千羽美里サイド 千羽グループと中島グループ

私は達也が好きだ。

それはずっと好きだったが.....でも。

何だか全てのこの脳の中が欠落してからは。

有り得ないぐらい好きになった。


本当に何でも私は出来る。

ピアノもチェロも。

全ての楽器を演奏出来る。

何なら恐らく楽器を集合させて1人コンサートも出来るであろう。

そのぐらいのレベルであった。


故に。

妹などからかなりの嫉妬心を向けられている。

嫉妬というかこれは対決姿勢だ。

私はそんな妹が好きでは無いが.....でも。

同じ姉妹として争うのは何だか力量を確かめれるので心地良かった。


だが.....何というか。

ついでに金魚の糞と言える愚民どもが私にイジメをしてくるのがウザかった。

その事はいつまで経っても変わらない。

私は孤独なのかもしれない。

頭が良すぎて、だ。


だから求める様になったのかもしれない。

達也に愛されたいと。

酷く求める感じになったのかもしれない。

だからエロくなったのだろう。


私は構わない。

これはこれで気に入っている。

そのうちに何ならチャンスがあれば。

本当に子作りしたいと思っている。

子種を貰いたいと思っている。


その孤独だが。

私以外にもやはり妹も感じている様だ。

思いながら屋敷に帰って来てから。

美幸を見る。

そんな美幸は頭をゆっくり下げてくる。


「お帰りなさいませ。お姉様。何処に行かれていたのですか」


「ああ。えっとね。.....調べ物」


「.....そうですか」


言いながら美幸は少しだけ不安げな顔を浮かべる。

そして背後から.....それは現れた。

私の婚約者の中島隆(なかじまたかし)だ。

見るからに不良じみて。

金づるに見える。


「美里ちゃーん。勝手に外に出たらダメでしょ?」


「.....貴方に何かしら言われる筋合いは無いです」


「僕はね。君を守る必要が有るってお父様に言われているんだからぁ。そんな事言っちゃ、メ、だよん?」


「.....」


中島の許嫁という形になっているが。

これは大規模取引の為の.....許嫁だ。

簡単に言えば上の者同士のお付き合い、と言える。

つまり.....お父様はお金、ビジネスしか目に入ってない。


簡単に言えば中島財団グループ。

社長の子息と私達は仲良くしないといけないのだ。

それは私達のウィンウィンを保つ為。

つまり世間から弾かれない様にする為でもあり。

全てをキープする為でもある。


だから私は逃げれない。

私は.....この中島から。

だがそんな事は知った事ではない。

そもそも私は中島では無い。

愛しい人は.....達也しか元からいない。


「記憶喪失なんだから外一人で歩くの危ないからさぁ?」


「触らないで」


「.....お。厳しいねぇ」


そんな感じで中島はニヤニヤする。

私はその中島に不愉快そうな感じで。

クールな感じで、私と美幸に迷惑を掛けないで、と告げる。

美幸は真剣な顔で私を見ていた。


「迷惑?掛けてないさ。だってこんな賜物を逃す訳にはいかないでしょ?」


「.....そこまでです。中島さん」


「.....おっと。簪(かんざし)さん」


「自由になさるのは結構です。.....ですがあまり良く無い事をなさらず。.....この場所はあくまで娘達が休む場所ですので」


千羽簪(せんばかんざし)。

私達の母親である。

顔立ちは美女と言える感じの身長も高い。

八頭身の美女だ。

私達の唯一の理解者である。


「冗談ですって。そんな真似はしていません」


「.....そうですか」


中島もその威圧に冗談めかす。

母親も相当に抵抗はしてはくれている。

この.....許嫁関係に、だ。


だがその許嫁関係はあくまでビジネスだ。

上の上を怒らせればこの関係は崩れ去って私達もタダでは済まない。

つまり母親もあまり手出しが出来てない。

その母親を私達は見ていると中島が私に言葉を発した。


「そういや最近聞いたんだけどさぁ?」


「.....何ですか」


「何だか君達って幼馴染が居るって言うじゃん?」


「.....!」


「.....!?」


「.....男だろ?ソイツ許せないんだけどぉ?俺達の関係に割り込む可能性だってある訳だしよ?」


その次の瞬間。

私と美幸は無意識に中島の手を壁に塗り潰すようにガバッとくっ付けた。

それから冷徹な目で睨む。

私達の幼馴染に手を出せば流石に黙って居られないので、と。

あくまで必要ならば殺す必要がある。


「オイオイこんな事をしたらタダで済まないんだが?何やってんの?」


「貴方が挑発したからです」


「そうですね。お姉様」


止めなさい貴方達、と母親の声がする。

私は渋々と中島を離す。

すると中島は手をコキコキ動かしながら。


まあソイツ気に入らなかったら俺がぶち殺すけどな、と言った。

このクソ野郎、と思いながら私と美幸は手出しをしようとしたが。

中島グループのボディーガードに止められた。


「.....あのクソ野郎」


「.....お姉様。お口が爛れます」


「そうね」


絶対に.....いや。

この関係はいつか破壊してやる。

絶対に私は千羽グループの令嬢として偉くなる。

社長でも取締役でもなってやる。


思いながら私はまた意識を固め。

そのまま去って行く中島の背中を、ぶっ殺す、という勢いで睨んだ。

それから、くそッ、と呟く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る