【126:書かせたい方向への誘導から見えたもの】
ある時期に高校生を対象とした創作イベントの募集がありました。以前より、極端な若者優遇的な措置は気になっていましたけれど、ある意味、合理的です。
社会人になる前の若者、特に十代、さらに言えば多感な高校生は、最も頭の動きが活発であり、より多くのことを吸収し、後に多くのことへ発展させる可能性が最も高い人材と思われます。根拠はありませんが、自分が五十年生きてきて、自身の体験や周りの様子を見て、それを感じました。
何しろ受験勉強などで色んなことを積み込めるキャパが、彼ら・彼女らの脳にはあります。だから創作術を詰め込むなら、絶対にこのタイミングなのです。
中年を過ぎ、五十歳を過ぎてしまったら、後先は短く、頭も思うように働いてくれません。実際にその年齢になってみて、体感的に理解できました。
それまでの知識と経験で考えて、行動しているようなものであって、新しい知識を得たり、経験を得たりする意欲も機会も乏しくなると考えます。
簡略化しますが、「シナリオ・センター式創作術」についてのお話でした。概要や講座の内容は過去のお知らせに書いているようですし、恐らくこの記事が公開された時には、誰かが体験記などのエッセイを公開しているでしょうから、ここでは何も書きません。
各自、情報を得てください。
テーマは四つ、「構成の立て方」、「登場人物のつくり方」、「設定の考え方」、「文章表現のコツ」。
実際にどんなお話だったかわかりませんが、テーマを見る限り、基本事項である一方、ここいらのことがまるでなっていないというのが、現実なのでしょう。しかも、不特定多数の若き作家さんたち、ほぼ全員に近いのではないでしょうか?
私も人のことは全く言えませんが、それは関係ない話(そもそも最初から個人の趣味として物語を書いているだけなので、プロの技などは必要ない)なのでここでは棚上げとしておきます。
ここから推測される未来とはどんな姿なのか。
より一層面白みのない作品があふれ、やがて減少に転じ、最後は何も残らず、荒廃してこのジャンルはすたれてしまう。そんなところではないでしょうか。
それを防ぐために出版社側自らが主導して、若い人たちの育成を始めたのだろうと思います。
ある意味、先行投資ですし、汚く表現するならば商業主義の一貫です。要するに金儲けに直結する作家を生み出すためのサポートを、表向き、こんな綺麗な表現とセミナーを開いて行っているわけです。
そもそもお金につながらなければ、意味はありません。金儲けという言い方は失礼だと思いますが、これが一番わかりやすいですし、企業としては何らおかしなことをしていません。むしろ金儲けは当たり前のことなのです(社会とはそういう世界でもある)。
ただし一歩間違えば、食いつきやすい夢のある若者を釣り上げ、都合の良いように洗脳することと大して変わりません。かつて洗脳された若者が何をしでかしたか、そんな事件が二十世紀末にありましたよね。そうはならないでしょうけれど、そうした若者が嫌な思いをすることだけは、絶対にないように心がけて欲しいです。
その考えに素直に乗っかり、うまく活動を続けていく作家さんがどれほど生まれてくれることか。素人作家さんはいわば『金(かね)の卵』ですからね。ゴールドじゃなくて、マネーなんですよ。
きっと高校生を中心に若者たちを対象としたこうしたイベントは、今後も続いていくと思われます。
最後にあくまでも私見ですが、カクヨムが始まった当初とは大きく方向性も変わり、KADOKAWAの金儲けの道具、金儲け主義に浸食されてしまったなと感じています。
組織が大きくなればなるほど、内側は歪みを生み出します。何度かこちらの会社様は世間を騒がす出来事がありましたが、先日の事件も含めて、『何か』があるのだろうと勘繰ってしまいます。
どこか高圧的な空気、どこか慢心した空気、そうしたものがあるのではないでしょうか?
せめてカクヨムは健全に運営を行ってほしいです。プロを目指す小説家の夢を実現させる以前に、底辺拡大のためにも、誰もが文芸作品を創作楽しさを体験できる場になることを願っています。
私は今のKADOKAWAよりも角川書店時代が好きでしたので。
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