第21話

 ほうたいたる権力の退たいえいしたいの直樹総統ひとりが自決しやがってもはんぶんじよくれいの戦争はしゆうえんしねえなんておくそくしたおれさまはまんしんそうの一個小隊をきようどうして刈羽郡西山町に鎮座する旧角栄邸にばくしんしてやった。しよくそうぜんたるふうぼうの旧角栄邸は意気阻喪した数個小隊にぼうぎよされていやがったが豪放らいらくなる各個小隊の大尉たちいんの事情を説明してやってきようらんとうの勢力でおれさまはたる邸宅にちんにゆうしてやった。みてえにかくりようとした邸宅をしようようかつしてゆくとひようびようとした畳敷きの一室ではくの『かみしも』なんてゆう正装をして白銀の短刀を逆手に掌握しながら顔面そうはくいの直樹総統がせいしていやがった。かいしやく人らしい橋下徹貴族院議員をへきとうとしていの直樹の側近たちが喫驚するなかおれさまはいの直樹を説得せんとしてやった。『あんたが死んだってなにも変わりゃしねえ大政翼賛会は新潟国民がおうさつされるまで戦争をつづけるつもりだ』なんてね。ごうごうたる爆音で老朽化した角栄邸がしんとうしやがった。おれさまはてつ急をさとって『すぐさまあんたの言葉で無条件降伏宣言すべきだ』と忠告してやった。刹那灰褐色の戦闘防弾チョッキをてんじようさせた陸上自衛隊員が角栄邸にちんにゆうへきとうのひとりがH&P USPの光学照準器をいの直樹総統の右肩にほとばしらせた。いわく『日本国大法廷への出廷を命じる自殺の傾向のある場合攻撃してでも生擒にする』ってなこった。めんいの直樹が自刃せんとした刹那いんの自衛官はH&P USPをぶっぱなしやがった。危機一髪ではざしようりつしたおれさまが『楯』となって脇腹を銃撃されいの直樹の右腕を掌握してしようじゆしてやった。『おれさまは国なんてうごかせねえだから平和ってのはあんたたち政治家の使命なんだよ』ってな。意識が混濁したおれさまは巨億の世界をこんぱく丈がこうしようしてゆくような感覚で『西暦一九八三年八月二三日生まれ』の百億をりようする『世界』における『おれさま』にひようしていったうえでえいごう不滅のようなつつやみの奈落へと墜落していった。

 おれは死ぬって不思議だなとおもった。

 これがおれさまのりよの最終到達点だった。

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