第3期

【88:注文が多くなったコンテスト】

 カクヨムだけに限らず、WEB投稿サイトを通じたコンテストなどは、予め方向性を示されることがとても増えました。むしろこれは主催者側からの注文依頼です。『注文の多い料理店』も、すっかりお株を奪われてしまいましたが、このように予め方向性を示してくれる方が、書き手としても書きやすいだろうと思います。

 昔は漠然と『冒険ファンタジー』だったり、『オールジャンル』だったり、『若者向け』だったり。具体的な部分がさっぱりわかりませんでした。


 逆に言えば今の時代、ある程度の情報を与えられるのが当たり前なのでしょう。だって国家試験にしたって、事前に問題が公開(出るのはそこから少し改変された問題)されることもありますしね。『はい、ここ、試験に出ま~す』的なものですけれど、それに似ているなって感じました。


 そうした作品が絶対に売れるかどうかはまた別の話になりますが、今の時代はそこに上がったテーマが、最先端で求められていることがわかります。

 ですのでコンテストに参加する作家さんたちは、既にこの時点で出版社からの注文を請け負い、それに見合った物語を作るのだという強い意識を持って、取り組むべきだろうと思います。


 コンテストそのものがカオスになってはいけませんし、ある程度の秩序を保つためには、こうした舵取りはとても重要です。

 つまりその根本には、昔と違って誰もが手軽に執筆と発表が出来る環境が整い、応募するハードルがグンと下がったことがあげられると思います。そのため、昔よりも遥かに応募レベルに満たない作品が、たくさん応募されるようになったのではないでしょうか?

 だから少しでもリスク(と言うよりも選考する上で無駄な時間)を避けるためには、主催者側が応募の段階である程度のかじとりをし始めたと考えます。

 実は主催者側も応募作品を見て、頭を抱えているのかも知れません。


 言うなれば、応募する作家さんたちはみんな、お釈迦様の手のひらの上にいるのです。その上でダンスしているのです。それがキレキレなのか、盆踊りなのか、へそ踊りなのかはわかりませんけど。

 仮にプロデビューしてからも、恐らくずっとそうした関係は多かれ少なかれ、残るかと思いますよ。だってお金がからむ話ですから、一般のビジネスと何ら変わりません。

 なのでプロを目指す方々は、アマチュア時代からそれなりの覚悟を持って活動をしていく必要があると思います。

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