第44話
魔法師ギルドのギルドマスターから襲撃を受けて二か月が過ぎた。この日は王都から魔法師の奴隷が連れてこられる日だ。その奴隷は男であり、一か月にも及ぶ移動で疲れ果てていた。食事も満足に与えられていないのかガリガリにやせ細っていた。
私は魔法師の奴隷に石材作成の呪文を教えてどれだけ石材を作成できるか調べる。奴隷の男は言われるままに石材を作り、三つ作ったところで魔力が足りなくなりそれ以上作成できなくなった。
私は、持ってきていたホーンラビットの肉を使用した料理を奴隷の男へ渡した。男は久しぶりの食事にがっついていた。
その後、私は領主邸へ馬車を走らせた。領主様も私が来ることを予想していたのか予定を空けておりすぐに面会できることとなった。私は早速本題に入る。
「奴隷の男を見てきましたが、石材は三つ作成できていました。それなりに魔力は高い方のようです。その後、食事を差し出すと何も考えずに食べていました。今は食欲の方が高かったため、何の疑いもなく食べていましたが、そのうち不思議に思うかもしれません」
「それは貴重な人材だな。できれば石材を作る奴隷として飼い殺しにしたいな」
「そうなさるのであれば私は構いませんが?」
「いや。実験を続ける。魔物の肉が食べられるとなると食料の幅が広がるからな。今までは厄介の種だった魔の森が食料生産の地として活用できるようになるかもしれん」
「分かりました。奴隷の扱いは私の管轄外ですが、魔力の増減については気になるので報告書を頂けると助かります」
「了解した。それで、君はこれから何に取り掛かるのだ?」
「薬草の研究を続けるのと並行して治療院で薬の処方や治療の方法を学んでもらおうかと考えています。そもそもそれが目的で私はここへ送られたわけですし」
領主様は目頭をもみながら私の言葉へ返事をする。
「そうだったな。専属魔法師として腕が確かだったため色々頼りすぎたな。治療院に関しては私も賛成だ。魔の森を調べる際には怪我人も多く出る可能性があるしな。治療にあたる人間を十分に育ててくれ」
「分かりました。それで相談なのですが、治療にあたる人員も領あるいは私の管轄で雇用することはできませんか?」
「それは理由によるな」
「私の行う治療には魔法を活用するのですよ。給水はもちろんのこと結界の応用まで」
「つまりはどういうことだ?」
「魔力の総量が治療に当たれる人数に直結するということです。魔力量の増加を研究中の今、平民にそれを実践することは難しいでしょう。しかし、私たちの直属となれば本人の許可は必要ですが何かしらの手段を用いることができますよね」
「分かった。魔法を使えるようになった者を限定として軍医として採用することを認めよう。こちらの資金もぎりぎりのためこれで勘弁してくれ」
「分かりました。では私はこれで失礼いたします」
領主邸を出た私は、自分の屋敷へ馬車を向かわせた。魔法師たちの訓練の様子を見るためと薬草の生育状態を観察するためだ。
魔法師たちはいつもと変わらず石材を作っていた。領軍がそれを運び出している。魔力が切れたと思わしき人たちは薬草園の草取り、中にはウルフェンと訓練をしている者もいた。ウルフェンはどうやら遊んでもらっていると勘違いしているのか魔法師に全力で突撃していた。
私は平和なその様子を遠巻きに眺めていた。
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