第11話
ミサイルを放ちながら距離を詰めていく。
ジャックポットは回避運動をしながらミサイルを難なく落とす。即座にオーバーブーストを起動して、迫るラファルグ・ベータを回避する。一気に距離を開けると、左右のライフルで畳みかける。
砂丘に激突する直前で、急制動し空へ飛ぶ。対ギアフレーム用のライフル弾が砂柱を巻き上げる。ライフルを構えジャックポットに向けるも、撃つより早く回避した。
「ラファルグ・ベータ。わかっているぜ。黒猫の所に行くつもりだろう。だがアルティメットモジュールを望むのはお前だけじゃねぇ。答えてもらうぜ。黒猫はどこに居る」
音楽が佳境に入る。
オーバーブーストを使い、ジャックポットを追う。互いに射撃を繰り返し、回避しながら星空の下を切って飛ぶ。逃げるジャックポットの肩コンテナが開くと、バラバラと何かがバラ撒かれた。
小型の爆弾だと気づき、地上に向かって加速する。爆発を見極めスラスターを噴かし、爆風の間を切って飛ぶ。着地し砂を巻き上げる。装甲に傷が着いたと警告されるも、アキラは口角を強く持ち上げて笑った。
「悪いが手加減はここまでだ。本気で俺を倒したければ命がけで掛かって来い!」
ライフルを捨て、盾を構える。同時にオーバーブーストを起動する。
砂地の上で一直線に加速し、砂丘へと真正面から突進していく。
砂丘を一つ破壊する。大量の砂が空高く舞う。それは砂の波となり、上空のジャックポットへと迫りゆく。
ジャックポットは慌てて離脱を試みるも、大量の砂が襲いかかる。文字通り、土砂降りの闇の中、青く白い鋭い光が走る。ライフルを向けた瞬間、セイバーの青い光が引き裂いた。
ジャックポット・オールセブンが落下していく。
降り注ぐ砂と共に、新たな砂丘の糧となる。
セイバーを払い納めると、アキラは音楽を止めた。
捨てたライフルを探すも、砂に埋もれて分からない。同様にジャックポットの残骸も、砂の下で漁る事はできそうにない。
合流地点に急ごうと、機体の向きを変えた時だった。
レーダーが警告を放つ。
大きな反応が一つ、凄まじい速度で向かって来る。見れば飛行戦艦で艦名はフルメタルジャケットとあった。
「ラファルグ・ベータ。言っただろう。俺はお前を逃がさねぇ」
ノイズ混じりの通信を無視して、オーバーブーストを起動する。残り燃料はわずかだが、使わなければ逃げ切れない。
背面の装甲が開いた時、凄まじい音がして機体が激しく揺れ動く。オーバーブーストを一度停止し、セルフチェックを行う。直ちに実行を終えると結果が表示された。
戦闘で受けたダメージは微少ながら、隙間という隙間に砂が入り込み、動作に支障が出ているらしい。
ブーストだけで離脱する。
圧倒的な速力で飛行戦艦が後を追う。甲板のカタパルトが動作を始め、次々とギアフレームを射出していく。合計五機ものギアフレームが甲板上から飛び出し、オーバーブーストを使って編隊を組む。
迎え撃たねばならないか、とトリガーに指を置いた時。真っ黒な機体がすぐ脇を飛び抜けすれ違った。
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