第50話

ウルフェンの狩りが終わった後は、お祭り騒ぎだった。冷蔵技術のないこの世界では肉の足が速く大量に取れた日には安く販売される。今回もビックボアやグリズリーといった大型の魔物が討伐されたため格安で肉が販売された。


ホーンラビットの研究のおかげで魔物の肉が食べられるようになってから、魔物肉を食して死に至ったものは数えるほどしか出ていない。そのため、街の人たちは肉が安くなれば迷わず購入するようになった。これには人はたくましいなと思わずにはいられなかった。


このように街がお祭り騒ぎになるのはいいのだが問題はその後にやってくる。昨日、龍朱様には街にお金を流すように言ったのだが、どちらかと言うと街のお金は私に集まっている。魔物の素材を運搬してくれた兵士たちには少しの給金を与えているがウルフェンの狩った魔物の素材を売り払った代金はほとんどが私の懐に入っている。


その他にもポーション用の薬草の代金に新魔法開発の依頼料、商業ギルドから支払われるポーションの特許料など多くの金額が払われている。


しかし、私が使っているお金は従業員の給料のみなのだ。欲しい物があれば商業ギルドが率先して仕入れてくれるのでそんなにお金がかからない。


そんな私が思いついたのは、屋敷を改築してお風呂を作ってしまおうという計画だった。この街では木材を他領から仕入れなければならない。木材は魔の森に大量にありはするのだが伐採しようとするとその音に魔物が寄ってきてしまうのだ。ウルフェンがいればそれも解決できそうなものではあるが、今回はお金を使うことが目的のため上質な木材をたくさん仕入れることにした。


街が半壊したときに他領から応援に駆けつけてくれた人たちが数店舗残っているためその人たちを動員すればいい。


問題はお湯を沸かす仕組みと排水だ。この街にはまだ下水道がない。だが私個人としては下水を何とかしたいと考えている。それにこそお金を使えばいいのだが街壁に石材を使っているため下水道に使う石材が準備できていないのだ。


お湯は給水の魔法を改良してお湯を出す魔法にすればいいが、下水に関してはいい案が浮かばなかった。そのため、下水タンクを設置して冒険者ギルドに定期的に汲み取りをお願いすることにした。


翌日、商業ギルドから冒険者ギルドへ護衛の依頼が発生したが多くの人はランクが足りず依頼を受けることができなかった。そんな中でも依頼を受けることが出来たものはすぐに出発した。


その翌日、農業用の桑などを量産するために鉄を輸入する商隊の護衛依頼が張り出された。これには力仕事が含まれていたため冒険者ランクが少し低くても力自慢の冒険者は受けることが出来た。


この依頼ラッシュで街の冒険者の数が少し減った。おかげで低ランクの冒険者も何とか依頼を受けることが出来るようになったようだ。このことはアリシアの預かり知らぬところであるのだが・・・。



次に私が取り掛かったのはお湯を張る魔法を使う専門の魔法師を雇うことだ。街に昔から住んでおり、魔物の肉を比較的食べている人物で女性を探した。結構条件を絞ったつもりだったのだが多くの希望者が出てきた。


時間はあるため一人ずつ魔法の素養を見て、十人を採用。この人数になったのは一人用のお風呂にお湯を張るのに魔力が十人分必要だったからだ。まあ、そのうち魔力量が増えて他の屋敷にも需要が生まれるだろうと私は踏んでいる。


そんなこんなで五か月の月日を得てお風呂が完成し、私は毎日入浴するようになった。


そのころにはウルフェンが数度狩りに行き、私の財産は使う前より増えていた。解せぬ。

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