第12話 とても素敵なダイヤモンドブローチ

「白金貨五千枚は高額だけれど一度は見てほしい。番組スタッフが配送するから、不明点があればその場で聞けるよ」

「映像では分かりにくい細部まで見てほしいです。ジュエリーとしても最高級品とお姉さんは自慢できます」


 ミレミランさんの顔がアップで映って、宝石アイテムは髪飾りになっていた。ダイヤモンドに名を恥じない輝きを放っている。

「髪飾りは付け方に工夫が必要かな。でも何処にいても注目の的よ。持っていて眺めるだけでも心が癒やされる宝石アイテムね」

「効果は対戦を見て分かって頂けたと思います」


『手元で暗くさせて見せたい』

 プロデューサーに念話を送った。

『画面を切り替えます』

 エリ姉のみが映って、その間に私の手元へブローチを届けてもらう。


「物理防御の強化は見て頂いた通りで、魔法の六属性耐性も強化しています。異常状態の耐性強化もありますので、伝説の魔物退治には必修の宝石アイテムかしら」

「ほとんどの攻撃に対して防御力が上がっているのね」

「白金貨五千枚は高いですが、それ以上に価値のある宝石アイテムです。お姉さんの宝物にしたいくらいです」


 手元に届いたブローチは、トルソーにセットされたペンダント状態だった。

「今度はペンダントトップの形よ。こちらはチェーンを通すだけだからお手軽ね。エリ姉が宝物として買っても構わないかな」


「お姉さんの宝物はマイナですから、他の宝物は不要です」

「素直に喜んだほうがよいのかな。このブローチの凄さは、少ない明かりでも輝きが落ちない点よ。実際に見てもらったほうが早いみたい」


 配信映像が私の手元に変わったので、ブローチをトルソーから外してトレーの上に持ってきた。

 地下練習場全体が暗くなって、私の手元のみに明かりが灯った。ダイヤモンドから幻想的な光が放たれて、ブローチを動かすと生きもののように光が舞う。

 ハンターたちからは、うっとりするようなため息があった。買ってほしいとの直接的な声も聞こえた。


「幻想的で素敵で、ずっと見ていられる輝きです」

「周囲の宝石も、本来なら主役を張れるレベルよ。中央の大きなダイヤモンドの凄さが実感できるよね。さらに宝石に負けないデザインと加工よ」


「お姉さんも頑張りました。素敵なデザインなので手に取ってみてほしいです」

「ブローチに使われている宝石は、全て鑑定書を取っているよ。どの程度凄い宝石かは見てもらえば分かると思う。一筋の光で輝く姿がその証拠ね」

 暗闇の中でも生命のように輝きが揺らいで、ずっと見ていられる光景だった。


 突如、地下練習場全体に警戒音が鳴った。

「何、何事なの?」

 今までにない経験だった。

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