第23話
商業ギルドのギルドマスターにポーションについて説明を終えた私たちは、受付に戻ってきた。受付嬢に商業ギルドの会員証と見せ、金貨二枚と銀貨五枚の引き出しをお願いした。最初話したときは鼻で笑われたが、その金額以上のお金が商業ギルドに預けられていると知ると顔色が悪くなっていた。
外に出るとドゥニさんが話しかけてくる。
「そんな大金持ち歩くと危険だぞ」
「すぐに使うから大丈夫」
私が返事をするとドゥニさんは何を言っても無駄だと悟ったのか無言でついてきてくれた。私はペルリタさんと一緒に行ったことのある鍛冶屋へと向かった。到着すると親父がカウンターに座っていた。
「こんにちは。親父。注文があるのだけれどいいかな?」
「誰が親父だ。俺の名前はラザールだ。ってお前は確かペルリタのとこの嬢ちゃんか?」
「お前じゃない。アリシアです。それで依頼なのですけれど、このお金で作れるだけガラス瓶を作って欲しいです」
そう言って私は金貨二枚を差し出した。ラザールさんは目を疑っていたがその後は本物かどうかの確認をしていた。私はやましいことは何もないため堂々としている。
「本物だな。それでどのくらいのサイズのガラス瓶が必要なんだ?」
私は色付きの結界魔法で試験管を作り出した。
「これを作って欲しい」
「また見たことのない形だな。大きさも同じでいいのか?」
「うん。それとできればコルクも集めて欲しいのだけれど」
「分かった。コルクはヤルシオに頼んでおく。それでこの金額だと四百本程できるが本当にいいのか?」
「構わないわ。使う当てがあるし余っても問題ないから。あと期限は設けないけれど一日に数本は作って欲しいわ」
「ガラス加工には薪代がかかるんだ。一気に作るに決まっているだろう。材料が集まり次第作成に取り掛かる。数日はかかるから完成したら持っていく」
「分かったわ。じゃあお金は前払いしていくわね」
そう言って金貨二枚を残して外に出た。次は服飾屋だ。ここにはいったことがないのでドゥニさんに案内してもらう。意外と近くにお店はあった。
「こんにちは。頼みたいものがあるのですけれど」
「はいはーい。あらかわいいお客さんね。で何が欲しいのかな?」
私は先程鍛冶屋で見せた試験管を魔法で作った。
「これを収納するためのバックが欲しいのですが特注で作っていただくことはできますか?」
「それはできるけれど、高くつくわよ」
私は銀貨五枚を出した。
「この金額で何本ほど格納できるバックが作れますか?」
「金額は足りるけれど大きさ的に五十本が限界かな?これはガラスで作るのかな?」
「はい。なので、割れないように工夫して下さると助かるのですが・・・」
「分かったわ。その仕事請け負います。期限なんかはあるのかしら?」
「できるだけ早くですがしっかりとしたものをお願いします」
「何とも難しい注文ね。けれど分かったわ」
注文を受けてもらえたので、服飾屋を後にした。あとは冒険者ギルドに用事があるのだがそれは一旦家に帰らないとできないため後日行くことにする。
私は慣れない作業につかれてそのまま家へ帰った。
「あら。もう帰っていたの。夕食まであと少し時間があるけれど他に何かすることがあるのかしら?」
「ただいま帰りました。あとは冒険者に例の薬草の採取依頼を出すために薬草の絵を描くだけです」
「それなら今日中に済ませちゃいなさい。明日からまた私が出かけることになるから」
「はーい」
私は裏庭へ行き、羊皮紙に薬草を描いていく。注釈で特徴となりそうな部分を細かく書き込み夕食前にスケッチは完了した。その後、何の問題もなく夕食の時間となり私は今日あった出来事をペルリタさんに話した。
「そんなに大量のガラス瓶保管するのも大変よ。ただでさえ割れやすいのにその形じゃあ不安定じゃない」
その言葉で私は普段置きようのホルダーを作らないといけないと思った。
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