山菱達也サイド 汚職をした教師
「部活動というのは.....久しぶりですね」
「そうだね。美幸」
「.....そうだったな。確かに」
俺達はそんな会話をしながら。
そのまま西棟にある部室までやって来る。
するとそこに2人の女子と男子が居た。
つまり俺と同じ部員だが。
女子の方は生島と俺と同じ同級生。
そして男子は3年生だ。
俺達を見てからかなり目を丸くする。
「本当に来たんだ.....」
「こらこら。夢子。そんな事を言ったら駄目だよ」
「.....そうだね。高貴」
因みに説明したかどうか知らないが。
西田高貴(にしだこうき)先輩と佐藤夢子(さとうゆめこ)さんは1年違いだが幼馴染同士である。
高貴先輩はそばかすのあるイケメンの先輩。
身長も高いしな。
夢子は丸眼鏡をかけている女子。
姿からして美少女だ。
俺はその姿を見ながら笑みを浮かべる。
そして生島を見た。
つまりリーダーを、である。
「三菱。そして美幸ちゃん。美里ちゃん。座って」
「.....はい。お世話になります」
「.....有難う御座います」
それから2人は腰掛ける。
その姿を見つつ俺も腰掛けた。
そして見ていると手を差し出してくる。
生島が美里と美幸に、だ。
ようこそ文芸部に、と言いながら。
「.....文芸部は陰ながらの形だけどな」
「こらこら三菱。そんな事は無いから」
「嘘吐くなよリーダー」
「.....あはは」
美幸と美里が俺を見ながらクスクスと笑っていた。
それも楽しそうに、である。
俺はその姿を見ながら少しだけ照れる。
そして咳払いをした。
「とにかく。ようこそな。美幸。美里。有難う」
「.....達也さんの居る場所は本当に楽しい場所ばかりですね」
「そうだね。美幸」
するとずいっと夢子が2人を見た。
そして、その。姉妹で恋愛しているってのは本当ですか、と興奮してメガネが曇る。
また出たよこれ。
思いながら生島が止める。
2人は目をパチクリしながらも柔和に答えた。
「それは.....本当です」
「.....私達は2人とも好きですよ。達也さんが」
で?当の達也さんは!?、と言ってくる夢子。
俺は、いや。その、と言いながらも。
頬を掻きつつ答える。
まあそれなりには、と。
すると、ヒャッハー!!!!!、と言い出した。
つまり夢子の暴走である。
「どうどう。夢子」
「だって興奮するじゃない!?こんな三角関係って!」
「いや.....まあそうだけどな。夢子。落ち着け」
「あの。達也さん。大丈夫ですか?鼻血まで出ていますが.....」
ああ気にする事は無い、と美幸に言う。
だって何時もの通りだしな。
俺は考えながら夢子を押さえ込みつつ。
それから高貴先輩を見る。
高貴先輩はニコニコしながらも、夢子。ダメだよー、と言っていた。
「これが日常なんだね。達也」
「.....そうだな。まあ日常だ。結構楽しいだろ?」
「そうだね。.....じゃあ正式に入らせてもらおうかな」
「私も入ります」
「.....さん.....」
サンキューと言う前に。
生島が興奮してから美幸と美里の手を握った。
そして、有難う!本当に!?、と言う。
その様子にビックリしながらも、はい、と答える2人。
それから、そうなると今所属している部活を辞めないといけないですね、と2人は顔を見合わせる。
ああ.....吹奏楽部だっけか。
「そう.....だね」
「.....辞めさせてくれるかだね」
「.....?.....どうした?お前ら」
「.....実はですね。達也さん。顧問の先生がかなり厳しい方で。辞めさせてくれるかどうかなんです」
「.....そうなのか?」
「はい」
厳しい.....ああ。
山上だっけかあそこの部活の.....。
面倒くさいな、とは確かに思う。
俺は考えながら、まあ俺も交渉すっから、と切り出す。
「.....いえ.....しかし.....」
「.....そんなクズが先生だったら大変だろ。俺も交渉する」
「.....うん。有難う。達也」
生島も、私も、と言い出した。
そして夢子も高貴先輩も手を挙げる。
そこまでしなくても良いのだが、と思ったのだが。
3人は、だって部員だからね、と言う。
「.....有難う御座います。皆さん」
「良い部員ですね。達也さん」
「.....まあな」
それから俺達は西棟3階に向かった。
直談判に向かう為に吹奏楽部の部室のドアをノックして開ける。
そして教師の山上を見る。
俺達を見てから、何だ、と厳しい顔をする。
その言葉に、千羽美幸さんと美里さんを辞めさせたいんですが、と言う生島。
「.....あ?お前達は誰だ?」
「私達は文芸部の者達です」
「.....馬鹿な事を言うな。.....千羽美里と美幸はこの部活で過ごすと決まっている」
「.....だけど辞めたいって言っているんです」
「煩い!!!!!」
いきなり怒号を発した教師。
何だコイツ頭がおかしいのか。
いきなり怒りやがって。
俺は思いながら美里と美幸を見る。
2人とも怒号にそこそこにビクビクしていた。
ったく.....。
「.....とにかく。辞めさせる訳にはいかない。そもそも.....」
「アンタにその権利は無いだろ」
俺は2人の前に出ながら教師にそう告げる。
すると教師は、あ?、と言ってくる。
お前は誰だ、と話してくる。
俺は山菱達也です。.....2人が辞めたいって言っているのを申告しに来ましたので、と話す。
「.....どうあれ辞めさせる訳にはいかない」
「.....何でそんなに意固地になっているんですか?何か理由が?」
「それはその2人の顧問だからだ」
「.....はい?」
話が通用してない。
意味が分からない、と思っていると。
ノックがした。
そして、恐らくですが金銭が絡んでいますね、と。
ユールとミーシャが顔を見せる。
「.....先生。恐れ入りますが。.....美里様方のお父様から資金を得たりしていませんか」
「な、何を根拠に言っている」
「私達に嘘は通用しません。全て白状して下さい」
証明書などを見せる2人。
そして青ざめる山上。
契約書の様だが。
そんな最低な真似をしていたのかコイツ。
通りで意固地になっていたのか。
「.....お前達が辞めると俺に金が入ってこなくなるんだ.....」
「.....そんな事、知った事では無いです。二度とこんな真似をしないで頂きたい。そして美里様達に手を出したら私達が許しません。最悪の場合を想定して下さいね」
ありったけの威嚇で山上を押さえ込み。
そして部員を辞める事になった2人。
俺達はハイタッチをしてから。
そのまま改めて部員として美里と美幸を迎えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます