第3話 ドルマルグ調査隊

「支援金よし、武器よし、ドスポイゾナスに桜火龍ヴォルガにアイルーに黒猫ヨシ!」

「おとうさんといっしよ」

「おい……私がいえた義理じゃねぇけどよ、幼体こいつ大人になったらGクラスあんぜ?制御出来るか?」

「懐いちまったしなぁ」

「黒猫ニャ、僕の名前は何にするニャ?」

「メラルーで」

「わかったニャ」

「アイルーはお土産買ったニャ、ドルマルグは辺境ながら防衛施設はガチニャ。狩猟祭をやるぐらいたくさん来るからハンターもライダーもテイマーもたくさん来るニャ」

「なあ、アイルー……ライダーってなんだ?」

「ライダーは龍の上に乗って戦うハンターさんにゃ。空中戦の要ニャ」

「つまりライダーで空中のやつを叩き落として地上部隊が本腰と、考えてるなあ」

「地上でも戦うライダーさんはいるニャ」


そんなこんな喋りながら準備をしたら迎えの荷馬車が来たのだった。


「よっ、新人テイマーさん!ドルマルグまでよろしくな!」

「よしなに」


こうして高性能で乗り心地が良い馬車でいくのだった。


馬車内


「ジャイロナッツのすあげほしい」

「あ、私も」

「すっかり好きになったな、ジャイロナッツ」

「なんか糞がたくさん出るがうめえんだわ」

「おやつかんかく」


実際ジャイロナッツには食物繊維が揚げた状態でも現代食物でいうごぼうまたはサツマイモと同等であり、健康には非常に良かった。

しかも塩を振るだけでポテトチップスみたいな味になるとも判明したため十六夜月達は『木の実食いのテイマー』として期待されていた。


「うーん、俺っちはいいや。満腹になって馬車が操縦できなきゃ困るだろ?」

「すまんな」


かなり快適な馬車で動き、ドルマルグ調査隊についた時にはかなりの人がいた。


ドルマルグ広場


「多すぎるだろ!?人に龍人!」

「ネコ族も沢山ですニャ!」

「んじゃあ、俺っちはあんた専属馬車になるから」

「え?」

「あぁそうか知らないんだったか……テイマーさんは基本馬車移動なんだよ。ネコタクとか龍の背中に乗ってとかじゃなくて」

「なんで?」

「お前考えてみろよ、龍人がボロボロ状態でネコタク乗ったらどうなるか」

「手当室も兼ねてると」

「そういうこった、俺っちの名前はガトーだからよろしくな」


そう言ってガトーは、馬車の定位置に戻すために高級な馬車を動かすのだった。


「さて、ドルマルグはまさに開拓調査といった感じだな」

「おとうさん、だれかきた」

「君が木の実食いか」

「その名前定着してるんな」


そう言ってかなりガタイのいいお兄さんが一人の男性龍人をつれて来たのだった。


「私は、ドルマルグテイマーギルドの団長、愛称は大食漢だね」

「え?テイマーギルドはコードネーム呼びなの?」

「本名は基本出さないでくれ、機密を扱うかもしれないから」

「じゃあこれから私は木の実食いって……コトぉ!?」

「プライベートでは名前だしていいから、そこは切り替えてくれ」


十六夜月は困惑しながらもこれもまた仕方なしと思って受け入れたのだった。

しかしヴォルガとドスポイゾナスは退屈そうに辺りを見てる。


「長話もつまんないだろう、マイハウスに案内しよう」


ドルマルグテイマーギルド マイハウス


「デカすぎんだろ……」


もはや1個の村であった。

この村1個が十六夜月のマイハウスというからおかしかったのだ。


「何もないから発展は自力でやってくれ、この


「テイマーギルドはみんなこれがある、しかしここは広場から遠いし馬車で1時間かかるから誰も使いたくなかったが……君は喜んでるから自由に使ってくれ」

「わーった、ところで龍人はうちら何人制限で?」

「ん?無いよ。テイマーは龍人と協力して戦うから数制限はないよ」

「まぁ、考えてみりゃそうか」

「そのかわり、『狩猟はよっぽどがなければ禁止』だからね」

「可能な限り捕獲か説得と、了解」

「延髄とか脊髄みたいなレア素材がいる場合、対象モンスター5人説得もしくは10頭捕獲で1個はあげるから、後は小型モンスターはこの限りではないよ」

「その交換した龍人達は?」

「ドルマルグ防衛隊とか、酒場の受付嬢とかになるよ。奴隷とかにはならないから安心して」

「ならばよし!捕獲は龍のままなら闘技場?」

「いや、ライダーの乗機になるよ。ここドルマルグ以外でもね」

「私が奴隷とかになると思ったのがバカらしいじゃねぇから……」

「闇ハンターなら奴隷にしたりするよ。最も……ドルマルグでも要注意人物は目をつけてはいるが……人が多くて手が回らないのが事実さ」


そうして馬車にまたのって、またドルマルグ調査隊に戻ったのだった。


「さて、君にはこれから3ヶ月以内にこなさなきゃいけない任務というか目標を与えるよ、これがテイマーギルドの基本だね。それさえこなせばあとは自由だよ」

「で、任務は?」

「鳥竜種の5匹捕獲もしくは飛龍種3人の説得もしくは鳥竜人4人の説得だね」

「あいよー、行ってきたいが凄腕装備ないで?」

「君専用の防具のこともあるから今回は大目に見て半年の狩猟祭に間に合えばいいよ、では早速作ろう」


こうして、十六夜月は凄腕用の自身専用装備の制作に関わるのだった。

軽さとか、防具の強度とか、武器相性だとか。

かれこれ1ヶ月かかり……

ついに十六夜月専用防具が出来上がった!


「ええやん、軍服風か」

「この防具オリジナルスキルはKO術と業物と匠+3を併せ持つ。君のはオリジナルの強化レプリカだから+5だ」

「オリジナルはよっぽとじゃないとダメっすね」

「だから、レプリカを作った」

「他のスキルは?」

「体術+3にスタミナ急速回復に回避性能+3……それに回避連撃がらついてるね」

「回避連撃?」

「回避成功時にカウンターしやすくなるスキルさ、君のレプリカはね」

「普通のレプリカは?」

「回避連撃のかわりに巧撃がついてるよ」


この防具のコンセプトとしては、当たるな回避しろがコンセプトだった。

防御力は非常に高かったのだが……十六夜月が動き回る性格上それを補うスキル構成となっていたのだ。


「オリジナルのほうは緊急任務もしくは重要事以外は認めないから、基本君専用のレプリカを使ってくれ」

「あいよー、剥ぎ取り禁止だから防具作れない武器強化困難だからの措置か」

「そうだね、私たちは武器の種類はなんでも使うが極力部位破壊をせずに説得もしくは捕獲をしたい……だから防具武具はこうやって作るしかないんだ」

「ハンターズギルドとかよく許可出しましたね」

「龍人のお供が認められてる証拠さ」

「あっそうかハンターでも龍人を使いたい人はいるから」

「そういうことさ」


こうして、大食漢一同はテイマーギルドにいくのだった。


テイマーギルド


「龍人たくさんやのぉ」

「みんな仲間さ、テイマーが捕獲した」

「あっ!木の実食いさん!」

「本当、知れ渡ってんだな」


そう言って双剣を担いで受付嬢がやってくる。

おそらくだが普通の人間だろう。そうでなくては困る。


「受付嬢のエリンです!こちら貴方専用の双剣強化レプリカです!」


見た目は、まさしく軍隊の指揮官が持ちそうなカッコいい双剣だった。

属性はおそらくついておらず使いやすそうではあった。


「名前、どうします?この防具と他の武器を売る際の名前」

「ブリッツでよくなーい?」

「わかりました!ブリッツキットとして期間限定で売りますね!」

「だいたいどれぐらいさ?」

「一年二年ですね」

「どんだけ売れるか……」

「馬鹿みたいに売れますよ!貴重な素材にお金に物資はこうやって稼がないと!」

「(やっぱ闇だわ)」


そうこうして、テイマーギルドに人が集まるかと思ったら……全然こない。

何があったかと大食漢に聞いてみたらこんな答えが待っていた。


「あぁ、テイマーは2ヶ月空けるとかあるから。」



「そんじゃ行ってきますわ、なんかおススメない?」

「依頼としての依頼は受けれないので、テイマーギルドは基本捕獲したらその分の今の相場の5倍受け取る計算です。説得したら10倍でテイマーギルドに引き渡す場合は15倍ですね!」

「全部自力のフリーハントか、んじゃ今ある資金で麻酔玉くれないか!」

「1個200m(マニー)ですね、支給品ボックスにいれときますよ」

「後落とし穴とシビレ罠」

「代金ください!」

「3000m、足りるか」

「ネコキッチン4匹なら丁度ぴったり調整ができます!食事をしたら行ってきてください!」

「あいよー、4人までよなクエスト」

「はい!ネコ族は数として2匹までです!」


こうして、ネコキッチンにいくのだった。


テイマーギルド ネコキッチン


「ニャ、4匹ネコ料理3人前とネコ族用2人前ニャね」

「米と肉を炒めたものを」

「私は肉と魚を蒸したもん」

「おにくと、おやさいふかしたのがたべたい」

「アイルーのボクは穀物と魚なキアイチャーハンがいいニャ」

「メラルーはグラタンニャ!ホワイトソースとマカロニたくさんが入った奴ニャ!」


全ての注文を聞いたネコ達は4匹で一斉に作り始めた。

いい香りが充満して、食欲を掻き立てられる。

15分後、先に十六夜月とアイルーの料理が来た。


「キアイチャーハンシーフード味とキアイチャーハンビーフ味ニャ」

「……何キロ?これ」

「1.5キロニャ」

「ネコ族サイズ300g、嬉しいニャ」


十六夜月とアイルーは冷めないうちにがっつり食べるのだった。


「揚げガーリックに味がしみたビーフに米が美味えええええ!」

「うん!シーフード沢山ニャ」


そして5分後、ドスポイゾナスとヴォルガの蒸し料理がきた。


「おやさい、いっぱい」

「肉と魚だ!食うぞー!」


そしてら2分後、なんかやばいサイズのグラタンがやってきた!


「メラルーこんなに食えないニャよ!?」

「皆で食えニャ」

「ネコキッチンって結構アバウトってだな!?」

「ヴォルガ、たべる」

「おー食うなら手伝うぞ」

「なら私も」

「アイルーはいいニャ、入らないニャ」


こうして、全員が満腹になった所で体に変化がおきた!


「力が溢れてくる!」

「ひのまほうのちょうしがよくなった!」

「毒魔法の効能高くなったぜ」

「ニャ、おくすりうまく使えそう」

「キタキタ大型モンスター全部わかりそうニャー!」


とまぁなんか危ない素材でも使ってるかの如く調子が良くなった!

そして、生態調査へといくのだった。


旧市街地跡


龍達が滅ぼした町の成れの果て、今では龍が跋扈する。

当然ここにしかいない龍もいたりする。

今回ここを調査する理由はあまりなかったが、十六夜月は安全を兼ねてここを探索した。


「ご主人、ここは竜骨工房みたいニャ。加工された竜骨が沢山あるニャ」

「持ってくぞ、防具になるかもしれん……」

「荷馬車2台の許容量を超えないでくださいよ?食料だってまだ積んでるんですからね?」

「わーっとるわいガトー、だがうまく使えばここは化けるな……メラルー、地図に乗っけて報告出来るように」

「わかったニャ」


ドルマルグから150km先とは言え、ここを奪還したらまたこの工房は使える。

利点は大きかった。更に一部工房はまだ稼働可能なため十六夜月は奪還もありかと考えていた。

更に十六夜月からのマイハウスからも140kmとほんの少しだけだが近く、復興も考えていた。

そのときである!


「……」

「龍人!?」

「俺の縄張りで勝手に動くとはいい度胸してんじゃねぇか」

「なるほど……こいつに勝てずにみんな放棄したと」

「お前も殺してやるよ、血祭りにしてな」

「おめーうちこねーか?」

「気でも狂ってんのか?お前みたいな下等生物に誰がつくかっての」

「ふーん、ならこうしよう……タイマン張って納得いく強さなら私の所に来る」

「いいぜ、かかってきなよ!」


こうして二人は外に出て十六夜月は双剣を構えた!


「ラ・ウルエト・メザスフィリ……」

「詠唱!来る?」

「爆ぜろよ!テトラフレア!」


小型の爆発が十六夜月一同に襲いかかる!

ヴォルガ達は回避できたが道路が壊滅的被害に!


「跡形もなく消えたか、あっけない」

「バーカ!後ろだ!」


その刹那十六夜月は回避性能で刹那的回避を行いスキル回避連撃が発動して龍人の後ろに回り込み回し蹴りをぶち込んだ!


「やるねぇ、初めて一撃ぶち込まれたよ」

「爆破魔法か、そら普通じゃ勝てんわ」


龍人は力を認めたというか見定めるように十六夜月を見始めた。

そして袋を勝手にとると中にあったジャイロナッツのフライを勝手に食べたのだった。


「いいねぇ、アンタの食事……実にジャンキーだ」

「あ!ジャイロナッツのフライが!俺のおやつ!」

「酒のつまみに丁度いい、しかもアンタは俺と同格……いいぜ、仲間になってやるよ」

「いいんか?」

「ああ、条件は酒を1週間に1回たらふく飲ませる事だ。そしてその木の実を俺のつまみに出せ」

「君種族は?」

「爆炎龍といえばあんたのマスターだって分かる、さぁ酒を飲もうじゃねぇか」

「お前酒好きなんか?」


そういって爆炎龍はジャイロナッツフライを食べつつダラダラし始めた。

どうやらコイツは本気を基本出したがらないタイプらしい、本気を出させるには自身がらそれを見せて納得させるか食べ物を出すかしかないと判断した。


「ワイン樽1個持ち込んでいいか?ガトーちゃん」

「!?」

「かなり賢いぜ、こいつ」

「おとうさん、このりゅうじぶんちゅうしん」

「アイツなんか気にくわねぇな……」

「お嬢ちゃん達いいんだぜ?ソドミーしちまっても?」

「お前の名前、ベリアルな」

「もう名前決めちまうのかい、早漏なマスターと来たもんだ」

「おめーのその言動からだよ!」


こうして、ベリアルについてく事10分。

そこにはワイン工房があった。今は人がいなく稼働してないが葡萄畑もあったんだろう。


「ここのワインが好きでね、ほら樽1個頼むよ」

「酒は飲めんからわからんか、ベリ公いうなら確かなんやろ」

「きぶんたかまる」

「あーこれは高級ワイン工房だわ、鼻でわかる」

「ジャイロナッツと一緒に食いながら飲ませてもらうよ。まさかジャイロナッツがこんな美味いとはね」

「……爆炎龍さん、酒飲み対決でも俺っちとします?俺っちも酒豪でしてね」

「いいねぇ!そうこなくっちゃあ面白くない!」


新たな仲間爆炎龍のベリアルを加え、一行はこの街跡を探索するのだった。


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