第31話

 わたしのりよしゆうえんしました。

 百億のりよの最涯てに到達したのです。

 めいもうたる探偵事務所にて『もうひとつの世界』の自分としてなる殺人事件の真相をてつけつせんとしていたわたしはあいまいとした探偵のせりそくぶんしたかとおもったと同時にふたたびほうたいたる脳髄がけいれんするような感覚に猛襲されて意識混濁して事務所内でてんすると『新潟と日本が戦争している世界』や『巨億の扉のむこうの世界をりよしている世界』や『電脳空間でそくめつした恋人を謄写せんとしている世界』をへきとうとして『百億の世界』の自分にひようへんしたうえでらいえいごうつつやみのような奈落から覚醒するとなにゆゑかけつけつたる頭部に『脳髄非侵襲型端末』を装着したまま『元来の世界』における自室のベッドにぎようしておりました。きようさくした視野がかいびやくしてゆくにつれてきよくてんせきたるふうぼうの両親がきよしながらもうろうたる意識のわたしを凝視していることを認識しました。『よかった生きていればなんでもいい』という豪放らいらくなる父親の言葉をそくぶんすると同時にぼうひようのわたしは『百億の世界』のりよに感激して『までのなるりよの物語』を精緻に両親にでん致しました。せいかくなる母親は『でもやっぱりちょっと病気が再発したみたいね明日いつもの先生のカルテをわたして代理の先生が診察してくれるみたいだから病院へゆこうね』というのです。如いかんやらなるこんかいの体験が『統合失調症による妄想症状』だとおくそくされたらしく『閉鎖病棟に強制入院』させられる予定だと認識しましたがしゆんなる精神科医ならばいんの体験も理解してくれるとこうかくして翌日たるかしわざき救生病院へ診察にゆきました。ようちようたる代理の女性精神科医によると『現在病床は満員ですしあなたの症状も極度ではないので』ということではんぶんじよくれいの強制入院はようそく阻止できましたがせつかくいんの病院にほうちやくしたのですからふんじんのわたしには『もうひとつの目的』がございました。

 わたしはかいこうしたかったのです。

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