【104:原作改変の話題から思うこと・後編】

 続きです。


 一方、非常に内容が面白かったアニメ作品をきっかけにして、原作小説や原作コミックに手を出した作品もあるのですが、中には意外とあっさりした展開で拍子抜けしたこともあります。何だか淡々としていて、そのままアニメ化したら、多分物足りない展開になりそうでした。

 その作品はコミカライズもされていて、そちらも読みましたが、むしろアニメはそちらに寄せたような感じでした。言い換えれば、コミカライズの際に一度改変され、更にアニメ化の際に改変されたのだろうと思います(規模は抜きにして)。

 

 ただ小説、コミック、アニメ、時にはゲームなど、それぞれの媒体にあった『流れ』みたいなものがあると思います。そもそもフィールドが違うものだし、そのままやってしまったら異物が混ざるようになってしまうと感じます。

 原作小説はあくまでもベースになるもの。そこから別のフィールドに持っていくには、ある程度のコンバート(変換)が必要だと考えます。そこは理解しています。


 ただし化けない程度で抑えるべきで、やはり『やりすぎ』であったり、『作品を否定』したり、『原作者を完全無視』するようなことは、あってはならないことです。

 何より、原作者さんの作品があったお陰で、それに関わる全ての方々にお仕事をさせていただいているわけです。尊敬(リスペクト)まではいかずとも尊重する心は忘れてはなりません。

 素人の考えになりますが、先の出来事では、この点が最も欠けていたとニュースに触れて思いました。


 余談ですが、十年くらい前に見たあるアニメの中に、主人公が書いたライトノベルがヒットし、アニメ化される話が描かれていました。そこで制作側との会議シーンがあったのですが、原作者の意見や作品よりも、制作者側の一方的な考えが絶対正義のような展開が描かれていました。

 アニメ(恐らく原作にも描かれていたと思う)だからあくまでもやり過ぎ感を出す演出かと思ったのですが、今回の事件があってから、これは実際に起きている出来事をそのまま描いているのではと感じました。


 小説やコミックなどでプロの世界に飛び込み、人気が出ればたくさんの人が寄ってきます。お金の匂い(臭い)がすると、どんなことでもそういうものなのです。

 その中にはこうした話を持ち込む方も、現れるかも知れません。

 敵とまではいかないまでも、ある意味慎重に相手の出方をうかがうべき相手です。場合によっては自分に害をなす存在になりうるかも知れません。

 プロとして、時には自分を守るためにうまく立ち回りつつも、望むなら逃げ、望むなら向き合っていって欲しいと思います。

 

 二度とこのような悪い出来事がありませんように。

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