第45話
閑話 :ウルフェンの一日
アリシアと共に王都からエラデエーレにやってきたウルフの幼体。ウルフェン。
その一日はご主人であるアリシアの抱き枕になっている状態からの脱出から始まる。王都でも抱き枕となっており、何度も主人を起こさないように脱出を企てたが幾度の失敗を乗り越え最近ようやく五分の確立で起こすことなく脱出することができるようになってきた。
アリシアの部屋のドアはドックドアが取り付けられておりウルフェンは自由に出入りできるようになっている。それは裏庭の出入り口も同様だ。ウルフェンは朝日が昇る頃に裏庭へ行き、水魔法を空中に打ち上げ人為的?に雨を降らせる。
薬草に水を与え終わったウルフェンは屋敷の中に戻る。そのまま戻ると執事であるエアルビムが怒るので裏庭と屋敷の間には足洗用の水桶とタオルが敷かれている。それで足をきれいに洗いやっと屋敷の中に入ることができるのだ。
屋敷に入ったウルフェンの次の仕事はご主人であるアリシア様を起こすことだ。寝起きはぼーっとしていることの多い彼女は先にウルフェンが起こさないとメイドたちが起こしに来た時には行動できない。
その様子を何度か見たウルフェンは自らご主人様を起こすことに決めた。最初は水球を顔にぶつけたりしていたのだが、当然のごとくご主人とメイドに怒られた。
次はベッドを濡らさないように顔に水球を当て続けたのだがご主人様が溺れていた。それから水を使うことを諦めて素直に突撃するようになった。するとご主人様は起き上がりウルフェンを抱きかかえる。そのまま座って眠ってしまうので寝入ってしまわないように尻尾で攻撃し続けるのだ。
その日もメイドが入ってきたときには随分と覚醒していたご主人様は人形のように着替えさせられ服装を整えられていく。
その後は鏡写しの儀を始める。朝はウルフェンがご主人様に魔力を与える。逆に夜になるとご主人様がウルフェンへ魔力を与える。これが日課になっていた。
その後、ウルフェンは自由に過ごす。お昼にご主人様が館にいる時には一緒にご飯を食べる。たいていは一緒に食べるのだがいないときに外で昼食を食べていると魔法師の人間と目が合った。その人間は自分の分の餌を口元へ寄せてきたので食べてやった。その時から魔法師たちの中でウルフェンはマスコット的な立ち位置となった。
それからウルフの攻撃をかわす訓練としてウルフェンに追いかけられる魔法師の姿をよく見かけるようになったのだった。
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