第17話

 巨億の多元宇宙のなかの片隅にすぎないひとつの人生といえども『わたし』の人生に相違はありません。独立のわたしは再度『多元宇宙間のポテンシャル障壁を透過』できるまで『もうひとりのわたし』――ばくぎやく友というよりは六親眷族――のためにあいまいとした殺人事件の真相をてつけつせんとけつ致しました。四人の容疑者はそれぞれみずからの犯行』だとひようぼうしているうえに『犯行手順』まで披歴しているというのになにゆゑか『事件の真相そのもの』にはていしよくしたくないという雰囲気がございました。しやはんの違和感を雲散霧消せしめるがためにも百折とうの捜査をつづけていったわたしはきゆうていたいりよの事実を連鎖的に穿せんさくしてゆきました。第一の容疑者たる母親の担当医に『当時のカルテはのこっていませんか』と尋問するとせしいがんぼうながらのうのカルテを渉猟していただきたしかに両親えい事件の直前にわたしの母親に医師の処方がなければ投与できない睡眠薬『フルラゼパム』が処方されていたことがめいちようとなりました。第二の容疑者たる看護師の元同僚に尋問したところいんの事件直前にせんめいたる医師の処方がなくても投与できる睡眠薬『フェノバルビタール』を容疑者たる看護師が薬剤師からちゆうとうしていたという記憶をほうふつとしてくれました。いんの睡眠薬がわたしの父親の投与されたのかそもそもしやはんの記憶がせいこくを射ているのかはわかりませんでした。第三の容疑者たる里親である義父と第四の容疑者たる里親である義母に尋問するとたしかに里親の経営する機器会社ではわたしの両親の経営していた零細鉄工所と取引がありに悪臭を添加する機械とともにを無臭化する機器も製造しておりました。わたしは混乱致しました。容疑者四人とも自白内容はしんぴようできましたので容疑者四人それぞれが真犯人ともおもえました。一旦までの情報しゆうしゆうの結果を整頓せんとしたわたしは二日酔いの探偵の事務所に帰還して『未解決事件』の『一九八三年八月』きようこうのファイルを穿せんさく致しました。からのわたしもで四人の容疑者の自白がいちの物語となっていることに勘附きました。『未解決事件』ファイルの一部によれば『火事出火元はまんしんそうの母親が発見された一階のキッチンと焼死体として父親が発見された二階の書斎であり借金苦のために軽度の鬱病をかんしていた父親は抗鬱剤を服用していたが焼死体からは睡眠薬の『フルラゼパム』と『フェノバルビタール』が検出された模様就寝前にカフェオレを愛飲する性癖のあった母親の胃袋からは同様に睡眠薬の『フェノバルビタール』と『フルラゼパム』が検出された模様同時に母親の発見されたキッチンでは無臭化された都市ざんが発見され父親の発見された書斎からは無臭化された天然が発見された模様』父親と母親それぞれに投与された睡眠薬が『こんこう』されていることや火災現場のざんとなっていたも『逆』になっていたことは奇妙でしたがしやはんけんさん結果をもとにわたしはひとつの真相をてつけつ致しました。

 わたしは容疑者たちたいしました。

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