダー登録されてる龍ニャ!」

「おい!しっかりしろ!」

「うう……俺を追って地龍が来る……」

「地龍?」

「楽しくなったじゃねえか!古龍エンシェントドラゴンだぜ!」

「……マジ?」

「さぁ、どうするか見せてもらうぜ?」

「ベリアルがこういう時力貸さないのは知ってた」


地響きが来る!大きな轟音の足音と共にエリア1にやってくる!


「ライダー、あんたは逃げろ私が何とかしてみる」

「すまねぇ……テイマー……」


テイマーは傷ついた龍と自身を無理しながら撤退する。

そして轟音が最大まで来た時、十六夜月は焦りを見せた!


「やばいな……ディアブロス亜種か」

「あんたのトコではそう呼ぶのかい?だがらここじゃ地龍アースクエイカーだ」


地龍アースクエイカー

人になれば大地震を起こし、龍形態だと自慢の力で惨殺する。

その天変地異から古龍ことエンシェントドラゴン判定の非常に危険な大型モンスターだ。

十六夜月は説得を試みようとしたが、人にならなければ説得できない!


「古龍は捕獲できんから……討伐か説得か、行くぞ!」

「おい!地面が割れた!」

「は?」


バク転て回避しなかったら地割れに飲み込まれていた所だった。

今までの相手とは格段に違う!


「カウンター!」

「……」

「かった!?蹴飛ばしたこっちが逆に痛いだと!?」

「奴の重殻は鉱石以上に硬い、さぁ格闘はできないぜ?」

「1発のキックでダメなら1000発のキックをぶち込めばいい!ってあら?こいつふらつき始めた?」


十六夜月が蹴飛ばして25秒後、アースクエイカーはふらつき始めた!

理由はわからないがとにかく今がチャンスと見計らった十六夜月はベリアルに酒を持って来させた。


「ウイスキーを持って来させて何するんだ?」

「こうすんだよ!」


十六夜月はふらついてるアースクエイカーに無理矢理酒を飲ませた!


「馬鹿か?古龍に酒が効くわけないだろ」

「いんや?あったみたいだぜ?」


アースクエイカーは足もふらつき始め、完全に酔っ払ったようだ。

ここまできたら無力化は出来ただろう。


「さて、こっからどうするか」

「ネコ式重戦車、小型の足止めをしてるけど弾切れニャ!」

「また大型モンスター来るニャ!」

「なんじゃ人が浮世に受かってるのに邪魔するのかや」

「龍形態で日本語を!?」

「エンシェントドラゴンが異世界の言葉を使えないとでも思うとるのか?」


そういうとふらついた足でアースクエイカーは怒りをみせつつ構え始めた。

どうやらあのキックすら下手したら効いていなかったのかもしれない。


「人にならずとも雑魚相手にはこれで平気だわい」

「は?」

「来るわ!あれは……鎧鳥種アイアンバード!」

「邪魔じゃ!」


アースクエイカーは地面を抉りその大地を鎧鳥種に投げて撃ち落とした!

当たりどころが悪かったのか鎧鳥種は地割れに落ちて二度と戻っては来なかった。


「ふぅ」

「やべーぜあのロリババア、一撃でアイアンバードを葬り去りやがったぜ」

「さて、そこの軍服……マッサージをして貰おうかの。人になるから」

「いいけど?」

「気持ちよくなかったら……わかるじゃろ?」


そう言ってアースクエイカーは光に包まれ、10秒後小さな子供みたいな体型になった。

140cmぐらいだろうおおよそ。


「んじゃ私正座するから膝の上に」

「人の子にしては随分物分かりがいいな」

「んじゃ、やってくか」


十六夜月は丁寧に丹念にマッサージをした。

アースクエイカーは気持ちがいいのかんー!とか言ったりしてる。

その隣でスカーレットはずるいって顔をしていた。


「あーいいわ、気持ちいい霊力をしとる」

「は?」

「気に入った、妾の物になれ」

「何言ってんだこいつ」

「何よ!アタシが一番なの!」

「喧嘩し始めたし……」

「全くこのハーレムがよぉ!ウイスキーが進むじゃねぇか!ニードルナッツが進むぜ!」

「助けろよベリアル」

「お断り願うね!こんなに楽しいのにか!?」


そんな中ガヤガヤやってると、テイマーギルドの長大食漢がやってきた。ひとりの男性を連れて。


「まさか一人で制圧するとはね、地形はかなりぐちゃぐちゃにしてくれたけど」

「何、治してやるから待っとれい」


そう言ってアースクエイカーは右手を上げると抉れたり壊れた地面が元に戻っていく。

これが古龍エンシェントドラゴンの実力と考えるとまさしくやばいと感じる十六夜月であった。


「地龍か、よく説得できたね」

「酒飲ませてマッサージしたら懐いた」

「副団長のコードネーム静寂サイレントだ、主な仕事はテイマーの管理だ」

「どうも、木の実食いです」

「次のクエストの更新だ、今他のテイマーハンターライダー含み進行中だ。だから負傷者に空腹者とかの支援を」

「食材足らんぞ」

「移動用ネコキッチンとハンターズギルドからの後方支援要員を持って来させる、それの護衛だ、簡単に言えば」

「OK専門分野」

「木の実食いのお陰で前線は上がった、1週間もすれば奪還できるだろう……気を抜くなよ?奇襲する闇ハンターが来るかもしれない」

「あー対人戦?」

「あぁ」


対人戦なら十六夜月は十八番だった。

前世で戦国時代で生き抜いた戦闘術があるからだ。

そうならないようには祈りたかった。


「さあ寒くなるぞ、火を起こして空腹になったハンター達を食わせるぞ」

「君らも手伝うんか」

「大食漢は明日から前線さ、龍人達が戦いたいといってるよ」

「サイレントは後方支援がメインだ、戦うのは無理と思ってくれていい」

「俺らも食いますか、流石に昼抜きはきつい」


着実に制圧は進んでいくのだった。

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現代人達、龍を極力狩らずに手懐ける @izayoizuki

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