第二の人生 まさかの私が人気【ライブ配信者】に閲覧数が上がれば上がるほど経験値が手に入るってどういう仕組みですか〈スローライフ〉を送ろうと思っていたのに無理そうです
第3話 人気になったのはいいけど恥ずかしすぎる
第3話 人気になったのはいいけど恥ずかしすぎる
「やっぱりそうだ、ナナミ!」
ミユキは嬉しそうにそう言って私に抱きついてくる。
「ナナミと出会うまで私知ってる人がいなかったから不安だったんだよ!」
そう言いながらなぜか私の頬に自分の頬を擦り付けてくる。
「とりあえず1回私から離れて」
そう言って無理やり引き離す。
「そんな事より何でミユキがこんなところにいるのか教えてよ!」
私は真剣な口調で言う。
「いやー実はさーナナミをいじめてたグループのやつらを探して話をしたらちょっと事故起こしちゃってさ」
まるで他人ごとのように笑いながら言う。
「それって私の…」
「ナナミのせいじゃない私が勝手にやったことなんだからナナミが全く気にする必要ないよ!」
いつになく真面目な表情で言う、だがすぐにいつもの明るい表情に戻る。
「さあこれから私たちの第二の人生の始まりだこれからどういう楽しいことをしていこうか!」
本当に心の底から気にしていないと言った様子で楽しそうに笑顔で言う。
私ばかりこのことについてうじうじと考えていたらミユキに怒られてしまいそうなのでこれからはゆっくりと楽しく人生を謳歌することにした。
私は楽しいスローライフを送ろう。
そう心に強く誓った。
「それにしてもナナミはか可愛いな」
そう言いながらさっき抱きついてきた時と同じように自分の頬を私にこすりつけてくる。
「髪型は黒のショートヘア綺麗な青い瞳小柄な体型うん妹キャラとしては完璧だね」
何故かいきなり私の見た目を詳細に語りだし自分で納得して自画自賛している。
「いや前のナナミの 見た目がかわいくなかったとかじゃないからね勘違いしないで!」
何故か慌てて付け加えるように言う。
「いやそんなの全く気にしてなかったし」
「ていうか妹キャラって私ミユキの妹になった覚えないんだけど?」
ため息混じりに言っておく。
「ていうかミユキさっきから言ってることが親父臭いよ」
言っていることがというよりはミユキが顔に浮かべている表情が50代後半ぐらいのエロおやじのような表情だ。
私も詳しくその表情を見たことないので何とも言えないが。
「いいじゃん女子は可愛いものが好きなんだよ」
「それにもともと女の子は可愛いものが好きな子多いでしょう」
「確かにそれはそうなのかもしれないけどミユキが言ってるそれとは違うような気がする」
「まぁまぁ細かいことはいいじゃん」
そう言いながら懲りずに再び私に抱きついてほおずりをしようとする。
さすがに3回も同じ攻撃を食らうわけもなく私はその攻撃を華麗に避けた。
攻撃と言うかただ抱きついてきているだけなんだが。
「そんなことよりこれからどうするか決めていかないと」
私はいつもの口調でそう言葉を返す。
「これからどうするかって言われてもなぁ私たちこの世界のことよく知らないし」
「あ! そういえば私は転生ボーナスで いくつか魔法を持ってるけどナナミはそのパソコンで何ができるの?」
思い出したような口調でそう言って訪ねてくる。
「このパソコンまだ使い勝手がよく分からなくて変な設定にしちゃったら怖いからまだいじってないんだよ」
「じゃあそのパソコン開いて色々とやってみようよ!」
「でもこういうのって下手に触らない方が…」
「大丈夫大丈夫こういうのは習うより慣れろだから遊び感覚で覚えていったほうが上達は早いんだよ」
「ほら昔からよく言うじゃん好きなものほど半殺しじゃなくて絞め殺しでもないような気がするなぁ」
「もしかして好きなものほど上手なれって言いたいの?」
ミユキは指をパチンと鳴らしてそれだと言ってくる。
長年一緒にいるがよく解読できたと思う。
「ていうか絞め殺しってどんなメンヘラことわざよ!」
思わずツッコミを入れてしまう。
そんなことわざが実際にあれば絶対に前向きな意味合いでのことわざじゃない。
どうやらミユキの国語力のなさは今も変わらず健在らしい。
そんなことを思いながらパソコンを立ち上げる。
しばらくするとホーム画面が開く。
「いろんなアプリが入ってるね」
「そう私が知ってるアプリもあるけど知らないアプリもいくつかあるみたいで」
「確かに私が知ってるアプリもあるけど、知らないやつもいくつかあるみたいだね」
そう言いながらパソコンに表示されているアプリを一通り見る。
「さてどのアプリから開いて試していこうか」
「やっぱりこういうのってもうちょっとこの世界の事も色々分かってからやった方が」
「大丈夫だってそんな心配しなくても心配しすぎると前に進めるのにいつのまにか前に進めなくなっちゃうよ」
「よしとりあえずこのアプリから開いて試してみようか」
そう言ってミユキが開いたのは私がさっき開いたライブ配信のアプリだった。
「ライブ配信始まったみたいだね」
「え!もう始まったの」
て言うか色んなアプリを手探りで探っていくっていう話はどうなったの!
すっかりライブ配信を始める雰囲気になっちゃってるけど。
「はい皆さん初めまして今回からライブ配信を初めて行こうと思います」
「ミユキです」
まったく緊張した雰囲気を感じさせることなく淡々とした口調で話し始める。
「そしてこの子が私の友達のナナミです!」
少し大げさに肩を組んで私を画面に向かって紹介する。
それからしばらく何も反応がないのまま喋り続ける。
しばらくすると画面に一つのコメントが表示された。
〈初めまして2人とも可愛いですね♡〉
「2人とも可愛いありがとう今日ライブ配信始めたばっかりで覚えてもらえるかわかんないけどよかったら覚えていってね」
「私とこの子しいて言うならどっちが可愛い?」
〈……しいて言うなら右の黒髪の子〉
「よかったねナナミ可愛いって言われてるよ」
少しわざとらしく片方小突きながらそう言ってくる。
「せっかく私たちの配信を聞きに来てくれたんだから何かしゃべってあげたら?」
「何かしゃべるって言ってもこういうの私初めてで何をどうしたらいいのかわからないよ!」
いきなりの無茶ぶりに慌てた口調で言葉を返す。
「なんでもいいからしゃべって」
そう言われて緊張しながらもパソコンの画面の前に立つ。
「初めまして…私の名前はナナミと言いましゅ!」
勢い余って噛んでしまった しかも声も裏返っている。
恥ずかしさで自分の顔が真っ赤になるのが分かる。
どうしよう途中で噛んじゃったここで何とか挽回しないと!
「あの私達今回がライブ初めてなんですけどさっきみゆきが言っていたように名前だけでも覚えていってください」
そう言って画面に向かって手を振る。
さっきまでの立ち位置へと戻る。
「全然ダメダメだった」
肩を落としてため息をつく。
「そんなことないよ画面見てごらん」
そう言われてパソコンの画面の方に視線を向ける。
するとさっきまでパソコンの画面の右上に表示されている閲覧数がたった1だったのにいつのまにか100になっている。
〈自己紹介失敗して顔を赤くしてるナナミちゃん可愛い!〉
次から次へとそんなコメントがパソコンの画面に表示される。
そのコメントを見るたびさらに顔が赤くなってしまう。
「もう嫌だーーー!!!」
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