千羽美幸サイド ステレッド・クリニャ・ユールという召使い

やはりお姉様はかなりの強敵だ。

脅威と言える。

私は思いながらお姉様の事を考えながら目の前の分厚い教科書を捲る。

そしてパラパラ漫画の様に捲り始める。


実際私はIQが物凄く高いのでギフテッドに近い。

その為に3分で見る。

これだけで数学も物理も全てカンニングと同じぐらいに取れる。

だが運動能力の差で一瞬で負ける。

だから全成績で2位になるのだ。


だから非常に悔しいがそれは受け入れざるを得ないが。

もうそんな事は気にしていられない。

そもそも私は.....達也さん以外見てない。

どうでも良いのだ。


「.....私は全てを捨てる事にする。それから.....」


私はそんなギフテッドの能力を活かし。

そのまま達也さんのクラスに編入する事に決めた。

何故ならこのままではお姉様に取られてしまう。

達也さんが、だ。


そんな最悪の事態を避けなくてはならない。

このままでは絶対に駄目だ。

負けてしまうのはプライドが許さない。

私は.....達也さんの隣に。


プルルルル


「ユール。どうしたの」


『美幸様。約束の展開ですが出来上がりました』


「.....そう。.....それで私は達也さんのクラスに編入出来るの?」


『.....そうですね』


電話先の相手。

ステレッド・クリニャ・ユール。

銀髪のロシア人。


私の使いの者で雇っている。

こういう雑用が得意であるのだが。

申し訳ない気持ちだ。


私の召使いと言える立場の女の子と言える。

そんなユールに、ご苦労だったわね、と言葉を発する。

それから、約束の100万円は支給するから、と告げると。

それは要りません、と返事が来た。


『その代わりですが美幸様』


「.....何?」


『私も達也様のクラスに編入します』


「.....その理由は?」


『私は美幸様をお守りする立場。.....そうなるとこれが適切かと』


「.....そう。構わないけど邪魔はしないでね」


当然で御座います。

とユールは頭を下げる様な言葉を発する。

因みにだが。


ユールには1つ上の姉が居る。

その姉の名前はステレッド・クリシャ・ミーシャという。

この付き人はお姉様の付き人である。


この姉妹は日本に逃げて来てから日本で悪い組織。

つまりは裏組織に絡まれて臓器売買をされそうになった所であり。

それを私達が救った。

つまり裏の人間であったのだが。

救ってからは表でこうやって活躍してくれている。


『姉さんに知られる事なく関連文章は即座に始末します』


「.....そうだね。宜しく」


『.....邪魔は決して致しません。.....全ては貴方の為に』


「.....うん。私もユールを信頼しているから」


それから結果として私はギフテッドとして編入した。

と同時にユール。

つまり私の付き人も編入する事になった。

驚くだろうけど。

銀髪で相当な美少女だし。


「.....何にせよ。事は進んだ。待っていてね。達也さん」


私はそんな事を呟きながら空を見上げる。

そして翌日になった。

私は午前2時から弁当の仕込みの支度してから。

お弁当を作ってから達也さんの元へ5時間後に出発した。

ユールが横に立っている。


「ユール。途中で去ってね」


「.....はい。了解です」


「.....それから。はい」


「.....?.....何ですかこれは?」


風で揺れる中。

制服に銀髪という少しだけ身長の低い途轍もない美少女に向く。

私はユールの分も作った。

お弁当を、だ。

それからそれを渡す。


「.....これはユールの分ね」


「美幸様.....良いのですか?」


「.....ついでになっちゃうけど。.....貴方に食べてもらいたい」


「....спасибо」


「.....あ。有難うね」


「.....そうです。美幸様。スパシーバと言います」


照れた笑みを浮かべながらユールはそう言いつつ。

約束通り分かれ道で手を振って去って行った。

それから私は笑顔で達也さんの家に向かう。

そしてインターフォンを押すと。

達也さんが出て来た。


「おう。どうした。こんな朝から」


「はい。私は達也さんの事が好きなので」


「お前!!!!?いきなり小っ恥ずかしい事を言うな!?」


「だって私は達也さんしか見てませんし」


「.....いやだから.....あのなぁ」


真っ赤になりながら頬を掻く達也さん。

やっぱり可愛いな、と思うと同時に、格好良い姿をしている、と思う。

ただの制服だがピシッと着込んでいるから、だ。

格好良いに決まっている。

真面目にしている姿だ。


「.....私は貴方が好きですから。これは偽りないです。それから.....はい。お弁当」


「おう。.....は!?お前お弁当.....え!?」


「.....何ですか?要らないなら回収します。愛妻弁当です」


「いや.....驚いただけだ。.....すまん」


「.....そうですか。私がお弁当を作れないとでも?残念ですね。そういう不器用さはイラッとするので」


「.....違うって」


私の頭に手を乗せてくる。

そして、純粋に嬉しいんだよ、と笑顔を浮かべる。

それからゴシゴシと撫でてくる。


私はドクンドクンと心臓を鳴らす。

ヤバい何これ。

こんな事をしてくる人じゃない。

汗が噴き出る。


「.....達也さん。止めて下さい。恥ずかしいです」


「散々愛妻弁当とか言っている癖にか?ははは」


「それとこれは別なので」


頭に熱が篭もる。

マズイ本当に熱い。

熱すぎで気分が悪い。

あまりに嬉しくて。

高揚してしまう。


うっとりと見る私。

ああ愛しい。

だからこそお姉さまに勝ちたいと。

改めて思ってしまった。

決意してしまう。

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