第二の人生 まさかの私が人気【ライブ配信者】に閲覧数が上がれば上がるほど経験値が手に入るってどういう仕組みですか〈スローライフ〉を送ろうと思っていたのに無理そうです

カイト

第1話 異世界転生

「あんたってさほんとつまらないよね」



実につまらなそうに私に向かってそう吐き捨てたのは私と同じクラスで、クラスの中でも中心的な存在の女子生徒だった。


右と左にはその女子生徒の取り巻きたちがいる。



「ほんとほんとインパクトがないって言うか影薄すぎてたまにいるのかどうか分かんなくなるもんははは!」


取り巻きの1人が心底馬鹿にした口調で言う。


放課後もう帰ろうとしていた時に1人の女子生徒が今この目の前にいる女子生徒に伝言を頼まれたと言ってここまで呼び出されたわけだ。


なんでこんな遠く離れた古びた校舎に呼び出されたのかという理由は分かっている。


ここならいじめても目撃されにくいから。



今現在事実として目の前にいる女子生徒たちが私をいつものように馬鹿にして罵倒している。


リーダー的な女性とは私の目の前にある椅子に座って偉そうに足を組み馬鹿にした目で見下ろしてきている。



「ちょっとあんたこっちに来なさいよ」


私はそう言われて無言で何も言わずにその女子生徒の前に近づく。


今更この人たちに抵抗しようなんて思わない何か言い返そうと思わない。


するとそのリーダー的な女子生徒は何も言わずに無言で、でもバカにした表情は変えることなくじっと私の顔を見てくる。


「これとったら少しは可愛く見えるんじゃない!」


「あ! 止めて!」


身につけていたメガネを無理やり取られる。


私は目が悪いのだが眼鏡をとっても日常生活には比較的何の問題もないので視力の心配はいらない。


問題なのはこの人たちにメガネをおもちゃにでもされて壊される方が問題だ。


「返して返してって!」


「こいつなんかの動物みたい!」


私の言葉など一切聞く様子もなく持っている眼鏡をあっちこっちに回して私が慌てている表情を見て楽しんでいる。


「わかった私に対して綺麗な土下座ができたら返してあげてもいいけど」


綺麗な土下座という意味が分からなかったけどとにかく眼鏡を返してもらわなければいけないのでそのことについては聞かずにただ土下座をした。


「お願いしますその眼鏡を返してください」


呟くような小さな声で言う。



「ははは!」


すると3人は大爆笑で声をあげて笑っている。


「嘘でしょうこの女にはプライドってものがないの?」


横にいる1人の女子生徒が言う。


うまく土下座ができたので素直に眼鏡を返してくれるかと思っていたがそんなはずもなく。


「もっと綺麗な土下座をするためにはもっと頭を下げなくちゃね」


そう言って真ん中に偉そうな態度で椅子に座っている女子生徒が私の頭を強く足で踏みつける。


普通の人ならこう言う時悔しいとか色々な怒りの感情が心の底から溢れ出てくるのかもしれないけど私にはもうそれがなかった。


小さい頃から何かにつけていじめられてきた私はそれが当たり前になっていた。


「ほらほらもっと綺麗な土下座をするためには もっと深く深く頭を下げないとね」


そう言って私の頭にさらにグリグリと足のかかとを押し付けてくる。


「はぁもう憂さ晴らししてすっきりしたからあんた帰っていいよ」


つまらなそうにため息をつく。


「あそうだ最近人気のライブ配信者がいるから一緒に見ながら家帰ろうよ」


取り巻きの女子生徒の1人が制服のポケットからスマホを取り出していう


まるで私をいじめていたことなど無かったことのように。


「いいね」


今まで偉そうにし椅子に座っていた女子生徒も立ち上がり同じように制服のポケットからスマホを取りだす。


3人で同じアプリを起動させる。


3人が会話している内容から察するにどうやらそのアプリはライブ配信アプリのようで最近有名になってきた配信者の話で盛り上がっているようだ。


こう言っちゃうと言い訳のように聞こえるかもしれないけど、 私的にはどうでもいいことなんだけど。


たまたまリーダー的な女性とのアカウント名とアイコンが見えてしまう。


〈@Satsuki〉


私は学校を出て家へと足を進めた。



「おかえり」


家に帰って自分の部屋に入ると当たり前のように私のベッドの上に座りパソコンをいじっている1人の女の子がいた。


その女の子は私の唯一の親友である。


「ミユキ来てたんだ」


私とミユキは家族ぐるみで仲がいいこともありこうしてよく遊びに来るのだ。


「ねえねえナナミ!」


「何?」


「面白そうなサイト見つけたんだけど」


嬉しそうにそう言って自分の家から持ってきたであろうパソコンの画面を私に見せてくる。


そのパソコンの画面にはこう書かれていた。


この今生きている人生が終わったら必ずいい生が待っていると約束いたしましょう。


「このサイトに登録してアバターを作成すると次に生まれ変わる時にそのアバターの姿で生まれ変わるんだって」


明らかに怪しすぎる!


「やめなよこんなの!」


私は急いでパソコンを取り上げる。



「何でよせっかく面白そうなのに!」


頬を膨らませて不満そうに言ってくる。


「フィッシングサイトだったりしたらどうするの 情報抜き取られて大変なことになるんだよ!」


私の言葉など全く聞いていないようで私のパソコンを開いて自分のパソコンで表示していたサイトと同じ画面を開く。


「ちょっと何で私のパソコンでやろうとしてるの!」


「大丈夫だってナナミが帰ってくる前に私が代わりにもう一つメールアドレスを作っておいたから」


「それにナナミ今このパソコン使ってないし新しいパソコン使ってるんだからこれがもし壊れても問題ないでしょう」


「そういう問題じゃない!」


「まあまあそんなにカリカリしないの、自分が知らない道を渡ってみることで面白いものに出会えるかもしれないんだから」 


「新しいものに出会うための道を渡るにしても私はそんなギリギリの綱渡りみたいな事をしたくない!」


また私の話は一切聞かずにキーボードでパソコンに何かを打ち込んでいる。


どうやら私が帰ってくる前に作っておいたと言っていたメールアドレスを打ち込んでいるようだ。


そのメールアドレスの打ち込みが終わりアバターを作る画面に変わった。


私はミユキを説得することは諦めて仕方なく一緒にアバターを作ることにした。


ミユキはやりたいことや面白そうなことがあると誰にも手がつけられなくなる、 それは小さい時から一緒にいる私がよく知っている。



「ナナミ性別男か女どっちがいい?」


「じゃあ女の子で!」


呆れつつ言う。


「身長は低めか高身長どっちがいい」


「低め」


「このぐらい?」


言って私のパソコンの画面を見せてくる。


「そのぐらい」


「次はステータスの割り振りだって」


「えーと…自分の都合のいいステータスパラメータにするとHPなどの数値が下がって行きます」


「可愛いにきょくフリしよう!」


「次は転生ボーナスで好きなものや欲しいと思ったスキルをひとつだけ選べますだって」


「魔法とか道具だとパソコンとか色々あるね」


「もう私は何でもいい」


「じゃあ最新パソコンにしとくね」


全ての設定を終えた。


「大体のやり方は分かったし私のパソコンでもやってみよう」


「アバターの見た目か私は何でもいいんだよな」


「お! フォルダーにある写真からアバターを作成する、これでいいか」


そんなことを言いながら同じように全ての設定を終えた。


次の日。


私がお店の買い物を終えて信号を待っているときのことだった。


ふと交差点の方を見てみると1人の小さな男の子が赤信号なのにも関わらず交差点に飛び出していった。


横からものすごい勢いでその男の子に向かって突っ込もうとしている。


「危ない!」


その男の子を突き飛ばして車との衝突を避ける。


だがその代わりにその車は私に向かって勢いよく突っ込んでくる。


私の意識はそこで途絶えた。

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