山菱達也サイド クールならぬクーデレならぬただの変態
千羽美里。
俺の幼馴染だった女の子が飲酒運転の車に跳ねられた。
そしてこの町の総合病院に搬送されたのだが。
ICUから出る事が出来た。
俺は目の前の美里を見る.....。
どうしてこんな事に。
思いながら個室の病室の柱に寄り掛かる。
「.....今日は来てくれて有難うございました」
「.....いや。.....仮にも幼馴染だったしな。来るさ」
「.....そう言ってくれるだけ報われてます」
「.....」
俺は目線だけで美幸を見る。
美幸は悲しげな目で美里を見ていた。
意識は有る様だが目を覚さない。
俺はその心配げな美幸を見つめながら頭を掻いた。
「.....まあその何だ。.....有難うな。呼んでくれて」
「.....これは義理ですので」
「.....そうであってもな。.....俺としては感謝しかない」
「.....そうですか」
そんな会話をしながら美幸を見る。
美幸の頬が少しだけ赤くなっていた。
俺は?を浮かべながら、何だお前。熱でもあるのか、と聞くが。
美幸はハッとしてからそのまま、何でもありませんので、と慌てて、すいません。お手洗いに行って来ます、と病室からそのまま去って行った。
何だってんだ、と思いながら美里を見る。
「.....」
美里は相変わらず寝ていた。
俺はその姿を見ながら心配げな表情になる。
それから見つめていると。
美里の目がうっすら開いた。
ん?!、と思いながら俺は美里に駆け寄る。
「おい!大丈夫か!美里!」
「.....うん.....え?.....もしかして達也?」
「.....そうだ。良かった。お前さ跳ねられたんだ。.....今看護師を呼んで来るからな」
「.....あ.....いや。その必要は無いかも」
何でだよ、と思いながら美里を見る。
するといきなり美里が俺の腕を握った。
それから俺を勢い良くベッドに引き摺り込む。
俺は!?と思いながら。
気が付くと.....美里の心臓の音を聞く様な形になっていた。
「.....ちょ!?お前何.....」
「.....エヘヘ.....」
「.....!?」
俺は美里を見上げる。
すると病室のドアが開いた。
それから、達也.....さん?お手洗いですか?、と声がする。
俺は愕然としながら青ざめる。
ヤバい!この状態を見られたらマズイだろ!
布団の中で俺は身悶える。
美里を見上げる。
そんな美里は寝たふりをしていた。
「全く。お姉様を放って置いて何処に行ったのか」
そんな声がする。
それからドアがまた開いてからそのまま音が消えた。
俺は、プア!、とガバッと布団を捲る。
何やってんだコイツは!、と思いながら。
「美里!何やってんだお前は!」
「.....達也の事を独り占めしたくて」
「は?」
「.....達也。ねえ。.....私って色っぽいかな.....?」
あ?!、と赤くなって思いながら美里を見る。
美里は胸に手を添えて俺を見上げていた。
ちょ、ちょっと待て。
こんな事をする様な奴じゃない。
コイツは.....クールなんだ。
あり得ない。
「美里?お前.....何か.....おかしいぞ?」
「.....私は何時も通りだよ?ただ達也を独占したいだけ」
「その時点でおかしいからな。.....看護師さん呼んで来るから.....」
「その必要は無いって言ったよね」
そしてあろう事か先回りしてから病室のドアを閉めた。
鍵を閉めた.....!?
俺は、な、何をしているんだ!、と慌てる。
だがその言葉を完全無視で俺の頬に手を添える。
そして俺を見つめてくる.....。
び、美少女の顔が。
俺の好きな人の顔が間近に.....!
思いながら見ていると。
「.....何だか興奮して止まらないからね」
「.....あぁ!?」
「.....ねぇ。達也。私っておかしいのかな」
「お、おかしい!お前は絶対に狂っているぞ!」
「.....頭打ってからおかしくなったのかな。でも.....良いかも.....それも」
良くないかも。
俺は思いながら美里から逃げるが。
美里は後を付けて来た。
そして俺は壁際まで追い詰められる。
あろう事か、暑い、とパジャマを脱ぎ始めた。
「何やってんの!?」
「.....暑いから」
「.....暑いから!?」
「それに私って結構おっぱい大きいんだよ?見てみない?」
「この馬鹿!脱ぐな!何し.....」
そこまで言ってから。
ドアが、ガチャガチャ!、と音がした。
何で鍵が掛かっているのですか!?、と美幸の声がする。
すると美里は、あらら、と言いながらベッドに戻って行った。
それから俺にウインクしてそのまま寝転がる。
「......」
心臓が痛いぐらいにバクバク言っている。
それからドアの鍵が開いてから。
美幸が入って来る。
何やっているんですか?何で鍵を、と言葉を発する。
かなり不愉快そうに、だ。
「いや。すまん。鍵が掛かっているとは気が付かず.....」
「.....はい?.....これわざとでしょう。.....そんなに私の事が嫌いですか?」
「.....いや。そういうつもりは無いから」
「それに何で汗だくなんですか。4月ですよ?有り得ないです」
「.....す、すまん」
発汗が止まらない。
困ったな.....マジに何が起こっている?
俺は思いながら目の前のうすら目を開けて見ている美里を見る。
そしてクスクスと含み笑いで美里は居た。
アイツ.....。
そして美里は起きた事になり。
目が覚めた事になった、とも言えるが。
それから詳しい精密検査とかが行われる事になったが。
俺はただ一人。
ピンク色の下着が頭から離れず脳にへばり付いていた。
察されない様にしなくては.....。
絶対に、だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます