山菱達也サイド 仁との出会いと?
仁が色々見透かした様に、お前らは何やってたんだ?この場所で、とニヤニヤしながら見てくる。
俺はその姿に赤面しながら俯く。
クソ。聞いていないと思ったのだが。
ったく美幸の奴め。
ふざけた真似をしてきやがって.....、と思うが。
その前に愕然とした。
何がといえば美幸が俺を好いているという点だ。
今でもその想いは変わらないそうだ。
そしてニヤニヤしながらも仁は俺に向いてきた。
「.....まあでも大事にしろよ。その感情は。.....俺も叶わない恋があるしな」
「.....仁?」
「ハハハ。話をすり替えて悪いけどな」
「.....」
そうなのか、と思う。
美幸は、それはどちら様なのですか?、と聞いた。
仁は、まぁまぁ。何処の誰でも良いじゃないか、とはぐらかす。
俺はその姿を見ながら、仁らしいこったな、と思った。
「美幸ちゃんがお前を好きなのは奇跡だ。.....そして人が恋するのも奇跡だ」
「.....お前に美幸が恋しているって話したか?」
「いや見てりゃ分かるだろ。.....大体恋している女の子はこんな感じだろ?」
「.....無駄な想像だけ働くよなお前.....」
「無駄とは失礼なこった。.....まあ無駄かもしれないけど。.....でも何とか持っていたいんだよな」
「.....そうか」
それから俺達は勉強を進めていく。
すると美幸が、仁君、と顔を上げた。
俺は?を浮かべながら美幸を見る。
何処の誰かは定かではありません。.....でも応援しています、と美幸は言った。
その感情は本物だと思いますので、とも。
「.....ああ。有難うな。美幸ちゃん」
「.....私は応援したいです。.....仁君には助けられているので」
「俺は何もしてないぞ?.....まあ困った事があったら何でも話せよ。俺は.....口だけは真面目だから」
「.....そうだな。口だけは達者じゃないもんな。お前」
「喧しいわ。達者扱いかコラ。死ぬか?」
「やってみやがれこのカスが」
俺達は言いながらもクスクスと笑った。
それから、あーあ。勉強がつまんらんぜよ、と言い出す。
オイオイ、と思いながら仁を見る。
すると、何かおもろいラノベあるか、と聞いてきた。
俺は、あー、と言いながら本棚を見る。
「.....面白いのったって俺のラノベはまああれぞ?ラブコメしかねぇぞ?」
「なんでお前は恋愛した事もねぇのにそんなもん読んでんだよ」
「は?応援したくなるだろ読んでいたら。人の恋って」
「はぁ?他人のお前の恋以外応援して楽しいか?」
「おう。やるかテメェ」
「やったるわクソッタレが」
何で直ぐに喧嘩するんですか、と呆れる美幸。
俺達は、それだけ仲が良いって事だ、と言い出す。
すると美幸は、思ったんですが、と切り出す。
仁君と達也さんが出会ったのはいつ頃ですか?、と聞いてくる。
俺達は顔を見合わせる。
「.....高校時代にしんみりしていたコイツから入学時に中庭で金を巻き上げてからだな」
「ああ。あの時はこの屑野郎と認識してお前を半殺しにしてやろうかと思った」
「.....1本のジュース代ぐらい良いじゃねぇかよ」
「良くねぇよお前は。学生にとっちゃ大金だっつの。殺すぞ」
「全くな。その後に倍にして返したから良いじゃねぇの」
そういう問題か。
すると側の美幸は憧れる様な目をしていた。
そうなんですね、と言いながらクスクスと笑う。
何だコイツ笑えるんじゃないか。
思いながら仁と共に美幸を見つめる。
すると美幸は、私にはお友達が居ませんので、と言葉を発する。
「.....じゃあ俺と友人になろうず」
「え?仁君とですか?」
「そうだよ。どうせ先輩として見てくれてない様だし丁度良いじゃないか」
「.....じゃ、じゃあお友達に.....」
「おう。良いぜ。それともし良かったら俺の義妹とも仲良くしてくれないか。.....名前は楓っつーんだが」
その言葉に。
先に声を出したのは俺だった。
そして唖然とする。
聞き間違いか今のは。
何時の間に再婚したのだ。
「お前って父子家庭.....義妹いんのかよ!?何で黙っていた!?」
「.....あれ?お前に話してなかったか?」
「お前そういうの喋らねぇじゃねぇか!ビックリだわ!」
「そうだったか。すまん。楓はマジな美少女だぞ。俺が認めるぐらいに」
「.....あ.....そうなのか。.....キモイな」
「ぁ?殺すぞ?」
仁がジト目になる。
いや今のは不可抗力だろ。
キモイのはキモイし。
俺は思いながら仁を見る。
美幸はクスクスと笑っていた。
「.....楓さんの事。今度是非紹介して下さい」
「そうだな。それが良いだろう。.....まあお前には紹介しないけどな。ハゲ」
「おう。それならそれでも良いぞ。まあその分のお前にたまに奢ってやってるジュース代はもう無しな」
「止めて下さい。達也様」
「気持ち悪りぃ!」
コイツ金持ちの筈なのにジュース代ケチるとかキモい!
思いながらジト目で仁を見る。
仕方が無いからお前にも紹介してやるよ、と言ってくる。
ジュース代ぐらいで何もかもが釣れるとは思わなかったんじゃね?
俺は苦笑いでその姿を見ていると。
「達也さん」
「.....どうした?美幸」
「.....その。もし良かったらですが。.....今度.....一緒に.....食事.....」
「ん?声が小さくて聞き取れないぞ」
「食事!!!!!」
まさかの耳を寄せると絶叫する美幸。
ビックリさせんな!?
俺の耳が!、と思いながら美幸を見る。
美幸は赤くなって、うー、と唸っていた。
何だコイツは.....。
「.....つまりデートがしたいのか?お前」
「.....ばっ!?そ、そんな事は言ってない.....!?」
「ハハハ。そこら辺は素直じゃないな。.....でも良いぞ。何というか美里のその後も.....取り敢えず聞きたいしな」
「え.....本当ですか?」
パアッと明るくなって嬉しそうにする美幸。
俺はその姿に苦笑しながら仁を見る。
仁はニヤニヤ( ^∀^)ニヤニヤ的な顔をしていた。
コイツいつか心からぶっ飛ばしたい。
そう心から思ってしまった。
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