第2話 生配信ライブ デビュー
あれ今何が起こったんだっけ?
……
そうか私あの男の子を助けようとして車にひかれて死んだんだ。
何と言うか私の人生あっけなかったなぁ。
でもまあもういじめられることもないだろうしそう考えればこれで良かったのかもしれないな。
次の人生では特に有名人とかにならなくていいから何事もなく平和にスローライフを過ごしたいな。
「うーん…」
目を覚ましゆっくりと体を起こして辺りを見渡す。
「ここはどこだ?」
ふとそんな言葉を口にした次の瞬間再び私は死んだことを思い出す。
「そうだ私は車にひかれて死んだんだ!てことはここが私が生きる新しい世界ってことなのか」
疑問に思いながら再び辺りを見回してみる。
すると自分の真横に1台のノートパソコンが置かれていた。
「なんでこんなところにパソコンが?」
しかも家にあるパソコンより新しい。
最新型のノートパソコンだろうか?
「こんな何もなさそうな森の中でネットが使えると思えないけど?」
そう言いながらもそのパソコンを開く
「ん?」
「……」
思わずそのパソコンの暗い画面に映った自分の顔をまじまじと見てしまう。
自分の顔が大好きだからとかそういうナルシスト的な理由ではなく、暗闇の画面に映った自分の顔が全く別物だったことに驚いてしまう。
その画面に写っていた少女の顔は少し幼げな顔だ。
「え!何これ何でこんな顔に!」
驚きながら自分の顔をペタペタと触って確認してみる。
触ったところで何かがわかるというわけでもないのだが。
慌てながらあたりを何となく見回していると近くに川があったのでその川に映し出された自分の顔を見てもう一度確認してみる。
するとやはりそこに映し出されている顔はさっき真っ暗なパソコン画面に現れたものと同じだった。
「えなんでなんで私の顔こんなことになってるの!」
ふと昨日あった出来事を思い出す。
「確か昨日ミユキ変なサイトで私の死んだ後のアバターを作ってたっけ?」
「よくよく考えてみれば今の私の姿あのアバターと全く一緒じゃない!」
驚きの声をあげつつもパソコンの画面の前に戻る。
「とりあえずこのパソコンが使えるかどうか試しておかないと」
あのサイトで設定したことがそのまま反映されるんだとしたらいきなり真横にパソコンがあったことも頷ける。
あのサイトで転生ボーナスとしてパソコンを選択したからだ。
試しにパソコンを立ち上げてみる。
すると無事にパソコンが起動し機械音が鳴り始める。
しばらくするとホーム画面が表示された。
その画面にはいくつか知っているアイコンが表示されていたが知らないアイコンも表示されていた。
最初見たときは気づかなかったがふと横を見てみるとそこにはパソコンのマウスがあった。
色々と手探りで探っていると偶然知らないアプリを起動させてしまう。
その起動させてしまったアプリはよく知らないアプリでたしかアプリのアイコンの下にライブ配信と表示されていたような気がする。
するとよくわからない画面が現れる。
「何これ何これどうすればいいの?」
慌てながらも右上のところにバツボタンを見つけその一部分をクリックする。
なんとかその画面を閉じることができた。
「はぁ何とかなった」
一息ついてほっと胸をなでおろす。
「とりあえずよくわからない間は下手に色々と触らない方がいいな」
「この森から出て誰か人がいないか探してみるか」
しばらく歩いていると少し遠くの方に小さな街が見えてきた。
「とりあえずあの場所に行ってみるか」
その街に向かってみるとかなりたくさんの人たちが街の中で買い物や色々なことをしているようだった。
「けっこう人がいるなぁ」
そんなことを言いながら辺りを見回す。
「ほとんど私の知らないものが売ってるなぁ」
そんな言葉を口に出しながら歩いていると、2人の男の人の姿が目に止まる。
「やめてください!」
「いいじゃん俺たちと少し一緒に遊ぼうぜ!」
いかにもガラの悪い格好をした男2人組に1人の女の子がナンパされているようだ。
あれこういう時ってどうしたらいいんだろう。
「あの!」
慌てすぎた結果特に意味もなくその男の人たちに声をかけてしまう。
「ん?」
1人の男がこっちに顔を向けて疑問の表情を浮かべながらゆっくりと私に近づいてくる。
「ちょうど良かった今から姉ちゃんも俺たちはと一緒に遊ばない?」
私までナンパされてしまう。
どうしようどうしようこういう時ってどうやって断ればいいんだっけ!
高校に通ってた時もちょっとあんまりしゃべってなかったからどうやって断ればいいのかわからない、それ以前にどう喋ればいいのか分からない。
「怖がらなくていいから俺たちと一緒に遊ぼうぜ」
「あのその…」
必死に頭の中で断るための言葉を探すがなかなか出てこない。
「すいませんーーー!!!」
それと同時に腕を上に上げてしまいその上に上げた腕が男の人の顎に綺麗にクリーンヒットしてしまう。
そのアッパーカットに似た攻撃が思っていたよりダメージが大きかったようで男の人が地面に倒れてしまう。
どうしよう倒しちゃった!
さっきまでナンパされていた女の人が私の視界に入る。
とりあえずあの人を助けないと!
「逃げましょう!」
そう言って女の人の手を引き急いで走る。
「逃げられるおっかけるぞ!」
「おう!」
それでも男の人たちは諦めずに私たちを追っかけてくる。
「おーい待ってくれよ!」
「諦めずに後ろから追っかけてきてるんだけど!」
女の人が後ろを振り返って言う。
私も少し後ろを振り返ってみると確かに女の人の言うとおり諦めずに後ろから追っかけてきている。
「しつこいな」
女の人が怒りと焦りがこもった口調で言う。
「とにかくなるべく遠くまで逃げましょう」
「とりあえずそうするしかなさそうね」
私たちはそれから後ろを振り返らずとにかく遠くに向かって走り続けた。
「はぁはぁ…」
長いこと走り続けていたので2人とも息切れをしてしまう。
「ここまで来ればあの男の人たちはもう追ってこないですよね」
自分の呼吸を整えたあとそう言った。
「ありがとうあなたのおかげで助かったわ」
「あの男たち私が街を歩いてたらいきなりナンパしてきたから困ってたのよ」
言ってほっと胸をなでおろす。
「それなら良かったです」
「助けようとして声をかけたところまではよかったんですけどその後の言葉が全く出てこなくて焦りました」
コミュニケーション能力ほぼゼロの私にはとても怖い体験だった。
「ごめんね 私もすぐにあいつらをどっかに追っ払ってすぐに逃げようと思ってたんだけどあいつらしつこくてさ」
「いえいえ…気にしないでください」
たどたどしい口調で言葉を返す。
これじゃあ人生でコミュ力ゼロだったことが丸わかりだ。
不思議と今日出会ったばかりの女の子と前にもどこかで会ったことがあるような気がする。
その女の子の見た目はポニーテールの髪型で赤い髪。
目つきが少し悪い。
「ミユキ…」
思わずそう言葉を口に出してしまう。
「ナナミ…」
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