姉への思い

千羽美幸サイド 内心の想い

私の名前は美幸という。

千羽美幸という名前である。

私は県立清水高等学校に通っている16歳で高校1年生。

所謂普通の女子高生に見える女子高生だ。


これは全く自慢では無いが。

私は昔から容姿端麗と言われている。

目鼻立ちがお人形の様だ、と言われている。

フランス人形の様な、だ。


つまりは美少女の分類に当て嵌まると言われている。

それも有名ブランドのモデルでもやれそうな、だ。

プ○ダのモデルも出来るであろうと言われた。


だが私にとってはそんな事はどうでも良い。

そんなものには興味すら無い。

しかしその事もあり周りの男子達が煩く私に当たって来る。

周りの子供が、だ。


特に苦手なリア充も当たって来るので学校に通うのが嫌になっている。

学力も低過ぎて呆れが差してくる。

でもそれでも私には1つの目的があって学校に通えている。

それは.....三菱達也。


私達の幼馴染である男の子。

彼が居るから私は学校に通えている。

億劫にならなくて済んでいるのだ。

そして退屈をせずに済んでいる。


そもそも私が県立清水高等学校にしたのは彼の学力が然程上では無いから、だ。

中学校の教師からは、一体何故.....もっと上の学校を目指せるのに何故そうなる。あり得ない、と言われる程だった。


学力も私は異常な結果であるから、だ。

でも私はそれを無視してからこの学校に通う事にした。

それは何故か。

簡単だ。


三菱達也と一緒の学校に通いたい。


それだけが今の願いの全てだった。

私は三菱達也という愛しい人が居るからこの学校に通えている。

学校を辞めずに済んでいる。


そもそも私はIQが150ある。

その為にかなりの天才と言われている。

大学に飛び級しても良いぐらいだ。


だが私にとっては高校に通う意味がある。

それに所詮はIQだ。

数値が全てと言うならば。

そんなもの打ち捨てて良い。

私にとってはどうでも良いのだ。


私が周りの大人にチヤホヤされてロボット扱いされるのだ。

その数値だと。

数値が珍しいという事で、だ。


これがどれだけ珍しいのか。

それは例えばピアノの楽譜を一回知らなくて見てから。

ピアノが完璧に弾けるぐらい。

それぐらいの天才だった。


だが私は何度も言うがそんな過剰なものは要らない。

そもそも山菱達也に誉められるだけで十分だ。

だけどいつしかそんな山菱達也は私達から距離を置き始めた。


何故か。

それは私達が天才過ぎるから格差が生まれていると誤解されている。

私はとても悲しかった。

愛しい人とそんな事になってしまい。

悔しい日々だった。


その為に学力を落とそうにも。

親が反対する。

だから学力を落とせない。

そもそも周りの目もあるから、だ。


私は天才じゃない。

普通が欲しい。

こんな特進科では無く山菱達也の居る普通科に通いたい。

出来れば一学年だけ飛び級して同じクラスメイトになりたい。


お姉ちゃんに全てが取られる前に、だ。

だから学力を徐々に落とそうとしているが。

なかなか上手くいかない。


私の学力なら東大の。

いやハーバード大学すらも必死に勉強すれば受かる可能性だってあると期待に期待されている有様。

期待でストレスじみている。


だが私は何度も言うが。

そんな極端なものは要らない。

今現在は真実の愛が欲しい。


お金はそこそこに稼げればどうでも良い。

50億あると言われる家の資産も要らない。

幸せになればそれで全て。

それで良いと思うのだが.....。


「成績。また良かったじゃないか」


そんな事をある日、皮肉じみて山菱達也に言われた時。

私はチクリと胸が痛んだ。

そもそも好きでそのランクにいる訳では無い。

どんどん離れていく山菱達也に。

私の心はバラバラに砕け散りそうだった。


その中で。

姉が事故にあった。

交通事故に遭遇したのだ。


私は直ぐに山菱達也の事が頭に浮かび。

そして迎えに行った。

なりふり構わずだ。


それから総合病院に来た。

そしてICUを覗く山菱達也を見てから。

私はまた赤くなる。

どうしてもこうやって家族を心配してくれる山菱達也が好きだった。

姉を心配してくれる山菱達也が。


ようやっと話が出来た。

久々に、だ。

だけど私はまるでツンデレと言われる様な態度しか取れず。


山菱達也にショックを与えていた様だった。

私が病室を抜けてトイレに行ったのは。

泣く為だった。

号泣する為である。

悔しかった。

何故私はこんな態度しか取れないのか、と。


それから病室に戻ると。

鍵が掛かっていた。

中ではドタバタと音がしたので。

看護師を呼びに行って開けてもらってから。

中に入ると山菱達也が汗をかいて青ざめていた。


その時点で察した。

恐らく姉が起きたのだろう、と。

だけど何が起こっているのかは分からない。

私は姉を見ながら山菱達也を見る。

それから、何があったんですか、と聞いてみる。


「何も。何もなかった」


「.....」


「.....すまない」


そんな回答しか得られなかった。

私に黙って姉と何をしていたのだろう。

そもそも姉がそんな事をするとは思えないが。

暴れた痕跡があった。

何かが起こったのは間違いないだろう。


私は何だか胸がモヤモヤした。

姉が私の好きな人を.....何かした事に。

ただただモヤモヤした。

そして山菱達也を追求したが。

答えは得られなかった。


私はこれから先どう接するべきなのか。

それを考えさせられた気がした。

このままでは姉が勝る。


それだけは絶対に許せない。

天才で最も全てに優れている姉に。

負けたくない、と思う。

だから私は.....静かに山菱達也の背中を見ていた。


姉には申し訳ないが。

植物状態でもなっていて欲しいと思ってしまった。

私はゴミクズだと思う。

最低だと思う。

だけど.....起きてほしくなかった。

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