第4話私の黒歴史が増える!

「こんな森の中の景色を見せてるだけじゃつまらないだろうし少し散歩しながら雑談でもしようかな」


ミユキが目の前に思ってしゃべっていたパソコンを持って歩き始める。


「ミユキ散歩をするにしてもどこに行くの?」



疑問を含んだくそで言う。



「適当に歩いてればどっか綺麗な景色の場所にでもたどり着くんじゃない」


どうやら最初から計画など考えていなかったようだ。


かといって ここには モテるための目印などは何もないので出口を求めてただひたすらに歩くしかなさそうだ。


〈でも本当によく作ったバーチャル世界だよね〉


「ここはバーチャル世界なんかじゃない私たちが住む世界だよ」


ミユキが 少しおどけた口調でコメントに言葉を返す。


確かに 普通の人から見たらこの世界はバーチャルの世界にしか見えないだろうな。


ちょっと待ってよこうして現実世界と 一重を開けたわかんないけど繋がれてるって事は私たちが現実世界に戻ることもできるんじゃない?


そんなことを考えたがその考えはすぐに頭から消えた。


そもそも私が現実世界で死んでこの世界に来たんだからどっちにしろ現実世界に戻れたとしても自分の体がない。



自分の魂を入れる体がない。



随分と オカルト的な言い方になってしまったがつまりはどっちにしろ無理ということだ。


現実世界にこの姿で戻れたとしても別の問題が発生しそうな気がする。


「ナナミどうしたの?」


私の前を歩いているミユキが後ろを振り返って訪ねてくる。


「 あ!ごめんごめん何でもない」



「黙ってないでナナミも何か喋りなよ存在感アピールできないよ」


私は別に存在感をアピールできなくてもいいのだが。


「でも私と車来ないから何を喋ったらいいかわからないだよ」


「人と話すことをもらうためには人と話すのが一番」


それは分かってるんだけどさ。


顔も知らない画面の向こう側にいる人達と喋るなんて 私にとってハードルが高すぎる。


高校に通ってた時でさえ人と会話できなかったんだから。


〈ただ黙ってるナナミちゃんも可愛いからそれでオッケー〉


「ほんと可愛い女の子は得するよね!」


若干の皮肉を含んだ口調で言う。


このアバターを作ったのあなたなんだけど。


どんなこと心の中で思いながら 特に目的もなく足を勧める。


「でも本当に ザッツ雑談しながらこうやって歩いてるだけでいいの?」


特に何も言っちゃ悪いけど面白みがないような気がする。


「大丈夫大丈夫今回はただナナミがこのライブ配信を見てくれてる人たちはともっとコミュニケーションが取れるようになるための強化訓練プログラムみたいなものだから」


そう言いながらパソコンの画面を私の方に向けてくる。


しまった墓穴を掘ってしまったと少し後悔する。


「ほらただ歩いて雑談してるだけじゃつまらないって言うんだったらナナミが何かやってこのライブ配信を盛り上げてよ」


思わず緊張で顔が固まってしまう。


「表情がかたいなぁもっと笑って笑って」


そう言いながらミユキが 私の両方の頬を指でつまんで上に上げる。


〈後ろのあれ何?〉


〈後ろ後ろ!〉


〈 後ろを向いて!〉


〈 だんだんとこっちに近づいてきてるよ!〉


パソコンのコメントの画面を見てみるけど そんなコメントがたくさん表示されていた。


「後ろ?」

「後ろ?」


2人で同時に疑問の言葉を口にして後ろにゆっくりと顔を向ける。


するとそこには 大きなモンスターがいた。


とても大きくて存在感があるモンスターだった。


「うおおおーーー!!!」


私たちがそのモンスターの方に顔を向けたと 同時に威嚇するように声を上げるり



すると獲物を見るような鋭い目つきで その女に私を捉え私に向かって噛み付いてくる。


いや違う私を食べようとしているんだ。


私はどうすればいいこのままじゃ このモンスターに食べられて死んじゃう。


あと数秒もすればこのモンスターに頭疲れて食べられてしまうという 危機的状況の中必死に頭を使って考える。


どうすればいいどうすれば私が 自分を助けられる。


そんな事を必死に考えていくと。



「ファイヤーボール!」


ミユキが私の目の前にかばうように立って そのモンスターに向かってファイアボールを放つ。


その攻撃はモンスターに直撃した。


「 大丈夫ナナミ怪我してない?」


「うん、 大丈夫ありがとうミユキ」


「ナナミ危ないから私体に離れないでね!」


真剣な口調で言う。


うんわかった。


「うおおおーーー!!!」


再び叫び声をあげて今度は私ではなくミユキを食べようとしている。


その私たちをとらえるモンスターの目は完全に私たちを食料としてしか見ていない。


まず私はその圧倒的な存在感に怯えてしまう。


いつ噛みつかれて食べられてしまってもおかしくないという圧倒的な力の差に怯えてしまう。


「大丈夫ナナミは私が必ず守るから」


優しい口調で優しく私の髪を撫でながら言う。



ミユキと離れないように繋いでいる手から私の緊張が伝わってしまったようだ。


私も叩かないと!


そう思い地面に落ちていた 小枝を拾って モンスターに向かって攻撃する。



だがそんな攻撃なモンスターに聞くわけもなくその声だはすぐに折れてしまう。


「危ない!」


横にいたミユキが私をかばうように突き飛ばす。


「ミユキ!」


急いで顔を向ける。


すると自分の魔法の杖をモンスターに噛まれ噛まれないようにしている。


「ナナミはそこで黙って私のかっこいいところを見てたよ!」


不敵な笑みを浮かべながら言う。


「そんな私には何もできないなんて!」


そんなのやだやだやだ。


心の中でそんなことを思いながら拳を地面に叩きつけメニー悔し涙を浮かべる。


すると今度はモンスターの目の前でファイヤーボールおうつ。


するとそのモンスターは横に倒れる。


「ふうなんとか片付いた」


ほっと胸を撫で下ろして一息つく。


「ミユキ!」


そう言いながら私は勢い余って抱きついてしまう。


「おっとっとこれはモンスターを頑張って倒したご褒美かな?」


少しふざけた口調で言う。


「…」


「だからナナミは心配し過ぎなんだって」


そう言いながら私の目に浮かんでいる涙を拭う。


「だってだって」


「安心して 私はそう簡単に死んだりはしないから」


笑顔でそう言葉を返してくる。


「まあ閲覧者が増えたからこれでもいっか」


「え?」


私は一瞬ミユキが言っている言葉の意味が分からなかった。


だが ふとパソコンの画面を見てみると。


〈 泣いてるナナミ ちゃんも可愛い♡〉


〈ナナミちゃんを守るミユキ ちゃん可愛いだけじゃなくてかっこいい〉


〈 ユリ展開きたか!〉


〈 妹キャラのナナミちゃんとミユキ ちゃんのカップリングの掛け合いがこれからこの生配信でもっと見れるって事か!〉


〈妹キャラも萌えるし お姉さんキャラも燃える〉


〈 これからお2人が遠い方に仲良くなっていくのかいや2人がどういう風に進展していくのか見るのが楽しみだな〉


「何このコメント!」


驚きの感情を含んだ震えた声で言う。


「たくさんのファンが付いてくれたみたいだね」


「これ以上私の黒歴史を増やさないでーーー!!!」

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